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ノエラ・ポントワのこと        (2001.05.20)

 
ノエラ・ポントワは、パリオペラ座のはえ抜きバレリーナです。
1960年後半〜1980年始めまで、文字どおりパリオペラ座のエトワールとして君臨していました。
彼女は日本人ダンサー工藤大貳と結婚して、娘にミテキ・クドー(工藤美笛)がいます。 ミテキ・クドーは以前、資生堂のコマーシャルに出ていました。最近は日本には来ていないようですが、パリ・オペラ座のスジェ(ソリスト)で活躍しているそうです。
 
最近、ノエラ・ポントワのビデオを観る機会がありました。
白鳥の湖〜第2幕です。パートナーは、パトリック・デュポン。
グラン・アダージョの部分だけですが、ポントワの映像はあまりなく、貴重な記録だと思います。これを観ていたら、昔観た、ポントワのステージを思いだしました。
 
1972年頃、ポントワは来日し「眠りの森の美女」で東京バレエ団と共演しました。
私はこの公演を観にいきましたが、第1幕「ローズアダージョ」を鮮明に覚えています。
ポントワは、小柄で可愛らしく、リリックで、フランス人ですが、どちらかと言うと、大和撫子とでも言えるようなバレリーナでしょうか。
お目当てのアチチュードのバランスでは、バランスそのものはそれほど長くはなかったのですが、とても自然なのです。「始めますよ!!」というような意気ばった感じが無く、スーと入っていきます。 それでいて、決して物足りなさを感じさせない。音楽にとても良く乗っているのです。
その細くて長い腕がふわりと静かに頭上に差し上げられたとき、息を呑みました。 単にバランスが良いとか、足が高く上がるとかの技術だけじゃない、節度というか、奥ゆかしさというようなものを感じさせる。このようなところが単にテクニックを見せるだけではない、真の芸術家なのだと思います。
 
ともあれ、私が、ノエラ・ポントワという一世を風靡した大スターを、全盛期に生で観ることが出来たのは、バレエファンとして、とても幸せなことだと思います。

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