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シルヴィア:森下洋子・清水哲太郎、日本バレエ協会 (2005.5.2改)
私のコレクションに一枚の大切なDVDーRがあります。ドリーブのシルヴィアです。1985年の日本バレエ協会公演をNHKが収録して放送したもので、森下洋子さん、清水哲太郎さんの主演です。お二人はまだ30代後半で、とても若々しい素敵な踊りが観られます。
ドリーブのバレエではコッペリアが有名ですが、
このシルヴィアもなかなか面白いものです。
英国では、1952年、ロイヤルバレエの前身の
サドラーズウェルズバレエで
フレデリック・アシュトンの振り付け、
マーゴ・フォンティーンとマイケル・ソームスの
主演で上演され大変な評判になったそうです。
ただ日本ではほとんど上演されることがなく、
この日本バレエ協会公演も29年ぶりの上演
だったそうです。 |
フォンティーン ソームス (1952) |
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男性との愛などに全く興味のなかった純潔の女神シルヴィアが、羊飼いの青年アマンタに愛され、シルヴィア自身もアマンタに恋をして、最後はめでたし・・・という他愛ないストーリー。神様と人間が恋をするという、ギリシャ神話がもとになっています。
このバレエは、シルヴィア役のダンサーの出来如何で成否が決まると言われるほどです。なぜなら、シルヴィアは、最初から最後まで出ずっぱりで肉体的にかなりキツイのに加え、前半の穢れを知らない純潔な女神と後半の恋する乙女という性格の違いを踊りわけなければならず、精神的にもとても大変な役なのです。でも、森下洋子さんは、後半になっても疲れを微塵も感じさせず、物語が進むにつれて、さらに感情が高まって役に溶け込んでいったようで、とても素敵なシルヴィアでした。
演出振付の島田廣氏が「森下洋子さんが最後までよく持ちこたえてくれた」と言っていた程の重労働に耐えた森下洋子さん、世界のプリマたる所以でしょう。
終幕のパドドゥでは、清水氏との息はピッタリ。まずアダージョ。出だしでの息をのむアラベスクのバランスの美しさ、重さを全く感じさせないリフト、フィニッシュでピタリと決まったフィッシュダイブとため息が出ます。ヴァリアシオンではピチカートの伴奏にのって、至難なイタリアンフェッテも交えて、軽快で可愛らしいソロ。そして圧巻は、コーダでの一糸乱れぬグラン・フェッテ。おそらくこの時はくたくたに疲れ切っていたに違いないのに・・・。思わず観客も賞賛の拍手。どれも、素晴らしいの一語につきます。森下洋子さんの魅力爆発といったところです。
滅多に観ることができない作品に加え、内容の素晴らしさで、この映像は、私にとって、とても貴重なものです。
NHKはこの頃はとても積極的に日本のバレエ団の公演を放映してくれました。この頃に比べ、最近はバレエ放送が少ないようですし、有っても、海外のバレエ団の公演がほとんどです。
日本のダンサーやバレエ団は、世界に一歩も引けをとらないし、森下さんのように世界に誇れるトップ・ダンサーもたくさん居ます。ぜひ日本人によるバレエの公演の放送を、もっと増やしてくれることを望みます。
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