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眠りの森の美女のものがたり

この物語は、もともとはヨーロッパの古い民話で、ペローやグリムは童話集として取り上げました。原作では主人公の姫には名前はないそうですが、バレエではオーロラ姫という名前になっています。
前作「白鳥の湖」の公演失敗ですっかり自信を喪失してしまったチャイコフスキーは、その後13年たって、今をときめく大振付師プティバから新作バレエの作曲を依頼されると、気を取り直してまたやってみようかと思いました。そこで彼が前作を越える意欲を注ぎ込んで作曲したのがこの作品です。
 
民話をベースにしているものの、公演を意識して、観客へのサービスの行き届いた、楽しい作品に仕上がっています。
 
【プロローグ】フロレスタン21世の宮殿でオーロラ姫が生まれます。お祝いの宴に招かれた「優しさ」「元気」などの妖精たちは、プレゼントをします。そこに妖精カラボスがやってきて、自分だけ招待されなかったということを怒り、「姫は16の誕生日に糸車の針で指を刺して死んでしまうだろう」と予言します。するとリラの精が、今の予言を完全に取り消すことはできないが、姫は針に刺されて100年間眠るだけですと言って皆を安心させます。王は国中のつむぎの針の使用禁止を命じます。
 
【第一幕】オーロラ姫の16歳の誕生日です。宴が開かれています。姫は階段を降りて 登場し、4人の求婚者の王子から花束を受け取ります。(ローズアダージョ:この間ずっと姫はトゥで立ったままの大変な所)
そこへ老婆が現れて薔薇の花束を贈るのですが、老婆は実はカラボスで、花束の中には針が仕込んであったのです。姫は針に刺されて倒れ、人々が悲しんでいる所にリラの精が現れ、宮殿全体を100年の眠りにつけます。
 
【第二幕】百年後、狩に出たデジレ王子が人々を去らせたあと一人でいると、そこにリラの精が現れてオーロラ姫の幻影を見せます。姫の美しさに惹かれた王子はリラに導かれて船に乗り、100年間眠ったままの宮殿へ向かいます。
宮殿はカラボスが守っていました。王子はカラボスを倒し、眠っているオーロラ姫に口づけをします。すると姫は目覚め、城全体も眠りから覚めて、王はデジレ王子とオーロラの結婚を許します。
 
【第三幕】オーロラ姫とデジレ王子の結婚式です。様々な童話の主人公がお祝いに駆けつけて、賑やかな披露宴となります。長靴を履いた猫と白い雌猫のパ・ド・ドゥ、青い鳥とフローリナ王女のパ・ド・ドゥ、赤ずきんちゃんと狼の踊りなどなどが続き、最後はオーロラ姫とデジレ王子の華麗なパ・ド・ドゥで締めくくります。
このバレエの第三幕は、物語の筋と全く関係ない余興(ディベルティスマン)ですが、この傾向は次の「くるみ割り人形」ではもっと顕著になります。ここに既に20世紀に盛んになる抽象バレエの芽が芽生えていたと言えるかも知れません。

バックのMIDIは Singaiのバレエの小箱より頂きました。
曲名眠れる森の美女 グラン・パ・ド・ドゥ アダージョ
* MIDIファイルの無断転載を禁じます *

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