【山口's HP TOPへ戻る】

熊川哲也「No pain, no gain」に思う       (2008.4.1)

TBSテレビで放送された熊川哲也の復活ドキュメントを見ました。2007年5月、札幌で公演中に大けがをしたバレエダンサー・熊川哲也が舞台復帰するまでの10カ月間を追ったものですが、なかなか見応えのある番組でした。
バレエは、楽器などの道具を一切使わず、肉体だけで全てを表現する芸術です。バレエダンサーは、自らの技と沸き上がる感情を、楽器などの道具を一切使わず、自らの肉体で表現することで、観る者に感動を与えます。そんな、ダンサーの生命を左右しかねない右ひざの前十字靱帯断裂。大手術、リハビリ・・・、一時、彼は引退まで考えたということです。
番組の中で、熊川哲也は「海外は『実力があっての人気』、日本は『人気があっての実力』」と言っていました。熊川が出演出来なくなってチケットの払い戻し。熊川が出るから舞台を見に来るという観客によって成り立っていたバレエの現実・・・。K-Ballet始まって以来の危機。たとえ踊れなくても、彼は、すべての舞台の最後に顔を出し、観客のK-Ballet離れを食い止めようと必死だったそうです。そして、10ヶ月後の2008年3月、新作バレエ「第九」。第4楽章でダンサーとして奇跡の復活を果たしました。
日本人離れしたカッコ良さと派手なアクションで人気のある熊川哲也を、私はあまり好きではありませんでしたが、この「No pain, no gain.」は、強く印象に残りました。この言葉、どん底から這い上がった彼が言うからこそ、真実みがあります。
ダンサーとして、芸術監督として、そしてK-Balletカンパニーの経営者として、この36歳の若者は、やはり、ただ者ではないぞと、つくづく感じた次第です。
 
「No pain, no gain.(痛みなくして、得るものなし)」・・・、いい言葉ですね。
「価値があるものを得ようと思ったら、それなりの苦労はつきものだ。」、 「苦労を避けていては、得られるものは少ない。」ということなのでしょう。

【山口's HP TOPへ戻る】