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ノエラ・ポントワの「眠りの森の美女」 1972  (2014.12.26)
ノエラ・ポントワは、パリオペラ座のはえ抜きバレリーナです。
1960年後半〜1980年始めまで、文字どおりパリオペラ座のエトワールとして君臨していました。
彼女は日本人ダンサー工藤大貳と結婚して、娘にミテキ・クドーがいます。
ミテキ・クドーもパリ・オペラ座で活躍しています。
 
さて、ポントワは「眠りの森の美女」で東京バレエ団と共演しています。1972年頃です。
私はこの公演を観たのですが、なぜか第2幕以降を覚えていないのです。
逆に、第1幕「ローズアダージョ」は鮮明に覚えています。
それだけ「ローズ・・・」が素晴らしかったとも言えましょう。
従って、「ローズ・・・」についてお話します。
 
ポントワは、小柄で可愛らしく、リリックで、フランス人ですが、どちらかと言うと、日本の大和撫子とでも言えるようなバレリーナでしょうか。
私は、ポントワはオーロラ姫にぴったりだと思います。オーロラ姫について言えば、同じパリ・オペラ座出身で、最近はロイヤルで踊っているシルヴィ・ギエムより、ポントワの方が、絶対に向いていると思います。ギエムは、テクニックは抜群なのですが、どこかアクロバット的なところが感じれてしまうのです。オーロラ姫に必要なエレガンスがチョット??と思ってしまいます。(ギエム・ファンには申し訳ないけれど)。
 
第一幕オーロラの出はとてもはなやか。舞台にパット花が咲いたようでした。
続く「ロ−ズ・アダージョ」も素敵です。
おそらく、「ローズ・・・」に限れば、数年後に観たフォンティーンの舞台に匹敵するほどの素晴らしいものでした。
 
お目当てのアチチュードのバランスでは、バランスそのものはそれほど長くはないのですが、とても自然なのです。「始めますよ!!」というような意気ばった感じが無く、スーと入っていきます。
それでいて、決して物足りなさを感じさせない。音楽にとても良く乗っているのです。
単にバランスが長いとか、足が高く上がるとかの技術だけじゃない、節度というか、奥ゆかしさというようなものを感じさせる。このようなところが単にテクニックを見せるだけではない、真の芸術家なのだと思います。
 
それにしても、「ローズ・・・」以外を全く思い出せないのは、なぜ、なのでしょうね。
相手役の王子も一緒にオペラ座から来て共演したアッティリオ・ラビスですが、ほとんど記憶に残っていません。
 
ともあれ、ノエラ・ポントワという一世を風靡したスターの全盛期を観ることが出来たのは、バレエファンとして、とても幸せなことだと思います。

ノエラ・ポントワの「眠りの森の美女」
1972年:東京バレエ団公演
オーロラ姫:ノエラ・ポントワ
デジレ王子:アッティリオ・ラビス
 

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