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プリウスがリコール(回収・無償修理)となりました。対象はプリウスの30型全車両で、約99万7千台だそうです。
モータ・ジェネレータとパワー・マネージメントのコントロール・コンピュータの制御ソフトの入れ替えだそうで、 2月12日の新聞発表の当日にディーラーから連絡があり、その翌日に対策完了でした。 迅速な対応に、さすがトヨタだと感心しましたが、私はチョット、気になった点がありました。 このリコールについて、トヨタのホームページには、次のように載っています。 |
(1)ハイブリッドシステムにおいて、制御ソフトが不適切なため、加速時などの高負荷走行時に、昇圧回路の素子に想定外の熱応力が加わることがあります。
そのため、使用過程で当該素子が損傷し、警告灯が点灯して、フェールセーフのモータ走行となります。
また、素子損傷時に電気ノイズが発生した場合、ハイブリッドシステムが停止し、走行不能となるおそれがあります。
(2)全車両、制御ソフトを対策仕様に修正します。 制御ソフト修正後に素子が損傷して警告灯が点灯した場合は、電力変換器(DC-ACインバータ)のモジュールを無償交換します。 |
私はこの記述の『「制御ソフトを対策仕様に修正」し、その後「素子が損傷したら、電力変換器(DC-ACインバータ)を交換する」』という内容について、
『根本的な不具合は、電力変換器(DC-ACインバータ)にあるのだけれど、とりあえず不具合の現象を制御ソフトの修正で回避する』と解釈しました。
私は、かってコンピュータシステムの開発に携わっていた経験から、ハードの不具合をソフトで回避するの珍しいことではなかったし、
不具合が出ている以上、その事象を早く取り除き、極力システム全体への影響を少なくする必要があるので、
ソフトの修正なら費用も時間もさほどかからないので、まず実施するのが得策だと思います。
その意味で、今回の対策は間違っていないし、むしろ、ユーザーを早く安心させるために、望ましい手段だったと思います。
ただ、「根本原因である、電力変換器(DC-ACインバータ)の不具合はどうするの?」という疑問が残ります。
「加速時などの高負荷走行時に、昇圧回路の素子に想定外の熱応力が加わることがあり、使用過程で当該素子が損傷し・・・」 ということは、電力変換器(DC-ACインバータ)からの出力電力に、昇圧回路の素子が耐えられないことがある、ということでしょう。 それをソフトで「昇圧回路の素子が耐えられる程度に出力電力を減らす」というわけです。 それでもダメなら、インバータそのものを交換するということです。 電力変換器(DC-ACインバータ)を交換するには、時間も費用もかかるでしょうから、今回やめておくのは仕方ないとしても、 根本原因が分かっているのに、いつまでも対策をしないというのは、メーカーとして無責任です。 この不具合は、2011年頃から出だしたということなので、経年変化による部品の劣化も気になるところです。 近く買い替える予定の客の車は別にしても、これからもこのプリウスに長く乗っていこうと思っているユーザーの車に対しては、きちんと対策すべきではないでしょうか。 顧客満足度というのは、そんなところに現れるもので、きめ細かなサービスが必要に思います。 定期点検の時にでも、インバータの交換をしてくれることを希望します。
それにもう一つ、今回の制御ソフトの対策では、高負荷走行時の本来の出力電力を減衰させることになるでしょうから、
設計時のハイブリッドシステムの能力に、少なからず制限が加わることになるような気がします。
この対策によって、プリウスの最大の武器である、快適な走行性能や圧倒的な燃費性能が、低下することがないよう願っています。 |
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