【トップページへ戻る】

吉野直子の古楽器でのモーツァルト挑戦に拍手   (2002.3.21)

吉野直子さんが演奏したモーツァルトのフルートとハープのための協奏曲のCDがあります。初回プレスは、2000年初めに発売になっています。
吉野直子(ハープ)、ローベルト・ヴォルフ(フルート)、ニコラウス・アンノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによるTELDECレーベルです。
 
吉野直子さんは、ロンドン生まれの日本人ハーピスト。彼女は、多くのハープの独奏曲のレコードは出していますが、協奏曲のレコードはあまり多くはありません。
彼女は、この「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299」は、以前、サミュエル・コールズのフルート、メニューイン指揮イギリス室内管弦楽団をEMIから出していましたので、このCDは、二度目ということになります。
気むずかし屋の印象の強いアーノンクールとおっとりタイプの吉野直子、ちょっと異色の組み合わせのように感じますが、両者がよく調和した素晴らしい演奏だと思います。
古楽器(18世紀のシングル・アクション・ハープのレプリカを使用)による演奏は、吉野さんは初めてだそうです。ですから、この楽器への意欲は大変なものだったようです。
「以前弾いたことのある18世紀の楽器の印象から、古楽器は音質が難しいと考えていたのですが、1音弾いてビックリ。本当に完成度の高い楽器で、その場でこれを使うことに決めました」と直子さん。(CDのリーフレットより)
 
吉野直子さんは、可愛らしさゆえに、かってはちょっとアイドル的な扱いがあったように思います。私は、クラシックの世界にも活気付けるためのアイドル的存在は必要だとは思います。そんな彼女も、今ではすばらしい音楽家として活躍していらっしゃいます。
 
モーツァルトの演奏と言うのは、その人の音楽性がもろに出てしまうように思うのですが、このCDを聴いていると、彼女のなんともモーツァルトの音楽に好ましい、素直な音楽性に感心します。
 
ハープというのは楽器だけ見ると、豪華であでやかで、優雅な印象を受けるのですが、演奏の様子を見ていると、かなり、重労働なようです。
ハープはほとんどピアノと同じ伴奏の役割が多いのですが、ピアノの打鍵とは大違いですし、足もかなり使うようです。しかも音は小さいし、チューニングも頻繁に必要ということで、プレーヤーにとっては、とても大変なようです。
 
吉野直子さんの演奏をテレビで見たことがありますが、とても綺麗な指先のようでした。弦を弾くのに指先がもっと傷むのではないかと思ったのですが、以外とそうでは無いようなのです。なんでも、ハープの弦はヴァイオリンとかと違って結構太いので、指はそうひどく痛むことにはならないのだそうです。
 
とはいえ、小柄で華奢な吉野直子さん。日夜、この重労働に耐えながら、これからも新しいレパートリーの開拓や、古楽器のような新しい挑戦をして下さることでしょう。
吉野直子さん、頑張ってください!!。


【トップページへ戻る】