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ドン・キホーテ: ザハロワ、ウヴァーロフ、新国立劇場バレエ  (2009.12.01)
かなり前のものですが、新国立劇場公演の「ドン・キホーテ」の映像があります。NHK BShighで放送されたものです。
 
とても楽しい舞台でした。主役は、スヴェトラーナ・ザハロワとアンドレイ・ウヴァーロフ。主役の二人の息もとても良く合っていて、 第1幕の見せ場のリフトの場面は、恐怖感にかられて顔がこわばってしまうダンサーが多い中、2度ともバッチリ決まり、 高々とリフトされたザハロワは、にこやかに扇子をパタパタやる余裕もありました。それにしても、ザハロワは脚の上げ方が半端ないですね。グラン・バットマンでは、180度を超えるまで軽々と上がる。ひゃ何であそこまで綺麗に上がるのでしょうか。でも、これだけ上げるとチョッと品がありませんね。それに第3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、グラン・フェッテの姿があまり綺麗でなかったのが残念。 回転する時の振り上げた足の形が下品に見えてしまいます。そんなわけで、第2幕のドルシネア姫は頂けない。気品が感じられませんでした。 最近のザハロワは、世界最高峰のギャラを誇るプリマの驕りなのか、見せてやるというような傲慢な感じがして嫌いですが、この頃(2005年)は、まだ初々しさが残っていて、好感を持てます。ウヴァーロフは安定したサポートとダイナミックな踊りで、安心して見ていられました。
 
新国立のダンサーの中で特に印象に残ったのは、森の女王の川村真樹さん。ザハロワとはまた違った輝きで、彼女の持ち味である伸びやかさと正確さの備わった踊りを堪能しました。「きれいなお姉さん」といった感じの川村さん。透明感があってチャーミング。 ザハロワほど足を高く上げないけれど、かえって節度をわきまえているようで気品を感じます。ザハロワのドルシネア姫は嫌いだけど、川村さんが踊ったら、さぞ素敵なことでしょう。森の女王のヴァリエーション、トゥで立って止まるフィニッシュが僅かに乱れましたがご愛嬌。むしろ、必死に堪えて、「終わった!!」とホッとした表情が魅力的でした。キューピッドのさいとう美帆さんはとても可愛いくて、踊りも軽快で美しかった。でもカツラの色がちょっと頂けません。白色?、お婆さんでもあるまいし、褐色や黒の方が自然で良いと思います。
3幕の第1ヴァリエーションの寺島ひろみさんは、踊りがキラキラと輝いて、大きな拍手をもらっていました。第2ヴァリエーションの木島美和さんも、大過なく無難に踊ってました。
 
バレエ:ドン・キホーテ
  キトリ:スヴェトラーナ・ザハロワ、バジル:アンドレイ・ウヴァーロフ
  ドン・キホーテ:長瀬信夫、サンチョ・パンサ:奥田慎也
  ガマーシュ:ゲンナーディ・イリイン、街の踊り子:真忠久美子
  エスパーダ:イルギス・ガリムーリン
  キトリの友達(ジュアニッタ):遠藤睦子、キトリの友達(ピッキリア):西山裕子
  ロレンツォ:田名部正治、ロレンツォの妻:鳥海清子、メルセデス:湯川麻美子
  ギターの踊り:大森結城、神部ゆみ子、深沢祥子
  居酒屋の亭主:石井四郎、ジプシーの頭目:市川透
  二人のジプシー:グレゴリー・バリノフ、吉本泰久
  森の女王:川村真樹、キューピッド:さいとう美帆
  3人の妖精:寺島まゆみ、鶴谷美穂、丸尾孝子
  4人の妖精:高橋有里、中島郁美、難波美保、大和雅美
  公爵:ゲンナーディ・イリイン、公爵夫人:西川貴子
  ボレロ:楠本郁子、マイレン・トレウバエフ
  第1ヴァリエーション:寺島ひろみ、第2ヴァリエーション:本島美和
 2005年6月25日 新国立劇場

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