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インテルをしのいだAMD「オプティオン」 への期待  (2002.5.12)

AMDの64ビットMPU「オプティオンOpteronTM」が、今年(2002年)秋に発売されるそうです。同プロセッサは以前コード名「SledgeHammer」と呼ばれていたものです。
MPUの巨人インテルは、既に64ビットMPU「アイテニアム」を発表しています。
 
インテルが32ビットMPU「i386」を市場投入したのは10年前。以後パソコンの心臓部であるMPU市場で圧倒的な強さを持ち、約8割の市場占有率(シェア)を確保、「MPUの巨人」と呼ばれるまでになりました。ただインテルを取り巻く市場環境は急変しています。携帯電話はパソコンを上回るペースで世界的な普及が進み、携帯電話を通じてのインターネット利用者も急増しています。一方、パソコン向けMPUでも低消費電力を売り物にした新興ベンチャーのトランスメタが台頭しています。
インテルの64ビットMPU「アイテニアム」は、現在パソコンに搭載されている「ペンティアム」に比べ命令実行機能などの処理性能や信頼性を大幅に向上させていると言われます。インテルは、「アイテニアム」が高性能サーバーやワークステーションなど、基幹情報通信システムの核となる高性能コンピューターに搭載されることをねらっています。
 
ただしこの「アイテアム」には決定的な弱点があります。「アイテアム」は、「i386」以来「ペンティアム」まで採用してきた「X86」と全く別のアーキテクチュア(設計思想)を採用しています。このため、「X86」用に蓄積されてきたソフトウェア資産がそのままでは使えないのです。つまり従来のソフトウェアを「アイテアム」の上で動かすにはソフトウェアの作り替えが必要なのです。これはユーザにとっては大きな負担です。
この点、AMDの「オプティオン」は、ネイティブ・モードとはいえ、32ビット・アプリケーションをサポートしているため、今までの32ビット用に作られたソフト資産が無駄になりません。もちろん、64ビット用に作られたソフトは、より効率よく動作させることが出来ます。ユーザの要求を良く理解していると言えます。
 
また、ソフトウェアの巨人マイクロソフトが、「オプティオン」向けのWindowsを共同開発することに同意したと言うことです。マイクロソフトがインテル以外に向けたWindowsを開発するのは初めてのこと。それほどこの「オプティオン」は、OSメーカーからも、魅力があるのでしょう。

インテルの互換MPUメーカーに甘んじていたAMDが、技術的に、そして顧客のニーズへの対応の面からも、ついに巨人インテルを追い越したとも言えるかもしれません。
 
省電力MPUではトランスメタの「クルーソー」に、64ビットMPUではAMDの「オプティオン」に追い越された感じのインテルですが、長年培われた底力があるはずです。ユーザとしては、インテルが、より性能の良い魅力的なMPUを世に出してくれることを期待します。


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