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「新生・青山バレエフェスティバル」に期待     (2000.10.1)

 
青山バレエフェスティバルは今年で終わり、来年からは新たな形で再出発とのことです。
青山バレエフェスティバルは、毎年とても楽しみでした。毎年違った企画で開かれ、出演者は期待の新進ダンサーが中心でした。
この青山バレエフェスティバルに出演したことがきっかけで、スターダンサーになられた方もおり、日本での新進ダンサーの登竜門としての役割も果たしてきたと思います。
「青バレに出演していなかったら今の私はなかった」と斉藤友佳理さんが言っておられるように、若いダンサーたちの目標であり新たなスタート地点でもあったフェスティバルだったのです。
 
ただここ数年、どちらかというと現代舞踊を多く取り上げる傾向が強く、クラシック・バレエを好んで見る私には、ついていけないところもありました。テレビで放送されたら録画するようにしていますが、最近は消してしまったのが大部分です。
 
そんな中で1994年に、「パ・ド・ドゥの楽しみ」という企画がありました。
NHKテレビでも放映されましたので、 録画して大切に残しています。
 
当時の明日をになう、ういういしい新進ダンサーが、華やかなパ・ド・ドゥを一生懸命に踊っています。
 
主な内容を紹介しますと、まず出色なのは、プーニのエスメラルダを踊った当時ユニークバレエシアターの平山優子さん。 森田健太郎の好リードに支えられて、のびのびと踊っていました。
独り立ちのアラベスクでの10秒間ものバランス、懸命に頑張っていました。思わず観客から拍手が起きたほど。それもバランスだけ長いというのではなく、他のパやポーズとのつながりがとてもスムーズなのです。
これは、森田さんのサポートの巧さによるところも大きいと思います。パドドゥは二人の協力によって成り立ちます。彼のしっかりとしたサポートを受けて、平山さんは安心しきっているようでした。森田さんのパ・ド・ドゥを見ると、いつも女性への思いやりが感じられます。女性にとって最も信頼できるパートナーの一人だと思います。VIEW
 
続いて、ベルギーフランドルバレエの榊原弘子さん。同じエスメラルダの中のディアナとアクシオンを踊っています。 丁寧でひかえめな踊りですが、ふっくらとした容姿でとても可愛らしく、パートナーの久保紘一のダイナミックな踊りと好対照で、とても楽しめました。
 
牧阿佐美バレエ団の酒井はなさんが、初々しいドンキホーテを踊っています。
まだ若いせいか幾分荒けずりな点も見られましたが、歯を食いしばっての熱演でした。32回のフェッテは、元気いっぱい、スピードがあって見事でした。
 
ロイヤルバレエの古谷智子さんが楽しそうにゼンツァノの花祭りを踊っています。とても上品な踊りで好感が持てます。
 
コロラドバレエの宮内真理子さんが当時ロイヤルバレエの熊川哲也と組んでバヤデルカを踊っていました。宮内さんは繊細で、とても丁寧な踊りでした。ただ米国と英国に離れていて、公演直前に組んだにわかカップルのせいか、二人の呼吸が合わないところがあるようで、宮内さんが時折見せた不安そうな表情が気になりました。熊川哲也君は踊りはとても巧いのですが、サポータとしては女性に不安を与えないような思いやりが欲しい気がします。
 
ともあれ、青山バレエフェスティバルは、今年で一区切り。装いを新たな再出発とのことです。
新生青山バレエフェスティバルに期待します。
 
 

 

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