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白鳥の湖~黒鳥のパドドゥ:スヨン・ビン·リー、Nikola Hadjitanev        (2015.11.20)

You Tubeに、とてもフレッシュで素敵な、白鳥の湖~黒鳥のパ・ド・ドゥが載っていました。 オディールを踊っているのは、スヨン・ビン·リー(Soo-Bin Lee)という韓国人の若いバレリーナです。 彼女は、まだ16歳ですが、2014年のヴァルナ国際バレエコンクールで特別賞(SPECIAL DISTINCTION)を受け、 その結果、彼女がブルガリアのソフィア国立バレエに招待されてオデット/オディールを踊りました。 YouTubeには第二幕も載っていましたが、第三幕の黒鳥のパ・ド・ドゥでのスヨン・ビン·リーが魅力的で、際立って印象に残りました。 なおパートナーのNikola Hadjitanevは、ソフィア国立バレエのソリストだそうです。 スヨン・ビン·リーはスラッとして、ほっそりとした美しいプロポーション。かと言って痩せ過ぎというわけではなく、目がパッチリとして笑顔が美しく、とても可愛いらしいバレリーナです。

アダージョのアントレの冒頭、横に手脚を広げ、王子にリフトされて横に移動して、オディールのカリスマ性を表現するための独特の踊り、脚は開けるだけ開いたほうがよいとされる開脚のパでは、真横に180度まで大きく開いた開脚が綺麗で見ごたえがあった。 その瞬間、ああ、素敵なオディールだなと、清々しい気分になる。 このパ・ドゥドゥは、王子を誘惑する悪魔の娘の踊りなので、オディールはもっと妖艶な感じが必要という向きもあるかと思うけれど、私はこんな清々しいオディールも、これはこれで良かったと思います。 アダージョ中盤に入ると、スヨン・ビン·リーはしっとりと情感をこめて踊っていました。男性の頭上に高々と上げられたリフトも、軽やかで伸びやかで美しい。 アダージョ終盤の見せ場、座った体勢から右手で王子につかまりアチチュードで立ち、 バットマン・デヴェロッペで右足を高く上げ、手を離してバランスという難しい技も破綻無く、とても美しくクリアしました。 この後再び王子の手につかまりアチチュードしてからのアラベスク・パンシェ。支えの腕がギクギクしたものの、揺れを必死に堪えて 左足を180度近くまで高く挙げて決めたのには感動でした。 ただ、バットマン・デヴェロッペにしてもアラベスク・パンシェにしても、王子の手を離した後のバランスが短く、すぐ脚を下ろしてしまって物足りなく感じた。歯を食いしばってグッと堪えて、ハッと息を呑むバランスの溜めのポーズが欲しかった。 ヴァリエーションでのスヨン・ビン·リーの踊りは、しっとりとして本当に美しく、うっとりでした。 出だしのピルエットでわずかにフラついたけれどご愛嬌。むしろ必死に堪えて頑張った姿が可愛らしかった。 脚は上げれるだけ上げたほうが良いと言われるグラン・バットマンでは、脚を高く跳ね上げたポーズの美しいこと。 アントレせよ、アダージョにせよ、ヴァリエーションにせよ、脚が容易に大きく180度まで開くのは、基本のアンドゥールを徹底的に身に着けている証拠でしょう。 素晴らしいことです。何より笑顔がとても綺麗。こんな柔和な笑顔のオディールは初めてです。本当に微笑ましく美しいヴァリエーションでした。 コーダの32回のグラン・フェッテは回転がとてもスムーズで美しい。 前半は頑張ってダブルを入れて、さすがに後半はシングルでしたが、回転は落ちず軽快な上しなやか。 グランフェッテではベテランのダンサーでも強張った表情で必死に回る人が多いのに、柔和な表情を全く失わなず楽しそうに回っていたのは立派です。 フィニッシュのリフトもバッチリ決まって満面の笑み。見事でした。 16歳という若さなのに、これだけ踊れるスヨン・ビン·リーは凄い。日頃の弛まない稽古の賜物でしょう。将来が楽しみなダンサーです。

"Swan Lake” 22 March,2015 "Sofia National Ballet"
Prince Siegfried : Nikola Hadjitanev
Odette-Odile : Soo-Bin Lee (the Special Distinction Varna 2014, 16 years old, Korea)
Swan Lake - Black Swan pas de deux 2015

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