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長島伸子さんのクリスマス・コンサート  (2003.12.15)
  心にしみいる天使の歌声がイエスの誕生を祝う

ソプラノの長島伸子さんによるクリスマスの曲を集めたコンサートがありました。 長島さんの歌、アンサンブル・ムジカ・ボヘミカの演奏、それに、長島さんご自身が司会を務めるという楽しいコンサートでした。
今回のプログラムの第一部には、アヴェマリアが6曲も入っていました。 かつて英国の映画監督ダヴィッド・ハミルトンが長島さんの為に作った水の都ヴェニスの映像詩"メロディ"で、 彼女は、このアルバムの題名を「アヴェマリア」にしたかったとのこと。そんな彼女の思いが、今回のアヴェマリア中心の選曲になったそうです。
 
アンサンブル・ムジカ・ボヘミカ(Musica Bohemica)は、1975年結成ということですから、それほど歴史があるアンサンブルではありませんが、長島伸子さんの美しい歌声を丁寧にサポートし、その演奏は、端整で美しく魅力的でした。 アンサンブルを率いるのは、作曲家でもあるヤロスラフ・クルチェク。ドイツ、フランス、オーストリアを始めとするヨーロッパへ演奏旅行を行い、各国で喝采を浴びているとのこと。ヤロスラフ・クルチェクは指揮以外にチェンバロも弾いていました。
 
長島伸子さんは、二期会のソプラノで、オペラ出演はもとより、N響、読響等のコンサートにも多数出演、また、NHKテレビの「歌のお姉さん」も勤めたという、 クラシック畑ながら、とても温かみの感じられる美しい方です。 ピュアな声質は、文字通り「天使の歌声」、クリスマス・コンサートは、彼女ならではの演奏会というところでしょう。
 
コンサートのチラシに「天使の歌声がイエスの誕生を祝う」、「重厚なオルガンと雅な古楽器の響きに支えられて歌う名歌の調べ」とありましたが、まさにそのとおり、長島伸子さんの「天使の歌声」とムジカ・ボヘミカの共演による、約2時間、クリスマスの調べに酔いしれました。
それにしても、長島伸子さんの歌は、なんて、清々しいことでしょう。心が洗われるというか、浄化されるというか、 クリスマスの歌がこれほど心にしみいるように感じたことはありません。 素敵な歌に酔いしれて、本当に、嬉しくなってしまい、「美しい歌をありがとう」と、心から長島さんへの感謝の気持ちを感じました。
私は、長島伸子さんが歌った「マリアの子守唄」というクリスマス曲集のCDを愛聴していますが、今回のコンサートは、 このCDの何倍も感動を覚えました。それだけ、彼女は、これらクリスマスの名曲を心を込めて歌ってくれたのです。 このCDの発売は、1988年ですから、今から15年も前です。15年もたった今、それ以上に、聴く者にこれだけの感動を与える陰には、 彼女の並々ならぬ努力があったに違いありません。長島伸子さんの日ごろの精進に心から敬意をはらいたいと思います。
 
長島伸子さんの歌がどんなに素晴らしいかは、私の下手な表現より、ダヴィッド・ハミルトンの映像詩"メロディ"の解説を引用させて頂くのが良いでしょう。
「彼女の歌声を聴いたとき、私の中に次の言葉が響きました。英語でSerenity、イタリア語でSereno。穏やかで、平和で、澄み渡っている雰囲気の言葉です。」 「長島伸子の歌声、そして彼女の全身から溢れる美しさが、私を強くInspire=触発しました。」 「この果敢なく美しい町=ヴェニスへの賛歌を、まさにSerenityと形容するに相応しい、長島伸子の存在を借りて表現できた事を感謝しています」(ダヴィッド・ハミルトン:レーザーディスクの解説書より)
 
ところで、今回のコンサートには、思いもかけぬプレゼントがありました。客席で聴いていた巨匠イエルク・デムス氏が、 第二部の先頭で、ステージにあがり、バッハとドヴォルザークの曲をチェンバロで弾いてくれたのです。 おそらく彼は、第一部の長島伸子さんの歌声に感動し、いてもたってもいられなくなったに違いありません。 マエストロを感動させるくらい、長島伸子さんの歌声は、心のこもった素晴らしいものだったのです。

ともあれ、素敵なステージを見せて下さった長島伸子さん!!、くれぐれもお体を大切に、いつまでも、私たちに、美しく清らかな「夢」を与えて下さる「天使」であって欲しいと 願ってやみません。
 

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