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ライモンダ〜第1幕夢の場のヴァリエーション:根岸祐衣    (2012.11.1)
とても素敵なライモンダのヴァリエーションがYouTubeに載っていました。2012年のローザンヌ国際バレエコンクールでの根岸祐衣の踊りです。 痩せぎすのダンサーが多い中、根岸祐衣は幾分ふっくらとして、ふくよかな 肢体が眩しい健康的で美しいバレリーナで、ほのかな色気も感じる素敵な踊りにうっとりして見とれてしまいました。 ライモンダのヴァリエーションは、ローザンヌ国際バレエコンクールで菅井円加が踊ってよく知られるようになったヴァリエーションですが、 菅井円加は堂々として、全くミスが無くフィニッシュもピタリと決めて技術的には流石だと思ったけれど、 夢の場はライモンダがジャンとの愛を夢見る場面なので、この夢の場には貫禄がありすぎるような気がして好きにはなれなかった。 夢見る乙女なので、むしろ頼りなげな位の方がこの場にはふさわしく、こんなに堂々とせず、もっとしなやかに優雅に踊って欲しかった。 その点、同じコンクールで決戦には残れなかったけれど、根岸祐衣の踊りに魅力を感じました。

グラズーノフ作曲のライモンダは、少女ライモンダが次第に大人の女性へと変わっていく物語りです。 その中でも一幕の中の夢の場は、ライモンダとジャンが夢の中で愛を確かめ合う場面で、ライモンダのヴァリエーションは、ヴァイオリンが奏でる旋律がとても美しい音楽です。 美しいメロディに乗って確かなポワントワークが要求されるヴァリエーションで、 最初のピケアラベスクからドゥミポアントを通ってプリエに入り、今度はアラベスクにあげた足が軸足となり、プリエについていた足を引き寄せてきます。 上半身はゆりかごのように揺れる動きで歌いあげるような表情のつけ方をしながら、足はきちんと正しいことをやらなくてはならないという難しい踊りです。
根岸祐衣は技巧的に完璧に近い菅井円加に比べると、やや不安定なところもあって不安を感じさせたけれど、夢の場にはむしろ似つかわしい気がしました。 それでも、タメるべきところをしっかりタメて、回るところは正確に回り、何よりしなやかで身のこなしが美しい。 振りをこなすのが精一杯のところもあって時折「失敗しないよう、落ち着いて」と自分に言い聞かせるように不安げな表情の見られたけれど、 健気に懸命に踊る姿に、思わず応援したくなった。 両足を揃えてポアントで立って静止しする難しいフィニッシュでは、柔和な笑顔を崩さず、つま先の僅かなズレを必死に堪えて破綻無く終えたのは立派。 額にはほのかに汗が光っていたもののホッとした表情のレヴェランスには、「お疲れ様!」と声をかけたくなりました。
Prix de Lausanne 2012 Selections Yui Negishi - Japan School : Ballet Libre, Kokubunji Variation : Raymonda - Tableau du Reve

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