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眠りの森の美女:レジュニナ、ルジマートフ   (2003.7.13)

キーロフバレエ、カナダ公演の記録です。オーロラ姫は、ラリッサ・レジュニナ。当時18歳の大抜擢でした。1幕のオーロラ姫は、物語の中では、16歳ですから、18歳のレジュニナを起用したのは話題性はありますし、初々しく可憐で、この役には良く合っています。ただし全幕を踊るきるには、当時のレジュニナには、チョッと荷が重すぎたという感じもします。まだ技術的には不安定なところがあって、特に1幕のローズ・アダージオでは、見せ場のバランスに余裕がありません。4人の王子の手を離してバランスを見せる箇所が、出だしと終盤と二度あるのですが、そのどちらでもレジュニナの表情は固まっていました。また、離した手はアンオーまで上げられず、中途までがやっと。でも、バランスがすべて終わった瞬間に、ほっとひと安心の輝く笑顔、これはこれで、初々しい魅力にあふれていました。 4幕のグラン・パでは、疲れが出てしまったのでしょうか、必死に力を振り絞って踊っているという感じで、痛々しささえ感じるところもあります。やや危なっかしいところもある彼女をルジマートフが懸命にしかもしっかりと支えて、とても微笑ましいパ・ド・ドゥでした。 このルジマートフ、貴族的な仕草、優美な身のこなし、エレガントなマナー、グラン・パ・ド・ドゥでのダイナミックな回転など、惚れ惚れします。さすがキーロフのプリンシパルです。
他のキャストで特に素晴らしいのが、リラの精のユリア・マハリナ。優雅に舞う姿を見ていると、とにかく幸せな気持ちになってしまいます。バレリーナの中では背の高いほうで、リラの精という役柄とピッタリはまっています。
主役のレジュニナはチョッとと思うところがありますが、全体に、キーロフスタイルともいえる優美な女性的繊細さに加え、豪華さと華麗さにあふれ、画面もとても鮮明で、楽しめる映像です。
 
  芸術監督・首席振付家:オレグ・ヴィノグラードフ
  オーロラ姫: ラリッサ・レジニナ、デジレ王子: ファルフ・ルジマトフ
  リラの精: ユリア・マハリナ、妖精カラボス: ワジム・グリャエフ
  演奏:レニングラード・キーロフ劇場管弦楽団
  指揮:ヴィクトル・フェドトフ
  1989年 キーロフ劇場

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