【トップページへ戻る】

ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2007   (2007.1.2)

今年もNHKテレビで毎年ウィーン楽友協会大ホールから生中継されたウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを楽しみました。
今年はズービン・メータ。1936年インド生まれの71歳。小澤征爾さんより一つ下とのこと。ポンペイ交響楽団創始者を父にもつメータは、ウィーンフィルでデビュー後、ニューヨークフィル、イスラエルフィルの音楽監督を経て、現在はバイエルン国立歌劇場の音楽監督をしています。ニューイヤーコンサートは1998年以来9年ぶりですが、既に4回目の登場だそうです。こんなに何度も出演しているのは、さぞウィーンフィルの楽団員から信頼が厚いのでしょう。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、1939年12月31日にクレメンス・クラウスがウィーン楽友協会大ホールでヨハン・シュトラウスの作品の演奏会を指揮したことに始まりますが、 正式に「ニューイヤーコンサート」の名で呼ばれるようになったのは1946年からだそうです。クレメンス・クラウスは、その後も指揮を続けましたが、54年に亡くなり、コンサートマスターであったウィリー・ボスコフスキーが代わって指揮をしました。ボスコフスキーは、ヴァイオリンを弾きながらというシュトラウスの時代と同じスタイルで、1979年までの25回のコンサートを指揮しましたが、ボスコフスキー降板後はロリン・マゼール、カラヤン、クラウディオ・アッバード、カルロス・クライバーなど超一流の指揮者が指揮し、2002年には小澤征爾が指揮したことは記憶に新しいところです。ちなみに2003年はニコラウス・アーノンクール、2004年はリッカルド・ムーティ、2005年はロリン・マゼール、2006年マリス・ヤンソンスでした。
衛星中継では、素晴らしい会場の雰囲気も楽しめました。今年のウィーンフィルの花はピンク系とかで、演奏会場は薔薇が多くて可愛い感じに仕上がってました。ズービン・メータは、さすがにウィーンフィルとの息も合って、新しい年を迎えた喜びに演奏者、聴衆、指揮者が一体となった、とてもよい感じの年明けの演奏会でした。若い頃の汗にまみれた情熱的な指揮ぶりとは違って、いよいよ円熟期に入り、幾分太り気味な体躯で円熟期に入った貫禄を示していました。
ただ、演奏曲目には、皇帝円舞曲、春の声、ウィーンの森の物語などのメジャーなワルツの曲がなく、小品のポルカが中心でした。「ブレーキをかけずに」「都会と田舎」「水夫」など珍しい曲もあって思考を凝らした内容でしたが、華やかさという点では、小品ばかりではなくメジャーなワルツの曲も入れて欲しい気がしました。
そんな中で、シェーンブルク宮殿での「美しき青きドナウ」のバレエはすばらしかった。主役はミュンヘン・バレエのルシア・ラカッラとシリル・ピエール。この二人は公私ともにパートナーとのことで、息がぴったりの微笑ましい踊りでした。ラカッラは、どこかオードリー・ヘップバーンに似た感じでスリムで可愛らしく、エレガントな容姿に、紫色のドレスもよく似合っていて素敵でした。ラカッラとピエールは、5月の新国立劇場「ローラン・プティのコッペリア」にゲスト出演するそうで、楽しみです。
最後はいつも通りの「ラデツキー行進曲」。やはり、「ラデツキー行進曲」は、このコンサートの締めくくりにぴったりに思います。
それにしても、元旦に地球の反対側のウィーンでのニューイヤーコンサートを衛星中継で楽しめるなんて、とても素晴らしいことだと思います。

【トップページへ戻る】