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ローザンヌ・ガラ  (2005.3.21改)

2004年の秋に、NHK教育テレビで、「ローザンヌ国際バレエコンクール受賞者によるガラ」が放映されましたが、今度は、BS2で放映されました。
前回教育テレビで放映された内容といくつか違っていました。前回より放映時間が長かったので今回初めて放映されたものもありますが、逆にカットされたものもあり、どうせ再放送するならノーカットで放送してもらいたいものです。
 
「ローザンヌ・ガラ」は、高円宮憲仁殿下を偲んでの企画とのことで、若手ダンサーの登竜門「ローザンヌ・バレエ・コンクール」から巣立ち、様々な国や環境で頑張っているダンサー達を、一同に見られるのは本当に興味深く嬉しいことです。
収録  2004年8月14日 NHK大阪ホール
 
前回と今回の放送をまとめて感想を述べます。
(1)「エスメラルダ」〜ヴァリエーション (前回)
[振付:ワガノア、音楽:プーニ]
贄田萌さんは2004年にスカラーシップ賞を受賞、9月から英国ロイヤルバレエ学校に留学している新鋭。タンブリンを上手に使った正確な踊りが楽しめました。
 
(2)「ウィリアムテル」〜(今回)
[振付:ハルバート、音楽:ロッシーニ]
贄田萌さんの「ウィリアムテル」。クラシックではなくコンテンポラリーです。コミカルな踊りで楽しめました。
 
(3)「二羽の鳩」より、パ・ド・ドゥ (前回)
〔振付:アシュトン、 音楽:メサジュ〕
崔由姫(チェ・ユフィ)(英国ロイヤルバレエ団)、蔵健太(英国ロイヤルバレエ団)
チェ・ユフィさん、姿を現わしたその瞬間からキラキラ輝いていて、見入ってしまいました。美しくしなやかな身体と、細やかに魅せる表現の素晴らしさ。とにかく魅力的なダンサーです。2002年にプロ研修賞&コンテンポラリー賞受賞後、ロイヤルバレエ団に入団し、既に頭角を現しているとのこと。彼女のジゼルや白鳥、オーロラ姫など、是非観てみたいと思いました。蔵健太さんも、1995年スカラーシップ賞受賞後、ロイヤルバレエ団に入団、端正な踊りで、サポートがとても上手に感じられました。チェ・ユフィさんは、蔵健太さんの優しく正確なサポートがあったからこそ、伸び伸びと踊ることが出来たのでしょう。
  You Tube に映像が載っていました →こちら
 
(4)「眠れる森の美女」より、グラン・パ・ド・ドゥ (前回:コーダ、今回:アダージョ)
〔振付:プティパ、 音楽:チャイコフスキー〕
菅野真代(サンフランシスコバレエ団)、ケーシー・ハード(パシフィック・ノーザンウエストバレエ団)。前回の放送では、コーダだけでその他はカット。せめてアダージョを放送して欲しいと思っていたら、今回の放送はアダージョでした。菅野真代さんは、1997年にスカラーシップ賞を受賞、2000年よりサンフランシスコバレエ団で踊っているとのこと。終始笑顔で、踊りは丁寧で綺麗だったのですが、全体にふっくらした体型のせいか、何となく重いのが気になりました。ケーシー・ハードさんとの息があまりよく合っていないのか、動きがぎこちな感じました。オーロラ姫には、もう少し軽やかさと繊細さが欲しかった。
 
(5)「ラ・シルフィード」〜パ・ド・ドゥ (前回と今回)
〔振付:ブルノンヴィル、音楽:ロヴェンショルド〕
堀川美和(関西ダンスアート)、清水健太(マイアミシティ・バレエ) 。堀川美和さんは、関西ダンスアートで活躍中。5年ほど前の「眠りの森の美女」のオーロラ姫の初々しい映像がありますが、この時よりずっと落ち着いて、成長を感じました。清水健太さんは2000年のスカラーシップ賞&コンテンポラリー賞受賞後、2002年マイアミシティ・バレエ団に入団。明るく弾むようなダンスに気持ちよさを感じました。
 
