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今年もNHKテレビで、ウィーン楽友協会大ホールから生中継された、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを楽しみました。
2014年は、ダニエル・バレンボイムの指揮。ピアニストとしても有名なバレンボイムは、バイロイトやシカゴ響、ベルリン・フィル、ベルリン国立歌劇場などで
数多く指揮を重ね、録音も多く残しており、ウィーン・フィルとも共演を行っています。
バレンボイムは、2009年のニューイヤーコンサートで指揮しているので次いで2度目です。
2009年の時は全体的に固く、私好みではありませんでした。ウィンナワルツのやわらかさや遊びの感覚が欠けていて、あまり上手いとは思わなかった。
今回、意外な指揮者が再選されたという感じでしたが、逆に、今度こそ、よい演奏をしてくれるだろうという楽しみなところもありました。
演奏曲目は、定番の「美しく青きドナウ」「ラコッツィ行進曲」などに加えて、今年はリヒャルト・シュトラウスの生誕150周年ということで、
ニューイヤー・コンサート史上初めて登場する作品が含まれていました。歌劇「カプリッチョ」からの月光の音楽は、
弦の繊細で気品のある演奏で、月光がさわやかに広がっていくように感じられました。
バレンボイムの指揮は、2009年のときと同様、どっしりかっちり纏まりよく、安定している感じですが、 前半は、ウィンナワルツのコンサートにしては、全体的に固く、テンポが微妙に重く、私好みではありませんでした。 ただ後半は、奏者が曲に合わせて歌ったり、ラデツキー行進曲の演奏中にオーケストラの中に入って行ったり、行き、演奏者1人1人と握手をしたり、 とてもとても楽しげで良かった。 ゲストはバリトン歌手の甲斐 栄次郎と音楽評論家の奥田佳道。くどくどしない、あっさりとした感じで良かった。 幕間の解説では、1959年11月のウィーンフィル来日公演の映像。 指揮者はカラヤン、当時50歳で若々しい旧NHKホールでのリハーサル。 そして、東京体育館での、「ウィンナワルツの夕べ」の様子。 当時のコンサートマスター、ウィリー・ボスコフスキーが指揮者として指揮台に上がり、ヴァイオリンを弾きながら弓を振って指揮をしていました。 「ロマンチックな人びと」、「ピッチカートポルカ」では、バレエが踊られました。ウィーンのリキテンシュタイン宮殿での撮影とのこと。
第1部で踊られた「ロマンチックな人びと」のワルツでは、男性ダンサーは白と黒のコントラストが印象的なラペル付きの燕尾付ジャケットを、
女性ダンサーは、優雅なイブニングドレス、第2部のシリヴィアの「ピッチカートポルカ」では、
女性ダンサーは、チュール・スカートが付いたショート丈のキルトを、
男性ダンサーはダンス用ジャケットにスコットランド・タータンのジとシャツを組み合わせて着用でした。
ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)という人のデザインだそうですが、
「ピッチカートポルカ」の女性のコスチュームは、下品で頂けない。素直にクラシックチュチュのままの方が良かった。
なお、バレエの振付は、2013年に続き、英国人アシュリー・ページ。10年程スコティッシュ・バレエ団の芸術監督だった人ですが、
クラシックともコンテンポラリーとも言えず、中途半端な気がします。
ともあれ、地球の裏側で行われているニューイヤーコンサートを、同じ時間に日本に居ながらにして、ハイビジョンの高画質で観ることができるなんて、本当に素晴らしいことだと思います。
ちなみに、来年はズービン・メータ。1936年インド生まれの71歳。小澤征爾より一つ下とのこと。
ポンペイ交響楽団創始者を父にもつメータは、ウィーンフィルでデビュー後、ニューヨークフィル、イスラエルフィルの音楽監督を経て、現在はバイエルン国立歌劇場の音楽監督をしています。
ニューイヤーコンサートは2007年以来8年ぶりですが、既に5回目の登場だそうです。
こんなに何度も出演しているのは、さぞウィーンフィルの楽団員から信頼が厚いのでしょう。
楽しみです。
ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2014
第1部
「美しいエレーヌのカドリーユ 作品14」★
エドゥアルト・シュトラウス作曲
「ワルツ“平和の棕櫚”作品207」★ ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「カロリーネ・ギャロップ 作品21a」★
ヨハン・シュトラウス父・作曲
「エジプト行進曲 作品335」 ヨハン・シュトラウス作曲
「ワルツ“もろ人手をとり”作品443」
ヨハン・シュトラウス作曲
「ポルカ・シュネル“恋と踊りに夢中”作品393」
ヨハン・シュトラウス作曲
「喜歌劇“くるまば草”序曲」 ヨハン・シュトラウス作曲
「ギャロップ“ことこと回れ”作品466」
ヨハン・シュトラウス作曲
「ワルツ“ウィーンの森の物語”作品325」
ヨハン・シュトラウス作曲
第2部
「ポルカ・フランセーズ“大好きな人”作品1」★
ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲
「ポルカ・シュネル“花束”作品188」★
ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「歌劇“カプリッチョ”から 月光の音楽」★
