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写真集「世界のプリマ・森下洋子」       (2001.12.8)

森下洋子さんは、今年、舞踊歴50年ということで、記念イヴェントを精力的にこなしておられます。世界広しといえども、こんなに長く現役で活躍しているバレリーナは、彼女以外には居りません。
 
森下さんがまだ20代だった約30年前、「世界のプリマ・森下洋子」という写真集が発売されました。著者は飯島篤氏。
この少し前、森下洋子さんは、ヴァルナ国際バレエコンクールでゴールドメダリストに、また清水哲太郎氏も3位に入賞しました。その後、森下洋子さんと清水哲太郎氏は結婚。バレエの最強のゴールデン・カップル誕生と話題になりました。
 
当時は日本人によるバレエはあまり評価されておらず、この森下・清水ペアの快挙により、日本バレエダンサーが世界で注目されるようになったと言えると思います。大原永子さん、吉田都さん、下村由理恵さん、そして熊川哲也さん等が海外で活躍することになりました。
 
飯島篤氏は、森下洋子さんのステージを、日本はもとより世界中にも追いかけて撮影し、素晴らしい写真集を作って下さったのです。森下洋子さんの舞台姿はもちろん、楽屋で出を待つ姿、練習風景など、とても興味深い写真が一杯写っています。ほとんどはモノクロですが、一部カラーも混じっています。20代の森下洋子さんを知ることが出来る貴重なシーンばかりです。
内容は、
@世界のプリマへ(バルナ・バレエコンクールでの金賞受賞)
A誰がために踊る(松山バレエ訪中公演に参加)
B華麗なる軌跡(1971年以後のレパートリー)
C羽ばたくとき(ドン・キホーテに洋子の全てを見た)
Dプリマへの道(チャイコフスキー3大バレエを踊る洋子)
E・・・・・の外で(プライベートタイム或いは洋子の断章)
 
故、蘆原英了氏は、「彼女の魅力は、その小さな顔と大きな眼、そして鋭い動き、あふれるような力強さ・・・・・といったようなものだろうが、それらの長所や特徴が、全て飯島篤の写真集の中におさめられている。素敵なことである」と言っております。
飯島さんは「一芸一能に秀でた人は、その全人格が魅力で一杯だ。汲めども尽きぬ奥行きを持っている。多少センチメンタルであろうが、彼女の一気一憂がそのまま私のそれとなり、初期にはあった撮影者としての気負いやらがぐっとんで、そこに現出する事態をあるがままに撮す事が自然となった。彼女は私をメロメロにしたのである。」と書いておられます。 飯島篤氏自身、森下さんのファンのようで、一つ一つの写真がファインダーを通して見る暖かな目によって、素晴らしい写真集になったのだと思います。私の大切な宝物です。
 
とっくに廃刊になってしまっているようですが、もし、この20代の森下さんに加えて、その後の森下さんの姿を追加して新しい写真集として発売されたら、さぞかしすばらしいものになるだろう想像している次第です。
写真集「世界のプリマ・森下洋子」
1976年12月20日:初版発行
著作者:飯島 篤
発行所:株式会社 ゆまにて


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