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このところ、LPレコードがブームとのことです。LPの売り上げが大幅に伸びていて、展示商品の多くがLPレコードだという店も出てきたとのこと。
テレビの街頭インタビューでも、LPを楽しむ人は近年増えていて、LPレコードにはCDには無い別の楽しみ方があると言っていました。
CDの売り上げが低迷する中、アナログの温かみある音質に注目が集まり、人気が高まっているのでしょう。
確かに音の超高域をどうせ聞こえないからということで、バッサリ切ったCDの音はクリアーだけど不自然だとも言われていて、
LPレコードは超高域をCDのように意識的に切っていないので、これが音楽を鑑賞する上での「美しさ」「快さ」に通じるのかもしれません。
最近、LPレコードが見直されてきたのはうれしいことです。SPレコードに始まったアナログレコードの歴史はCDに比べて数倍も長く、それだけコンテンツも充実しているからでしょう。
私がレコードを集め出した1960年代はLPレコード全盛の時代で、オーディオ雑誌では、カートリッジはMCかMMかとか、ターンテーブルはベルトかダイレクトドライブかとか、アナログレコードの議論が花盛りでした。
私も大枚?をはたいて、MCカートリッジやダイレクトドライブ・ターンテーブルを購入したものでした。しかし世は軽薄短小の時代。1982年にLPレコードに替わる記録媒体として、CDが現れました。CDはその名の通り、33センチのLPレコードに比べ12cmとコンパクト。この中に、LPレコードと、ほぼ同時間の音楽を収容できます。
コンパクトで手軽な操作性とクリアーな音質のCDの普及は目覚しく、操作が複雑で図体の大きなアナログLPレコードを完全に駆逐してしまいました。レコード盤が店頭から消え、針の最大のメーカーであったナガオカも針を作らなくなりLPレコードは永久に消えてしまうかに見えました。
その背景には、LSIやICなどの先端技術の進歩があります。技術は更に進歩し、そのCDですら、最近は、サンプリングパラメータがCDの(44.1kHz,16bit)よりも高いハイレゾ・オーディオにその座を脅かされるようにすらなってきています。
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それでも私はLPレコードを捨てられませんでした。 我家では、今でもアナログのLPレコードプレーヤー SONY PS2510が健在です。 このプレーヤーのターンテーブルは31cm径のアルミダイキャスト製で、ACサーボモーターによるダイレクトドライブです。 スタティックバランス型ユニバーサルトーンアーム付きで、これにaudio-technicaのMCカートリッジAT-F3を付けています。 ターンテーブル:31cmアルミダイキャスト1.0kg、
モーター:ACサーボモーター・ダイレクトドライブ、 回転数:33 1/3、45rpm トーンアーム:スタティックバランス・ユニバーサル型、 有効長245mm、使用可能カートリッジ重量:4g?17g 外形寸法:幅486×高さ192×奥行391mm、重量:13.1kg カートリッジ:audio-technica AT-F3(MC型) |
レコード盤のほこりをとって慎重に針を落すときの楽しみと、レコードのスクラッチノイズの中からアナログ特有の暖かみのある音が聴こえた時の興奮は、CDでは味あえない快感です。
特にモーツァルトの室内楽など貴族たちの夕食の時に演奏されたような小規模な楽器編成の演奏にはアナログの音に最もよく合うように思います。
それにしてもLPレコードのあの髪の毛ほどの細い溝にはなんと美しい音が入っていることでしょう。しかも、カートリッジを変えたり、ピックアップのアームを変えたりする事によって、さらに新しい音を発見できるのもアナログのLPレコードならではの楽しみです。レーザーピックアップとターンテーブルが一体となったCDプレーヤーでは絶対に味わえない楽しさです。
レーザー光線で凹凸を読みとるといテクノロジーの固まりのようなCDと違い、波形として溝に刻まれた音を機械的に読みとるLPレコードは、構造がシンプルだからこそ、いつまでも親しみを忘れさせない良さがあります。エジソンの蓄音機に端を発する、この素晴らしい人類の発明を、いつまでも大切にしていきたいと思います。
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