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田中さんのノーベル賞受賞に思う        (2002.10.23)
 (まねごとでない基礎研究の成果に拍手)

田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞しました。
この受賞、学者でもなく、普通の会社の管理職でもない平社員が受賞したということ、初めて「のぞみ」に乗れて良かったと語った田中さんの飾らない人柄・・・・等々、かってない爽やかさを覚えます。
ただ、私は、この受賞、このような、表面的な珍しさ以外に、もっと深い意味を持つと思います。
 
日本による基礎研究の成果が認められたということです。
日本人は、器用な民族です。それゆえ、物を一から考え出すことは不得手だけれど、まねをして作ることは得意と見られているようです。
かって、日本は欧米の基礎研究をもとに製品化することはあっても、日本での基礎研究が成果として世に出たことはほとんど見受けられません。日本人は欧米の基礎研究をただ同然で持ち帰って短期間で製品化の為の競争力を付けるという批判さえあるようです。
 
田中さんは、レーザーイオン化飛行時間型質量分析の測定器開発の過程で、偶然の発見とはいえ、レーザー光線を用いてタンパク質の質量分析が可能であることを示したものであり、これが世界で初めての基礎研究ということが認められて、今回の受賞となったわけです。日本もまねごとだけでなく、基礎研究の分野も強くなってきたということを身をもって世界に示したわけで、この意味で、田中さんの受賞は、日本にとって大きな意義があると思います。
 
田中さんの受賞のおかげで一躍有名になった島津製作所ですが、この基礎研究の成果をいかに旨く製品に結びつけるか、マネジメント力が問われるところでしょう。


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