【トップページへ戻る】

テレビ番組「トゥシューズの秘密」の魅力   (2005.11.1改)

2002年の暮れ頃、CSシアターテレビジョンで「トゥシューズの秘密」という番組が放送されました。「バレエダンサーを支えるプロフェッショナル達」と副題のついたこの番組、 「トゥシューズ・フィッター」のドキュメンタリー番組ですが、録画していた映像を再度見て、改めて、バレエ・ダンサーを陰で支えるプロフェッショナルの姿に、とても興味を覚えました。 「バレエダンサーは、自らの技とわき上がる感情を表現することで観るものに感動を与えます。ダンサーの体の一部となり、その華やかな舞台と、 時には人生をも支えるのがトゥシューズなのです」と番組の冒頭にありましたが、観ていくにつれて、本当にその通りだと思いました。
登場するのは、ギエムやバッセルをはじめ、世界中のバレエ・ダンサーにトゥシューズのフィッティングを行っているという、トゥシューズ・フィッター、ミッシェル・アットフィールドさん。 シューズを選ぶバレリーナの意見を注意深く聞き、彼女にいろいろななポジショ ンをとらせ、かかとや足先、底などを点検し、そのバレリーナに最適なトゥシューズを見つけるのです。
今回、モデルとなったのは、野間景さん。大阪中心に活躍している現役のダンサーです。野間さんは10年ほど前にミッシェルさんにフィッテ イングしてもらった「キャッスル」のトゥシューズが気に入り、現在も愛用しているとのこと。 ところが シューズを作っていた職人が、リタイヤーしてしまうので、そこで 新しいメーカーのシューズを ミッシェルさんにフィッテイングしてもらおうというのです。ミッシェルさんは新しいシューズ をつぎつぎとフィッテイングしていきます。 そして野間さんは、とうとう自分にぴったりのトゥシューズに巡り会いました。野間さんの顔に、美しい笑みがこぼれました。
このあと、プロを目指す若いダンサーの卵がフィッティングを受け、彼女もぴったりのトゥシューズが見つかりました。 彼女は、きっと、このトゥシューズを履いて頑張っていることでしょう。美しく華麗に踊るバレエ・ダンサーも、このような「トゥシューズ・フィッター」たちに支えられているのだと、つくづく関心させられた瞬間です。
 
それにしても、野間景さん。ほんとうに素敵なバレリーナです。彼女が現れたとたん、周りがパッと明るくなった感じなのです。一目で好きになりました。この番組では、わずかなショットながら、素晴らしい踊りが見られます。
まず、「ドン・キホーテ」。本番直前まで脚を痛めていた野間さん、大事をとって、一幕、二幕は、柔らかめの履き慣れたトゥ・シューズで踊ったのですが、次第に調子が出てきて、痛めていた脚のことなど忘れてしまう。ただただ、沸きあがる感情をなんとしても表現したくて、第三幕トリのパ・ド・ドゥでは、真新しいトゥシューズを履いていちかばちかの挑戦、 「お願い私を踊らせて!!」とトゥシューズに祈りをこめてステージにたったそうです。わずかに笑みを浮かべながら、歯を食いしばって懸命に回った、32回のグラン・フェッテ。最後軸足がわずかに横へずれたのを、必死に堪えて頑張ったフィニッシュがとても魅力的。笑顔がとても素敵でした。
この後、スタジオで、感謝の眼差しで、大切そうにトゥシューズを抱いていた野間さんの表情、本当に美しかった。
そして、風のように軽やかな「ジゼル」第二幕・・・・・・・・・・・。
私は、野間景さんの踊りを見たのは初めてなのですが、なんて魅力的なダンサーなんでしょう。日本にも、こんな素敵なバレリーナが居たのかと、驚きを新たにしました。野間さんは、大阪堺市の野間バレエ団のプリマとのことですが、関東に住む私たちは、なかなか地方の優れたダンサーの踊りに接することができません。 CSシアターテレビジョンが、こんな素敵なダンサーを紹介してくれたのは、とても有り難いことです。でも、ここまでやってくれたシアターテレビさんですから、いっそのこと、今回短いショットだけだった「ドン・キホーテ」や「ジゼル」の全幕を放送してくれて、野間景さんの素晴らしい踊りの全ぼうを紹介してくれたら・・・・と願う次第です。

野間景さん所属の野間バレエ団のホームページ
【トップページへ戻る】