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歌劇「にせの花作り女」:アーノンクール、チューリヒ歌劇場  (2007.1.8)

歌劇「にせの花作り女」は、モーツァルトが19歳の時に作ったオペラです。なんでもこの作品は1978年にイタリア語の歌詞が発見され、それ以降オリジナルのイタリア語で上演されるようになったとのことです。2006年はモーツァルト生誕250年ということで、世界各地でモーツァルトの作品が演奏され、そのおかげで、NHK BS放送でも、この珍しいオペラが放送されました。 ニコラウス・アーノンクール指揮、チューリヒ歌劇場の管弦楽団の演奏です。
物語は他愛ないものです。伯爵令嬢ヴィオランテは、かつて恋人だったベルフィオーレ伯爵と仲違いし、彼に刺されてしまいます。 伯爵はヴィオランテは死んだと思ってますが、実は彼女は生きていて、サンドリーナと名乗って、市長の家に雇われ女庭師の仕事をしています。そこにベルフィオーレ伯爵が許嫁のアルミンダを連れてやってきて、ベルフィオーレ伯爵とサンドリーナは再び愛し合うようになります。サンドリーナに恋心を抱いている市長や、ベルフィオーレ伯爵をあきらめきれないアルミンダとの間で争いが起きますが、最後には二人は結ばれ大団円を迎えるという、楽しいドタバタ喜劇です。
 
主役サンドリーナを演じるエヴァ・メイは、歌唱力・容姿ともに抜群の素晴らしいソプラノ。 彼女はイタリアに生まれ、ルイジ・ケルビーニ音楽院で学び、1990年、ウィーンの国際モーツァルト・コンクールで入賞。同年ウィーン国立歌劇場に「後宮からの逃走」のコンスタンツェ役でデビュー。 その後も欧州の主な歌劇場に出演し、1993年、ミラノ・スカラ座に「タンクレディ」のアメナイーデ役でデビューを果たしたという実力者です。 レパートリーはヘンデルからモーツァルト、ヴェルディ、ストラヴィンスキーまで幅広いとのことです。 彼女の演技を観て清涼感ある声質の歌唱を聴いているだけで幸せな気分になってしまうほどです。
アリア以外にも、美しい重唱もたくさんあって、モーツァルトならではの素晴らしいアンサンブルを楽しめました。 また、アーノンクールは古楽奏法という独自のスタイルでモーツァルトを演奏し、 モーツァルトが生きていた時代の音の響きを再現したということです。
こんなオペラをBS放送で楽しめたのも、モーツァルト生誕250年だからこそと言えるでしょう。

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