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天使がくれたオペラ「ヘンゼルとグレーテル」   (2002.1.21)

歌劇「ヘンゼルとグレーテル」は、エンゲルベルト・フンパーディンクが、グリムの童話を、妹ヴェッテの子供たちのために家庭劇にしたのがはじまりだそうです。そして、この台本をもとに本格的なオペラとして作曲しなおし、1983年、R.シュトラウス指揮によりワイマール宮廷劇場にて初演されました。このオペラの成功により、フンパーディンクの名声は揺るぎないものとなり、以来、この「ヘンゼルとグレーテル」は、世界中で愛され、クリスマスの時期に上演され続けています。
ワーグナーはドイツの神話をオペラにしましたが、フンパーディンクもこの手法を巧みに取り入れて、誰でも知っている童話を、おとなも子供も楽しめる美しく楽しいオペラに仕上げました。ヘンゼルとグレーテルが歌う「いっしょに歌いましょう」の楽しいメロディ、眠りの精の美しいアリア「夜が優しくしのびよると」、14人の天使が舞い降りてくる夜の場面など、ファンタジックな世界が広がります。
「ヘンゼルとグレーテル」は、後にフンパーディンクの婚約者へプレゼントとなったそうですが、その経緯は、神への祈りと感謝に包まれた美しいオペラとして、作品にも反映されているように思えます。
 
さて、楽しい映画仕立ての「ヘンゼルとグレーテル」のビデオがあります。
配役はグルベローヴァ、ファッスベンダー、プライ、ユリナッチなどの錚々たるメンバー。演奏はゲオルグ・ショルィ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン少年合唱団という豪華版です。
このビデオを観ていると、なるほどフンパーディンクはワーグナーの弟子だったんだと納得してしまうような音楽をぐいぐいと引っ張るショルティの統率力を感じます。ファスベンダーとグルベローヴァのヘンゼルとグレーテル、プライのお父さんはもちろんですが、魔女役のユリナッチがこのうえなく素晴らしい。魔女のアリアは絶叫調になりやすくて、おもしろく聴かせるのは難しいと思うのですが、なかなかの出来だと思います。
 
ところで、大切な人やかわいい子どもたちに、夢のあるすてきなクリスマス・プレゼントをしたい。そんなとき、このオペラ「ヘンゼルとグレーテル」は、すてきなプレゼントになるでしょう。
グリム童話をやさしく書きかえた楽しいお話、たくさんの魔法(ホークス・ポークス)、おいしそうなお菓子の家、元気いっぱいの子どもたちと、こわーい魔女、心揺るがす素晴らしい音楽。魔女の罠からのがれたヘンゼルとグレーテルの知恵と勇気、子供達を愛しているおとうさんとおかあさん、そして二人を守って下さった神様の使い・天使・・・・そのすばらしさを、大切な人やかわいい子どもたちは、忘れることのない感動と思い出を心にきざむことでしょう。まさに、天使がくれたオペラです。
 
このオペラ、もちろん、ステージを見に行くのが一番ですが、どうしても行けないというときに、このビデオがふさわしいと思います。映画仕立てで、2時間があっという間に過ぎてしまいます。
残念なことにこのビデオ、もう日本では販売されていないようですが、DVDで再発売をされることを期待しています。DVDの鮮明な映像と美しい音で、さぞ素晴らしいものに生まれ変わることと思うからです。
 
【演出】アウグスト・エヴァーディンク、1981年制作
【演奏】サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
【出演】エディタ・グルベローヴァ(グレーテル)
    ブリギッテ・ファスベンダー(ヘンゼル)
    ヘルマン・プライ(お父さん)、ヘルガ・デルネッシュ(お母さん)
    セーナ・ユリナッチ(魔女)、ウィーン少年合唱団


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