(6)「真夏の夜の夢」より、パ・ド・ドゥ (前回と今回)
〔振付:デヴィッド・ニクソン、 音楽:メンデルスゾーン〕
雨宮景子(ノーザンバレエシアター)、高橋宏尚(ノーザンバレエシアター)。雨宮景子さんは、2001年よりノーザンバレエシアターで踊っているそうです。高橋宏尚さんは1992年にプロフェッショナル賞を受賞、同年ノーザンバレエシアターに入団。振り付けが地味なせいか、衣装がこっている割には、やや物足りない感じがしました。雨宮さんは、やや重たい感じで、軽快さが欲しいところでしょうか。
 
(7)「アレスワルツ」 (前回と今回)
[振付:ツェネラ、音楽:ヨハン・シュトラウス]
中村祥子(ウィーン国立劇場バレエ)、グレゴール・ハタラ(ウィーン国立劇場バレエ)
中村祥子さんは、以前テレビ番組「情熱大陸」で見たことがあります。この時は、ジゼルのミルタの踊りでした。今回の曲はピチカートポルカです。中村祥子さんの線の美しさはすばらしく、表現力もあり、素敵でした。
 
(8)「エスメラルダ」〜パ・ド・シス(今回)
[振付:ペロー、音楽:プーニ]
室尾由紀子(法村友井バレエ)、法村圭緒(法村友井バレエ)[ゲスト出演]
室尾由紀子のさんは、タンブリンを上手に使って、法村圭緒さんに支えられて幾度も見事なアラベスクのポーズを決めました。法村さんはサポートがとても上手なようで、室尾を優しくリードしていました。
 
(9)「海賊」〜パ・ド・ドゥ(アダージョのみ)(今回)
[振付:プティパ、音楽:ドリゴ]
青山季可(牧阿佐美バレエ)、逸見智彦(牧阿佐美バレエ)[ゲスト出演]
青山季可さんは、小顔で可愛らしいダンサーですがかなり緊張しているようでした。逸見智彦は優雅に青山さんをサポートしていましたが、全然野性味がないのはチョット。そつなく踊られたなという印象でした。アダージョだけでは寂しい。コーダも放送して欲しかった。
 
(10)「ロミオとジュリエット」 (前回と今回)
[振付:ウェロック、音楽:プロコフィエフ]
中野綾子(バーゼルバレエ)、セルジオ・ブスティンドゥイ(バーゼルバレエ)。中野綾子さんは、1992年スカラーシップ。現代的ですが、裸足のジュリエットは、チョット??。演技の中で相手のバレエダンサーとキスをするような振り付けもあり、とても美しかったです。
 
(11)「天地創造」 (前回と今回)
[振付:ショルツ、音楽:ハイドン]
エレーナ・トマーノヴァ(ライプティヒバレエ)、横関雄一郎(ライプティヒバレエ)。横関さんは、1998年のスカラーシップとのこと。とても丁寧に踊っていましたが、あまり印象に残りませんでした。
 
(12)「グローリア」 (前回と今回)
[振付:マクミラン、音楽:プーランク]
ナターシャ・アウトレッド(ロイヤルバレエ)、佐々木陽平(ロイヤルバレエ)。佐々木陽平さんは、1991年新人賞。佐々木さんは、いつ観てもダンスール・ノーブル。二人とも踊りはとてもすばらしかったのですが、振付のせいか、打たれるものがありません。
 
(13)「Silent Night Still We Dream」 (前回と今回)
〔振付:ダニエル・ロシール、 音楽:シュニトケ、ペルト〕
斎藤亜紀(ロイヤルフランダースバレエ団)、ウィム・ヴァンレッセン(ロイヤルフランダースバレエ団)。斎藤亜紀さんは、1991年にスカラーシップ賞受賞。1994年にロイヤルフランダースバレエ団に入団、1998年にプリンシパルに昇格。冒頭、斎藤さんはハイヒールを履き、バランスは今にも崩れそうで、不安感を表現していたように感じました。この作品は「ガラ」の中では時間が長すぎ、間延びします。なにせわかりづらいコンテンポラリーなので、ちょっと楽しめなかった。クラシックで観たかった。

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