【トップページへ戻る】

「白鳥の湖」 :ピエトラガラ、パリ・オペラ座バレエ     (2005.3.1改)

この映像は、パリ・オペラ座のブルメイステル版「白鳥の湖」です。この舞台はとても美しく、さすがパリオペラ座のセンスという感じがします。
 
主演はマリ=クロード・ピエトラガラとパトリック・デュポン。ピエトラガラはパリオペラ座のノエラ・ポントワ、エリザベート・プラテルといった、「お姫様」的なエトワールとは、一際違った、個性的なバレリーナです。パトリック・デュポンによって27歳でエトワールに昇進したという彼女、バレリーナとしては遅咲きです。クールな美貌、黒髪と黒い瞳、彫りの深いエキゾティックな風貌、色っぽさを感じます。こんなピエトラガラは、オデットより、黒鳥オディールに合っているようです。オデットでは、通常の、はかなさや、悲しさという表現はありません。白鳥の姿をしていても凛とした威厳のようなものを感じました。 
デュポン、ピエトラガラとも、第三幕「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」で本領発揮という感じがしました。ピエトラガラのオディールは迫力があり魅力的です。アダージョでは、出だしから、デュポンに支えられた右手がギクギク震えて不安定ながらも、華麗に180度までも足をあげた美しいアラベスクを決めました。終盤では、これまたガクガクする足首の揺れを必死に堪えて、長〜いアチチュードのバランスを決めて大きな拍手を受けました。ダブルを加えたグランフェッテでは、軸足が回転ごとに数十センチずれて辛そうでしたが、懸命に回る姿は感動を覚えます。終盤疲れたのか回転が遅くなってきたところを、デュポンがウェストを優しくサポート、無事踊りきりました。デュポンは、第三幕のヴァリエーションはジャンプも高くさすがにうまいのですが、全体的には、とても丁寧におとなしく踊っているように思いました。この2人とも、もうオペラ座にはいません。
 
衣装を日本人のデザイナー毛利臣男が担当しています。やや歌舞伎っぽい感じで一幕や三幕の衣装はとても奇抜ですが、かえって、ひとつの見所とも言えるとも思います。逆に、美術の方は極めてシンプルです。特に、湖のシーンはパリ・オペラ座独特の奥行きを感じさせる舞台で、シンプルな上に、とても洗練されていて、とても好きです。
ただ、演奏がチョッと・・・・・。オペラ座のオーケストラはうまいはずなのにどうしたのでしょう。ダンサーがかわいそうな気がしました。
 
とは言え、見慣れたヌレエフ版とはちょっと違った演出で、楽しめました。
 
   オデット/オディール:マリ=クロード・ピエトラガラ
   王子ジークフリート:パトリック・デュポン
   道化:エリック・キエレ
   ブルメイステル版
   1992年7月、パリ・オペラ座バスティーユ

【トップページへ戻る】