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眠りの森の美女:ウォルシュ、オーストラリアバレエ  (2004.11.06改)

二年前に買ったオーストラリア・バレエの「眠りの森の美女」(全幕)のビデオがあります。このビデオ、録画は1984年、新しいものではなく、映像はあまり鮮明とは言えません。でも、画面は、決して見難いというほどではなく、オーロラ姫をはじめ、妖精たちも、皆、明るい笑顔で、のびのびと踊っていて、見ていて本当に気持ちがいいのです。このビデオがDVDでも発売になりましたので、改めて紹介いたします。
 
まず、プロローグ。妖精たちは、リラの精のおおらかさ、元気な他の精たち、皆、にこやか。長めのクラッシック・チュチュが上品さを感じさせ、とてもよい感じでした。
第一幕、いよいよオーロラ姫の登場。オーロラ姫は、クリスティン・ウォルシュというダンサー。はじめて見たのですが、背が高くスラッとして、なにより笑顔がとても美しいのです。どこか、ダーシー・バッセルを思わせるようで、気品があり、ピンクの長めのクラシック・チュチュがとてもよく似合っています。
ひとしきり踊って、ローズ・アダージョ。お目当てのアチチュードのバランス。これがまた素晴らしいのです。しっかりアンオーまでてをあげて、しっかりバランスをキーします。それもビシッと決まるというより、心なしか不安を感じさせるところが、かえって初々しさを感じさせます。 そして、終盤のプロムナードはもっと素敵。二人目から三人目に移るとき、グラッとなっり幾分不安が漂うものの、しっかり手をアンオーまであげ、顔を観客に向けにっこり微笑むのです。この場面、多くのバレリーナが緊張のあまり、険しい表情になるのですが、このワルシュ、にこやかな笑顔を崩しません。これは立派です。 でも、実際はかなり緊張していたのでしょう、ローズアダージョを踊り終えたレヴェランスの時、彼女の額には汗が光っていましたv
続くオーロラ姫のバリエーションでも、このにこやかな笑顔をくずさず、見ているほうも嬉しくなります。そして、カラボスのしかけた針に倒れるところは、額も、胸も、背中も汗びっしょりになっての熱演。ジーンときました。
そして、第二幕、幻影の場。ワルシュはあいかわらず上品でにこやかですし、王子も手堅くサポートしていますが、オーロラ姫の衣装がチョット?。幻影ということで、幻想的なところを狙ってか、くるみ割り人形のクララのような、長いスカートの衣装なのです。これは頂けません。この場面、オーロラ姫は、アラベスクやアチチュードのポーズなど、結構テクニックを見せる部分があるのですから、足をよく見せるように、クラシック・チュチュが相応しいと思います。先日見たK-バレエの「眠り・・」でも、この場面、主役のデュランテが同様の衣装を着けていましたが、・・・・・チョット??ですね。
第三幕、グラン・パ・ドドゥ。王子役は、ダビッド・アスモーレというダンサーです。この人も初めてみましたが、どちらかというと地味で、女性のサポートに徹しているという感じです。ワルシュは、アダージョの出だしは、少し硬くなっていたように感じます。にこやかな笑顔は消えてしまっていました。でも、中盤で、3度のフィッシュ・ダイブを見事に決め、観客の大きな拍手を受けたとたん、美しい笑顔が甦りました。続く、ヴァリエーションでは本来の調子を取り戻したようで、にこやかな笑顔一杯に、軽やかに美しく踊っていました。
 
こんな素敵なバレリーナが居たとは・・・・。このビデオ、買ったときは、それほど期待してはいなかったのですが、どうして、どうして、なかなか、素晴らしいものです。
でも、このビデオ、なにぶんにも、映像の鮮明さに欠けます。内容が良いだけに残念です。
今回DVDで再発売され、やや鮮明にはなりましたが、十分とは言えません。ディジタル・リマスターリングで見違えるようになった映像もあります。 この「眠り・・・」も、おそらく、マスターテープはもっと鮮明でしょうから、是非、ディジタル・リマスターリングして、発売して欲しいものです。 なお、今回発売されたDVDは、ヨーロッパ向けで、PAL方式のDVDプレーヤーでないと再生できません。是非、日本のDVDプレーヤーで再生可能なDVD(region2,NTSC)で発売して欲しいものです。
 
VHS      DVD
バレエ「眠りの森の美女」、オーストラリア・バレエ
オーロラ姫:クリスティン・ウォルシュ、王子: ダビッド・アスモーレ
リラの精:ジェーン・ミシェル、カラボス:アンドレア・トイ
アオイトリ:ポール・マッソン、フロリナ王女:テリーゼ・パワー

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