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パリオペラ座の「魔笛」      (2003.4.20)

とても素敵なオペラを見ました。NHK BSUで放送された、モーツァルトの「魔笛」です。これは2000年末にパリオペラ座・ガルニエ宮での録画です。見慣れたモーツァルトの「魔笛」の中でも、一風変わっていてとても楽しめました。ストーリーは通常と大きく変わりはありませんが、演出がとても奇抜で面白いし、合唱の人たちの衣装も背広にネクタイ・・・という現代版?。二時間半が少しも長く感じませんでした。
 
「魔笛」は、モーツァルトの最後の歌劇で、ジュングシュピールと言われるドイツ語のセリフ入りオペラです。モーツァルトが入会していたフリーメーソンに強く影響を受けていると言われており、たとえば、3という数字はフリーメーソンでは重要ものだそうで、このオペラでも、3人の侍女や3人の少年が登場するように、3にこだわっています。また、ザラストロの城の儀式やタミーノとパミーナの火と水の試練などもフリーメーソンの影響が表れていると言われています。でもそんなことはどうでもよい。「魔笛」は、モーツァルトの無邪気さ、悪戯っぽさが随所に現れた、この上なく楽しいオペラです。今回の「パリオペラ座の『魔笛』」は、ことさら、この楽しさを存分に味わえました。
 
歌手はみんなとても若く、しかも上手で芸達者。タミーノのピョートル・ベチラは張りのある美しい声のテノールで、若くて少し頼りない王子を好演していました。パミーナのドロテア・レシュマンはとても品のいい、それでいて力のある声のソプラノで輝いていました。夜の女王の侍女3人の体型が不ぞろいで気になりましたが、ハーモニーの美しさは素晴らしかった。パパゲーノのデートレフ・ノートは演技もうまかったし歌も素晴らしかった。特筆すべきは、ザラストロのマッティー・サルミネン。力強いバスで大地の響きのような声が印象的でした。案内の3人の少年はとても美しい声で演技も上手でした。ただチョッと残念だったのが、夜の女王のナタリー・テッセー。とても若い美しいソプラノで、本当に綺麗な声なのですが、母の愛と怒りを歌うドラマチック役にしては、やや線が細すぎる気がしました。
 
ともあれ、NHKがBSで、こんな素晴らしい「魔笛」を放送してくれたのは非常に有難いこと。HDレコーダーでバッチリ録画しましたので、DVDに移して、繰り返し観ようと思います。私の大切な宝物が一つ増えました。
 
パミーナ:ドロテア・レシュマン、タミーノ:ピョートル・ベチラ
夜の女王:ナタリー・テッセー、ザラストラ:マッティー・サルミネン
パパゲーノ:デートレフ・ノート、パパゲーナ:ガエル・ル・ロア
指揮:イヴァン・フィッシャー、パリオペラ座管弦楽団・合唱団
2000年12月、パリオペラ座ガルニエ宮


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