リヒャルト・シュトラウス作曲
「ワルツ“ロマンチックな人びと”作品167」●
ヨーゼフ・ランナー作曲
「ポルカ・マズルカ“からかい”作品262」★
ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「ポルカ・シュネル“害のないいたずら”作品98」★
ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「バレエ音楽“シルヴィア”から“ピチカーティ・ポルカ”」★●
レオ・ドリーブ作曲
「ワルツ“ディナミーデン”作品173」
ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「ポルカ“憂いもなく”作品271」ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「ポルカ・シュネル“カリエール”作品200」★
ヨーゼフ・シュトラウス作曲
「ワルツ“美しく青きドナウ”作品314」
ヨハン・シュトラウス作曲
「ラデツキー行進曲 作品228」ヨハン・シュトラウス父・作曲
〜ウィーン楽友協会から中継〜
【演奏】
ダニエル・バレンボイム(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2014年1月1日、ウィーン楽友協会ホール(ムジークフェラインザール)でのライヴ
★ニューイヤー・コンサート初登場の作品、
●バレエが踊られた曲 |
1941 クレメンス・クラウス(1) | 1942 クレメンス・クラウス(2) | 1943 クレメンス・クラウス(3) | 1944 クレメンス・クラウス(4) | 1945 中止 |
1946 ヨーゼフ・クリップス(1) | 1947 ヨーゼフ・クリップス(2) | 1948 クレメンス・クラウス(5) | 1949 クレメンス・クラウス(6) | 1950 クレメンス・クラウス(7) |
1951 クレメンス・クラウス(8) | 1952 クレメンス・クラウス(9) | 1953 クレメンス・クラウス(10) | 1954 クレメンス・クラウス(11) | 1955 ボスコフスキー(1) |
1956 ウィリー・ボスコフスキー(2) | 1957 ウィリー・ボスコフスキー(3) | 1958 ウィリー・ボスコフスキー(4) | 1959 ウィリー・ボスコフスキー(5) | 1960 ウィリー・ボスコフスキー(6) |
1961 ウィリー・ボスコフスキー(7) | 1962 ウィリー・ボスコフスキー(8) | 1963 ウィリー・ボスコフスキー(9) | 1964 ウィリー・ボスコフスキー(10) | 1965 ウィリー・ボスコフスキー(11) |
1966 ウィリー・ボスコフスキー(12) | 1967 ウィリー・ボスコフスキー(13) | 1968 ウィリー・ボスコフスキー(14) | 1969 ウィリー・ボスコフスキー(15) | 1970 ウィリー・ボスコフスキー(16) |
1971 ウィリー・ボスコフスキー(17) | 1972 ウィリー・ボスコフスキー(18) | 1973 ウィリー・ボスコフスキー(19) | 1974 ウィリー・ボスコフスキー(20) | 1975 ウィリー・ボスコフスキー(21) |
1976 ウィリー・ボスコフスキー(22) | 1977 ウィリー・ボスコフスキー(23) | 1978 ウィリー・ボスコフスキー(24) | 1979 ウィリー・ボスコフスキー(25) | 1980 ロリン・マゼール(1) |
1981 ロリン・マゼール(2) | 1982 ロリン・マゼール(3) | 1983 ロリン・マゼール(4) | 1984 ロリン・マゼール(5) | 1985 ロリン・マゼール(6) |
1986 ロリン・マゼール(7) | 1987 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1) | 1988 クラウディオ・アバド(1) | 1989 カルロス・クライバー(1) | 1990 ズービン・メータ(1) |
1991 クラウディオ・アバド(2) | 1992 カルロス・クライバー(2) | 1993 リッカルド・ムーティ(1) | 1994 ロリン・マゼール(8) | 1995 ズービン・メータ(2) |
1996 ロリン・マゼール(9) | 1997 リッカルド・ムーティ(2) | 1998 ズービン・メータ(3) | 1999 ロリン・マゼール(10) | 2000 リッカルド・ムーティ(3) |
2001 ニコラウス・アーノンクール(1) | 2002 小澤征爾(1) | 2003 ニコラウス・アーノンクール(2) | 2004 リッカルド・ムーティ(4) | 2005 ロリン・マゼール(11) |
2006 マリス・ヤンソンス(1) | 2007 ズービン・メータ(4) | 2008 ジョルジュ・プレートル(1) | 2009 ダニエル・バレンボイム(1) | 2010 ジョルジュ・プレートル(2) |
2011 ウェルザー・メスト(1) | 2012 マリス・ヤンソンス (2) | 2013 ウェルザー・メスト(2) | 2014 ダニエル・バレンボイム(2) | 2015 ズービン・メータ(5) (予定) |
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