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フォンティーンとヌレエフ:The Perfect Partnership  (2003.9.27)

マーゴ・フォンティーンとルドルフ・ヌレエフが亡くなって、10年になります。
この二人パートナーシップを紹介した「The Perfect Partnership」という映像があります。パドドゥなど見せ場を集めているダンスビデオとは違い、ドキュメンタリーで、舞台映像やリハーサルシーンに加えて、報道シーン、それに、ロイヤルバレエ団の関係者の話などを織り交ぜて、1962年以来17年に渡るパートナーシップおよび二人の歩んだ人生を紹介しています。
 
バレエシーンでは、海賊、ラ・シルフィード、椿姫、ロミオとジュリエット、それに、誕生日の贈り物のリハーサル風景等が、収録されています。
二人の話に加え、フォンティーンを見出したニネット・ド・ヴァロワ女史、フォンティーンの振付師であるフレデリック・アシュトン卿など、様々な人達が、二人について語っています。
 
この中で、特に印象が残っているシーンとして、アシュトン振付の「誕生日の贈り物」のリハーサル風景があります。フォンティーンは、早い動きよりも叙情的な踊りを好むようですが(このビデオでもピルエット苦手という表現があります)、この「誕生日の贈り物」のパドドゥでは、彼女のこの叙情的な面を強調するように、難しいバランスの技が連続しています。これをみるとアシュトンが如何にしてフォンティーンの美しさを引き出そうとしているか、またフォンティーンが懸命に技を達成しようとしているのがわかりますし、アシュトンは、パートナーのヌレエフにも細かく注意しています。「彼女が手を離したら、すぐ前に回りなさい」。「それが彼女に安心感を与えるのです」。「もっと高く(彼女を)持ち上げなさい」等々・・・ 。フォンティーンの表情は、真剣そのもの、むしろ引きつっている位です。
このパ・ド・ドゥのフィニッシュ近くで、マーゴがポアントで立ち、後ろに立って頭上で支えているヌレエフの手を離して、前に回り込んだヌレエフのサポートを受けるまで、一人で長いアチチュードのバランスをとり続ける場面があります。 この時、ヌレエフの回りこんで差し出した手が、誤ってフォンティーンの腰のあたりに触れてしまうアクシデントが起こります。バランスを崩したフォンティーン、堪えきれず転倒。そのまま床にしゃがみ込んでしまいます。ヌレエフも申し訳なさそうにうつむいてしまいます。 アシュトンは、優しく二人に「やり直すかい」と声をかけます。ヌレエフに引き起こされて、フォンティーンは気を取り直して再度トライ。今度はヌレエフとの呼吸もぴったり合い、たっぷりとバランスをとってフィニッシュ。フォンティーンの顔に笑みが浮かびました。
この場面が、Youtubeに載っていました。こちら→
 
育った環境もまったく違い、親子程の年齢差のこの二人、大方の予想では、このコンビは長く続かないとされていたそうです。それが17年も続きました。
このビデオを見ていると、二人は、まさに「The Perfect Partnership」だったのが良く分かります。

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