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ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2021       (2021.1.31)

今年もNHKテレビで、ウィーン楽友協会大ホールから生中継された、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを楽しみました。
2021年の今回は、コロナウイルスの影響を受けて、史上初の無観客開催でした。緊急事態とは言え、まさに歴史的な出来事であり、テレビに加えてインターネット等の新技術が普及した21世紀だからこそ実現したコンサートの形と言えるでしょう。 毎年、著名な指揮者を招いてのニューイヤーコンサートですが、このようないつもとは違った事態に対応できる指揮者としてというわけでもないでしょうが、今回はウィーン・フィルとの縁が非常に深いリッカルド・ムーティが指揮者に選ばれたのかもしれません。彼は、2018年以来、通算6回目の指揮だそうです。それだけウィーンフィルの演奏者達の信頼が厚いのでしょう。

昨年迄のNHKのウィーンフィル。ニューイヤーコンサートでは、後半が始まるまえの休憩時間には、解説者とゲストによる対談があったのですが、今年は、バレエの収録模様の映像が流されていました。これによると、バレエシーンは、昨年の8月にが撮影されたということでした。 後半のバレエは「マルゲリータ・ポルカ」と「春の声」が踊られましたが、「春の声」には日本人ダンサーの木本全優さんがに出演していました。出演に先駆けて、この休憩時間に木本全優さんと橋本清香さんの夫婦が登場し、インタビューに答えていました。2019年に夫婦揃ってニューイヤーコンサートのバレエに出演した時の映像も流されていました。 昨年までの、つまらない対談よりも、この方がずっと気が利いていると思いました。次回以降も、このような企画を希望します。

リッカルド・ムーティは2018年に、このウィーンフィル・ニューイヤーコンサートを指揮したのですが、この時は見過ごしてしまいました。その前の2004年のときは、オペラの指揮者としての彼の生真面目さが強く感じられて、ニューイヤーはお祭りですから、もう少し軽い遊びがあっても良かったのではと思ったのを記憶しています。 今回は、テンポの早いポルカとマーチは、いかにも、ムーティらしい溌剌とした雰囲気のとても良かったのですが、概してゆったりしたテンポの曲は、ゆったり感が行き過ぎて重い感じになってしまったような気がしました。やはり彼はオペラの指揮者なのでしょうか。

来年のニューイヤーコンサートは、ダニエル・バレンボイムの指揮で行われるということです。 ダニエル・バレンボイムは、ピアニストとしては、1956年にウィーン・フィルと最初の共演を行っているそうですし、ウィーン・フィルの指揮は1989年に始まり、ニューイヤーコンサートは、2009年と2014年の2回指揮していますから、次回は3回目の指揮ということになります。 2014年の時は、前半はウィンナワルツのコンサートにしては全体的に固く、テンポが微妙に重く、私好みではなかったけれど、後半は、奏者が曲に合わせて歌ったり、ラデツキー行進曲の演奏中にオーケストラの中に入って行ったり、行き、演奏者1人1人と握手をしたり、 とてもとても楽しげで良かったと記憶していますので、次回の指揮を期待しています。

演奏曲目

フランツ・フォン・スッペ 〈ファティニッツァ行進曲〉
ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ〈音波〉op.148
ヨハン・シュトラウス2世 〈ニコ殿下のポルカ〉op.228
ヨーゼフ・シュトラウス ポルカ・シュネル〈憂いもなく〉op.271
カール・ツェラー ワルツ〈坑夫ランプ〉
カール・ミレッカー ギャロップ〈贅沢三昧〉
   ― 休 憩 ―
フランツ・フォン・スッペ 歌付き喜劇《詩人と農夫》序曲
カール・コムザーク2世 ワルツ〈バーデン娘〉op.257
ヨーゼフ・シュトラウス 〈マルゲリータ・ポルカ〉op.244
ヨハン・シュトラウス1世 〈ヴェネツィア人のギャロップ〉op.74
ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ〈春の声〉op.410
ヨハン・シュトラウス2世 ポルカ・フランセーズ〈クラップフェンの森で〉op.336
ヨハン・シュトラウス2世 〈新メロディー・カドリーユ〉op.254
ヨハン・シュトラウス2世 〈皇帝円舞曲〉op.437
ヨハン・シュトラウス2世 シュネル・ポルカ〈恋と踊りに夢中〉op.393
   ― アンコール ―
ヨハン・シュトラウス2世 〈狂乱のポルカ〉op.260
ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ〈美しく青きドナウ〉op.314
ヨハン・シュトラウス1世 〈ラデツキー行進曲〉op.228

