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眠りの森の美女:ザハロワ、ホールバーグ、ボリショイ劇場  (2012.03.20)

NHK-BSで、ボリショイ劇場のバレエ「眠りの森の美女」を見ました。2011年11月のボリショイ劇場リニューアル記念公演の録画だそうです。 正直、これは、あまり良いとは思わなかった。技術的には完成されているのかもしれないが、踊りが全然おもしろくなく、目を奪われて、思わず見入ってしまうということが無いのです。ダンサーは皆、機械仕掛けの人形のようで、ただ正確に踊っているという感じで、感情が伝わってこないのです。これなら東京バレエ団等の日本の「眠りの森の美女」公演のほうが、よっぽど良い。 
 
主役のスヴェトラーナ・ザハロワの踊りがつまらない。手と足が長くしなやかで、数年前まで新国立劇場で踊っていた美しいバレリーナですが、オーロラ姫に似合うバレリーナではないと思います。 痩せ過ぎて、初々しさに欠け、優雅さも無く、とても16歳のチャーミングなプリンセスには見えなかった。 特に、つまらなかったのは第1幕のローズアダージョ。お目当てのバランスで、ザハロワは、ほとんど手をあげられなかった。かろうじて王子の手を離せたけれど、すぐ次の王子の手を掴み、横滑りといった感じ。 ロイヤルのタマラ・ロホやコジョカル、日本では吉岡美佳や下村由理恵等が、頑張って長時間の息を飲むバランスをやってのけるのに、ザハロワはバランスに手抜きをしているように見えてしまう。 尤も、ザハロワがバランスをとれないのではなくて、ボリショイの振付がバランス重視ではないのでしょうが、これでは見ているほうは物足りない。 第2幕、第3幕ともザハロワの踊りは、無難な安全運転といった感じで、ミスはないけれど、面白みがなかった。 出産して母になったけれど、まだ老ける年でもないので、もっと生き生きと頑張って踊って欲しいものです。
 
救われたのがデジレ王子のデーヴィッド・ホールバーグ。ABT出身のボリショイ劇場初の外国人プリンシパルだそうで、190センチの長身で端整な顔立ちです。ザハロワはいつもはアンドレイ・ウヴァーロフと組むのですが、今回のパートナーのホールバーグの王子は、美しい長い手足、 優雅な身のこなし、新鮮な感じでとても良かった。
 
気に入ったのは、ニーナ・カプツォーワ。初々しく可愛らしいフロリナ王女でした。バランスは良く決まっていたし、高いグランジュテも正確。むしろザハロワより、彼女がオーロラ姫を踊った方が良かったのではと思ったくらい。
    ボリショイ劇場 リニューアル記念公演 バレエ「眠りの森の美女」 全2幕 
    <出 演>
    (オーロラ姫)スヴェトラーナ・ザハロワ
    (デジレ王子)デーヴィッド・ホールバーグ
    (リラの精)マリア・アラシュ、(悪の精カラボス)アレクセイ・ロパレーヴィチ
    (国王)アンドレイ・シートニコフ、(王妃)クリスティーナ・カラショーワ
    (4人の王子)カリム・アブドゥーリン、パヴェル・ドミトリチェンコ
           ウラディスラフ・ラントラートフ、ユーリ・バラーノフ
    (白いねこ)ユリア・ルンキナ、(長ぐつをはいたねこ)イーゴリ・ツヴィルコ
    (フロリナ王女)ニーナ・カプツォーワ、(青い鳥)アルテム・オフチャレンコ
    (赤ずきん)アナスタシア・スターシケヴィチ、(おおかみ)アレクセイ・コリャーギン
    (シンデレラ)ダリーヤ・コフロワ、(フォーチュン王子)カリム・アブドゥーリン
      ほか、 ボリショイ・バレエ団
     
    <管弦楽>ボリショイ劇場管弦楽団、 <指揮>ワシーリ・シナイスキー
    <原振付>マリウス・プティパ、 <改定振付>ユーリ・グリゴローヴィチ
    <美術>エツィオ・フリジェリオ、<衣装>フランカ・スクァルチャピーノ
    収 録:2011年11月16、20日、ボリショイ劇場(モスクワ)

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