バレエ「海賊《は、もともと華やかな内容ですが、ショーとしての性格がどんどん強められていき、 さまざまな演目や作曲者の作品が次々と織り込まれていきました。
日本では、全幕が上演されることは少なく、バレエコンサートでのパ・ドゥドゥなど、部分的に抜粋したものが大部分です。
その中でも第2幕の洞窟の中でのメドーラ・コンラッド・アリの3人がみせるパ・ド・トロワが有吊で、 優雅なアダージョやコーダの32回のグランフェッテなど見所が多くて楽しめます。 コンサートなどでは、コンラッドがいないメドーラとアリのパ・ド・ドゥとしてよく上演されるのです。
とても素敵な、海賊のグラン・パ・ドゥドゥの映像が、YouTubeに載っていました。 踊っているのは、吉田合々香とフィリップ・ソラノ。コメントには、Gala Propriano, 19 oct 2013 となっています。 吉田合々香は西宮圭子バレエ団のバレリーナ。 以前からオーストラリアのクイーンズランドバレエで踊っていたようです。 Jette Parker Young Artists(才能ある若手のための英国ロイヤル・オペラハウスの研修機関)となっているので、 研修生だったようですが、最近正規の団員になったようです。 パートナーのフィリップ・ソラノ(Philippe Solano)は、この時はパリ・オペラ座の期限付き契約ダンサーだったようですが、 その後、本人がSNSでオペラ座を去ることを発表したということです。若くテクニックもあるダンサーのようなので新天地での活躍を期待します。 |
アダージョでの吉田合々香の踊りは、しっとりとした情感をこめた踊りで見ごたえがありました。
このアダージョ、アチチュードやアラベスクのバランスといったポーズや高く挙げられたリフトなど難しい場面が多く、
緊張してコチコチになっているダンサーも多々見かけますが、吉田合々香もアダージョの最初はかなり緊張しているようでした。
冒頭のアラベスクの口付けの部分はぎこちなく、アチチュードのプロムナードにに続くアラベスクパンシェでは、フィリップ・ソラノに支えられた吉田合々香の右腕がギクギクしてやや上安定。
でも頑張って180度近くまで左脚を挙げて、美しいポーズを決めました。
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これで気を良くしてか、腰を高々と頭上に挙げられて背中を反らす独特の場面では、折れるのではないかと思われるほど腰を曲げた華麗なポーズで拍手を誘いました。
この後再び男性の手につかまりアチチュードしてからのアラベスク・パンシェ。今回も支えの腕がギクギク揺れて危うかったものの必死に堪えて、
左足を180度近くまで高く挙げてバランスをグッと堪えて頑張った姿に感動。
パートナーのフィリップ・ソラノは、快調な吉田合々香におされ気味でしたが、最後のリフトでは、渾身の力を振り絞って吉田合々香を頭上に高々と持ち上げました。
腰をかがめて、吉田合々香の腰と腿を掴んでグイッと上げ、必死にふらつく足元をふんばって、ゆっくりと上手に消えていきました。
レヴェランスでは吉田合々香と顔を見合わせて、お互い労わりあっている表情が素敵でした。
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女性のヴァリエーションには、たくさんの種類の音楽が使われていて、どの踊りが踊られるか楽しみで、見せ場のひとつです。
これらは、「メドーラ《、「パキータ《、「バヤデール《のガムゼッティ、「ドン・キホーテ《の森の女王の踊りで、
いずれも、華やかなヴァリエーションで、コンクールや発表会で定番になっています。
このバレエコンサートで吉田合々香は、トゥール(回転)が多くて難しいメドーラのヴァリエーションに挑戦しています。
前半は吉田合々香のしっとりした女らしさにうっとり。片足のつま先を軸足の膝に付けてバランスを取るルティレがこのうえなく美しい。
このポーズをこんなに繊細で正確にできる人は珍しい。その次に普通は含めないイタリアンフェッテを入れたのは偉い。
かなり辛そうで今にも崩れそうでハラハラしたけれど、懸命に頑張って破綻なく終了。最後に高速のシェネで舞台を一回りして、両足のトゥで立ってのフィニッシュ。
トゥの先が少し乱れたけれど、歯を食いしばって必死に堪えた姿に感動しました。
背中にはうっすらと汗がにじんで、ほっとした表情がこの上なく美しかった。
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そしてコーダ。難関のグランフェッテ・アントゥールナン。表情は真剣で、笑顔を忘れて必死に回っている感じでしたが、踊りは完璧。
前半は、ダブルを入れ、後半も一糸乱れず自然に流れるような軽快な回転で惚れ惚れするほど美しい。流石です。
フィニッシュで僅かにトゥが乱れて危うかったけれど懸命に堪えて回りきり、無事終了。観客の拍手に笑みがこぼれました。
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このバレエ「海賊《~パ・ド・ドゥのメドーラのコスチュームは、薄いレースドレスの場合と真横に張り出した丈の短いスカートのクラシックチュチュの場合があり、全幕の上演ではレースドレスの方が多いようです。
ただ、バレエコンサートではクラシックチュチュで踊って欲しい。
レースドレスは脚が見えにくいのでミスを誤魔化せるけれど、グランフェッテなどの回転では、裾がまつわりついていかにも踊りにくそう。
一方、クラシックチュチュは脚が丸見えでミスの誤魔化しがきかないので、踊るほうは大変だけど、見る方は美しい脚の動きを堪能できて楽しい。
今回の吉田合々香の衣装は、クラシックチュチュ。スカートがやや長めなので、フワッと上品に揺れて、吉田合々香にとてもよく似合っています。
吉田合々香は、背はあまり高くないけれど、スッキリ伸びた長い脚が美しい。痩せぎすのバレリーナが多い中、彼女は幾分ふっくらとして健康的。
クラシック・チュチュから覗く、ふくよかな太ももには、ほのかな色気さえ漂っていて眩しい。
それでいて、吉田合々香独特のしっとりとした情感をこめた踊りは、優雅でかつ上品な雰囲気で感じが良い。
これからも一層踊りに磨きをかけて、第一線で活躍するバレリーナに成長して欲しいものです。
Philippe Solano et Neneka Yoshida : Le Corsaire : Pas de Deux Gala Propriano, 19 oct 2013
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もう一つ Pas de deux du Corsaire avec Neneka Yoshida (danseuse au Junior Ballet du Conservatoire National de Paris & Philippe Solano (danseur au ballet de l'Opéra National de Paris) 2013 → |
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