大和シティーバレエジュニアカンパニー(YCBJC)の「くるみ割り人形」を見てきました。
大和シティーバレエジュニアカンパニーは山路瑠美子バレエ研究所のダンサーでもある佐々木三夏が主催する大和市の佐々木三夏バレエアカデミー(SBA)で育った
地元大和市の若いダンサーたちの一層の活躍を目指して、2004年に出来た新しいバレエ団。
多くのゲストダンサーを招いて、公演や発表会を開いています。今回は、金平糖の精に西田佑子、王子に奥村康祐を招いての公演です。
大和シティーバレエジュニアカンパニーのメンバーに佐々木三夏バレエアカデミーの生徒達も加わって、公演というより生徒達の発表会という感じでしたが、
他に、山田歌子、王益東など、実力者も加わった、楽しい舞台でした。
「発表会の客演は嫌い」という、ベテランダンサーの言葉を聞いたことがあります。生徒達の中でのプロの踊り・・・、観客は、否応なしにプロのダンサーに注目しますから、
もし失敗したら・・・、ベテランと言えども一般の公演以上に緊張するのでしょう。とくに「くるみ割り人形」では、最後の最後が最高の見せ場「金平糖の踊り」で、
これに出演する女性ダンサーは、舞台が始まってから2時間近くも待っていなくてはならず、その辛さは大変なものだと思います。
西田佑子にも、そんな緊張があったのでしょうか、アダージョの最初のうちは、なんとなく、ぎこちなく生彩がなかった。
無理に笑顔を作っているようで、表情も固かった。でも、バリエーションでは、落ち着きを取り戻し、甘いチェレスタの調べにのって柔かな美しい踊りでした。
勢い余って、フィニッシュで僅かに静止の足がズレてしまったのは、ご愛敬。むしろ、歯を食いしばって必死に踏ん張った表情が魅力的でした。
コーダでは、快調に跳ばすパートナーの奥村康祐につられて?、軽快なピルエット。フィニッシュのフィニッシュダイブもピタッと決まって、満面の笑み。
首筋には汗が光っていました。それにしても、西田佑子は可愛らしい。小柄で、ほっそりとして、美しい笑顔、まさにバレエのプリンセスと言った感じ。
法村友井バレエ団を退団してフリーになって、自分だけが頼りの彼女、くれぐれも怪我に気をつけて、頑張って欲しいと思います。
ちなみに、西田佑子、奥村康祐のペアは、2007年3月の東京新聞主催第64回全国舞踊コンクール・パ・ド・ドゥの部で第1位になったということで、
今や日本一実力のあるペアということでしょう。コンクールの結果は(株)ビデオ
のHPに載っています。
クララを踊った田口諒美は、可愛らしく、しかも正確な踊りで素敵でした。いつもは、第1幕は退屈するのですが、今回あっという間に終わってしまったのは、
演出の妙に加えて、彼女の力によるところも大きいと思います。将来楽しみなダンサーです。
その他では、アラビアの踊りを踊った、小川恵里奈の柔らかさが印象に残りました。「うまくいって良かった!」と、レベランスの美しい笑顔が素敵でした。
山路バレエから客演の山田歌子は、以前、山路バレエの発表会で踊ったリラの精や海賊のパ・ド・ドゥが素敵だったので、
雪の精と、王益東と組んだスペインの踊りを期待したのですが、
可愛らしかったけれど、淡々と踊ってしまって、印象に残りませんでした。もう少しメリハリをつけて欲しかった。
今回の公演、バレエ団の生徒逹の出演も多く、発表会的なわりには、コールドバレエも良く合っていて、このバレエ団の優れた実力を知ることができた感じです。
バレエ「くるみ割り人形」
(出演) 金平糖の精:西田佑子、王子:奥村康祐、
クララ:田口諒美、雪の精:山田歌子ほか、
スペインの踊り:山田歌子、王益東、アラビアの踊り:小川恵里奈、
大和シティバレエJr.カンパニーMembers
佐々木三夏バレエアカデミーStudents
2007年12月15日 テアトロ・ジーリオ・ショウワ
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