【トップページへ戻る】

「吉田都さん『バレエは戦い』」に思う   (2001.9.26)

「また戦ってきま〜す!!」
バレリーナ・吉田都さんは、NHKの朝の万田久子さんの番組「土曜オアシス」のインタビューを終えた翌日、こう言い残して、英国に向け成田を発って行きました。
 
吉田都さん、ロンドン・コヴェントガーデン王立歌劇場ロイヤルバレエのプリマ・バレリーナです。幼くしてバレエをはじめ、17才のときバレリーナの登竜門、ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝、サドラーズウェルズバレエを経て、ロイヤルバレエへ。現在は押しも押されぬ、世界のトップ・ダンサーです。
ロイヤルバレエのプリンシパル、並みのダンサーではありません。今や伝説にもなっている世紀の舞姫マーゴ・フォンティーンと同じ地位なのです。
 
この吉田さんの「バレエは戦い」。順風満帆とさえ思える経歴の彼女の口から、意外な発言でした。プリンシパルという地位、これを目指して他のダンサーが虎視眈々と狙っている。熾烈な戦い。うかうかしていると蹴落とされてしまう。このためには、毎日毎日、厳しい訓練を続けるしかない・・・・・だから、戦いなのでしょう。
我々を夢の世界にさそう優雅なバレエの世界にも、こんな厳しい現実があったのです。
 
吉田さん、インタビューで次のように語っておられました。
彼女がイギリスに渡った時、まず感じたのは、劣等感。体型のハンディ、言葉の壁・・・。
でもこれを踏み台にして、この劣等感を駆逐することを考えたということです。
158センチと、日本人でも大きいほうではない。華奢な体で、トップバレリーナとして踊り続ける吉田さんが大事にしていることは、「日本人であること」だといいます。
大ぶりで激しい演技をする欧米のダンサーに対し、感情をあらわにせず、端正な奥ゆかしさや、抑制された表現で演じることを心がけるているとのこと。
さらに、「舞台から客席に伝わるまでの時間と空間を大切にしている」とマイムを重視されているとのこと。これが吉田さんの能の舞に通じるような気高さを感じさせるバレエの秘訣なのかもしれません。
 
また、大好きな言葉として、色紙に小さく「日本」と書かれておられたのに感激しました。
長いこと、英国で過ごしておられて、やはり故郷、日本が一番なのでしょう。
 
こんなスーパースターの吉田さんでも、森下洋子さんの励ましの言葉や、お母さんの手紙に、涙ぐんでおられました。世界の都も、やはり女の子と、可愛らしく思いました。
 
さまざまな困難を乗り越えて世界の頂点たった吉田さん。いまごろロイヤルで「戦っておられる」ことでしょう。
くれぐれも、怪我に気をつけて、頑張ってください。



【トップページへ戻る】