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2021
指 揮 リッカルド・ムーティ
演 奏 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
会 場 ウィーン楽友協会大ホール


歴代ニュー・イヤー・コンサートの指揮者 ( )は回数
1941 クレメンス・クラウス(1)1942 クレメンス・クラウス(2)1943 クレメンス・クラウス(3)1944 クレメンス・クラウス(4)1945 中止
1946 ヨーゼフ・クリップス(1)1947 ヨーゼフ・クリップス(2)1948 クレメンス・クラウス(5)1949 クレメンス・クラウス(6)1950 クレメンス・クラウス(7)
1951 クレメンス・クラウス(8)1952 クレメンス・クラウス(9)1953 クレメンス・クラウス(10)1954 クレメンス・クラウス(11)1955 ボスコフスキー(1)
1956 ウィリー・ボスコフスキー(2)1957 ウィリー・ボスコフスキー(3)1958 ウィリー・ボスコフスキー(4)1959 ウィリー・ボスコフスキー(5)1960 ウィリー・ボスコフスキー(6)
1961 ウィリー・ボスコフスキー(7)1962 ウィリー・ボスコフスキー(8)1963 ウィリー・ボスコフスキー(9)1964 ウィリー・ボスコフスキー(10)1965 ウィリー・ボスコフスキー(11)
1966 ウィリー・ボスコフスキー(12)1967 ウィリー・ボスコフスキー(13)1968 ウィリー・ボスコフスキー(14)1969 ウィリー・ボスコフスキー(15)1970 ウィリー・ボスコフスキー(16)
1971 ウィリー・ボスコフスキー(17)1972 ウィリー・ボスコフスキー(18)1973 ウィリー・ボスコフスキー(19)1974 ウィリー・ボスコフスキー(20)1975 ウィリー・ボスコフスキー(21)
1976 ウィリー・ボスコフスキー(22)1977 ウィリー・ボスコフスキー(23)1978 ウィリー・ボスコフスキー(24)1979 ウィリー・ボスコフスキー(25)1980 ロリン・マゼール(1)
1981 ロリン・マゼール(2)1982 ロリン・マゼール(3)1983 ロリン・マゼール(4)1984 ロリン・マゼール(5)1985 ロリン・マゼール(6)
1986 ロリン・マゼール(7)1987 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1)1988 クラウディオ・アバド(1)1989 カルロス・クライバー(1)1990 ズービン・メータ(1)
1991 クラウディオ・アバド(2)1992 カルロス・クライバー(2)1993 リッカルド・ムーティ(1)1994 ロリン・マゼール(8)1995 ズービン・メータ(2)
1996 ロリン・マゼール(9)1997 リッカルド・ムーティ(2)1998 ズービン・メータ(3)1999 ロリン・マゼール(10)2000 リッカルド・ムーティ(3)
2001 ニコラウス・アーノンクール(1)2002 小澤征爾(1)2003 ニコラウス・アーノンクール(2)2004 リッカルド・ムーティ(4)2005 ロリン・マゼール(11)
2006 マリス・ヤンソンス(1)2007 ズービン・メータ(4)2008 ジョルジュ・プレートル(1)2009 ダニエル・バレンボイム(1)2010 ジョルジュ・プレートル(2)
2011 ウェルザー・メスト(1)2012 マリス・ヤンソンス (2)2013 ウェルザー・メスト(2)2014 ダニエル・バレンボイム(2)2015 ズービン・メータ(5)
2016 マリス・ヤンソンス(3)2017 グスターボ・ドゥダメル(1)2018 リッカルド・ムーティ(5)2019 クリスティアン・ティーレマン(1)2020 アンドリス・ネルソンス(1)
2022 リッカルド・ムーティ(6)2021 ダニエル・バレンボイム(3)(予定)

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