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「眠りの森の美女《~パ・ド・ドゥのヴァリエーション:アン・セヒョンsehyun an   (2017.02.20)
ローザンヌ国際バレエコンクール2016で、日本人の女性は入賞できなかったけれど、男性では中村淳之介が6位に入賞しました。 ファイナリストとして決戦に残った女性の中では、私は、入賞は出来なかったけれど、韓国のアン・セヒョン(안세현 An Sehyun)というダンサーの踊りが最も印象に残りました。 彼女は、眠りの森の美女のパ・ドゥ・ドゥ~オーロラ姫のヴァリエーションを踊ったのですが、一時も目を離せなかったほど美しい踊りでした。 これは、花嫁になったオーロラ姫のお披露目の踊りなので、どの動きも、品よく収めるのが良いのですが、ほど良いさじ加減で、とても優雅で美しいのです。 日本国内のコンクールなどでは、これみよがしにテクニックを見せびらかす踊りをする人も見かけるけれど、キトリなどの村娘とは違って、オーロラはお姫様なので、これには私は違和感を感じ、好きになれません。 アン・セヒョンは、お姫様の品位を感じさせ、要所要所を危なげなく決めて、とても綺麗でした。
このヴァリエーショントゥで立った踊りが大部分ですが、とりわけ前半のポアント立ちのアラベスクと、中盤のエカルテ・ドゥヴァンのバランスは美しかった。 右足のトゥで立ち左足を水平に伸ばしたアラベスクは、爪先から手の指先まで神経が行き届いていて、惚れ惚れするほど。 エカルテ・ドゥヴァンでは、支えの左足が全くブレず、右足が180度近くまで楽々と上がる。こんなに挙げても、少しも下品に感じない。 終盤の見所のシェネも、軽快に全く乱れずに終え、フィニッシュは両足を前後に開いて終わるのではなく、爪先を揃えてで立って終わる難しいポーズ。 トゥの先がズレてメロメロになりがちだけれど、険しい表情ながらグッと堪えてトゥの寸分の狂いもなくピタリと決めたのは流石。 日々苦しい稽古に励んで、クラシックバレエの基本を徹底的に習得できている証拠でしょう。 ミスなく終えて、思わず、こぼれた笑みが美しかった。 観客の拍手に応えて深々とお辞儀する姿が可愛らしかった。
アン・セヒョンは、長身でほっそりとしてプロポーション抜群の美しいダンサー。 純白のクラシックチュチュをとても上手に着こなし、スッキリ伸びた長い脚が美しく、清楚でかつ優雅な雰囲気。 アン・セヒョンは、セレクションの時もファイナルの時も、オーロラ姫のヴァリエーションを踊ったのですが、 ファイナルの時の方がはるかに良かった。セレクションからファイナルまでの僅かな時間で踊りの内容を改善し、見違えるほど素敵な踊りに変えることが出来たのは素晴らしいことです。 バレエは「若さの芸術《と言われますが、アン・セヒョンはまだ韓国芸術高等学校の学生とのことで、若さ溢れる魅力的なダンサーです。今後の成長が楽しみです。
 
 ・(ファイナル)   2016 Prix de Lausanne finals - Classical variation 2016/03/07 
 ・(セレクション)  2016 Prix de Lausanne selections - Classical variations 2016/02/23 

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