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二人の女流ピアニスト・ヘブラーとピリスのモーツァルト

私はイングルッド・ヘブラーとマリオ・ジョリオ・ピリスという二人の女流ピアニストのモーツァルトのソナタ全集のレコードを持っています。

この二つを聴くと両者の演奏の違いに驚かされます。
ヘブラーを古典的な演奏とすれば、ピリスは現代的と言うのでしょうか。
ヘブラーが全般的に遅めのテンポをとっているのに対して、ピリスはクレッシェンドではやや速くデクレッシェンドではやや遅くと緩急をつけた演奏です。
ヘブラーは、緻密に譜面のあるがままに弾こうとしているような感じですが、ピリスは時にはベートーヴェンの曲を弾いているようなダイナミックさが感じられます。

また、ヘブラーのふっくらとした感じの音に対して、ピリスは、輪郭のはっきりとした端正できちっとした音です。でも、これは多分に録音機の違いによるところもあると思います。ヘブラーの録音は1960年代の真空管アンプ全盛の時代のものですし、ピリスの音はDENON製のPCM録音機によるディジタル録音です。
どちらかといえば、私はゆったりとしてせかせかした感じのないヘブラーの演奏が好きですが、両極端とも思える二人のピアニストの演奏を聴き比べるのも楽しいものです。
ヘブラー盤のジャケット ピリス盤のジャケット

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