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フランスの新幹線TGVが高速記録を更新 (2007.3.5)
2007年2月14日、フランスの新聞がTGVが試験走行で時速553キロに達し17年ぶりに記録を更新したと報じました。
車輪とレールと摩擦力(粘着力)で走る粘着式鉄道の世界記録です。
ちなみに日本の新幹線は時速443キロが最高です。
山梨リニア実験線の磁気浮上式リニアモータカーは時速581キロを出しJR東海は20年後に営業運転を目指しているようですが、用地買収や莫大な軌道建設の初期投資など問題山積でリニアの営業運転は夢物語ともなりかねません。
従って当分は摩擦式鉄道の時代が続くと思われます。ただし、粘着式鉄道は、時速600キロ辺りが限界と言われています。これ以上になると車輪とレールの摩擦力(粘着力)が低下し車輪が空転してしまうからです。TGVの出した時速553キロというスピードは摩擦式鉄道車両の限界に近い大記録と言えましょう。
私はこの夏、南フランスを中心に旅行する予定です。この際、南フランスのアヴィニヨンからパリ迄の約600キロは飛行機ではなくTGV地中海線を利用しようと思っています。そんなことから、今回の報道にとても興味を持ち、TGVについて調べてみました。
TGVは、Train a Grande Vitesseの略で、新幹線と呼ぶのは正しくないようで、超高速鉄道というのが正しいと思います。フランスが世界に誇る超高速旅客列車です。
まず、線路の幅(ゲージ)は1435ミリで、日本の新幹線と同じです。
次に車両の編成ですが、新幹線は編成のほとんど全ての車両にモーターがある動力分散型ですが、TGVは編成の先頭と末尾に機関車がつく動力集中型です。間の客車にはモーターはありません。動力集中型は客室の乗り心地と静寂性に優れ、製造コストも安い反面、加速減速性能が劣ります。一方動力分散型は各車両のモーターが一斉に回るため、加減速に優れていますが、モーターの騒音と振動で乗り心地に影響しがちです。
日本の線路には、トンネルや鉄橋がたくさんあり高低差が多いので、一定の速度でスムーズに走るには優れた加減速性能が必要になります。このため新幹線には動力分散型が採用されています。一方、ヨーロッパ大陸は日本に比べ平坦なので、乗り心地と経済性優先で動力集中型が選ばれたのだと思います。
また、編成を構成する車両の連結方式にも違いがあります。日本の新幹線では、狭軌の在来線(1067ミリ)とは別に新しく新幹線用の線路が敷かれました。新しい線路は急なカーブが少ないので車両と車両を連結器で繋ぐ通常の連結方式が採用されています。
TGVは在来線と線路の幅が同じなので、一部の区間は在来線の線路をそのまま利用しています。この為在来線のカーブもスムーズに通過することが必要で、急なカーブを楽に曲がれる連接式台車による連結になっています。これは車両と車両の連結部を台車にし、この台車が前後の車両を支える形です。この方式は連結部の台車に前後の車両の重量がかかるため前後の車両をあまり重く出来ません。この為車両の長さに制限を受け、大量輸送の面は弱点となります。日本では、小田急のロマンスカーがカーブの多い小田原・箱根湯本間乗り入れのため、連接式を採用しています。
車体の幅は、新幹線が圧倒的に広く、TGVは日本の在来線の車両よりも狭い位です。この為、一等車は一列が2-1の三人掛けです。二等車は日本の在来線と同じ、2-2の四人掛けですが、新幹線は3-2の五人掛けですから、いかに新幹線の車幅が広いかが分かります。
以上、本やインターネットでフランスのTGVについて調べてみました。でも実際に乗ってみないとこの通りか分かりません。この夏のフランス旅行でTGVに乗車して、確かめようと思います。フランス旅行が楽しみです。
地中海線の二階建てTGV-Duplex(Wikipediaより)
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