ヴォ−グ等のファッション写真で有名なペンの、花の写真集です。
この写真の一部を見たのは、もう10数年前のペンの回顧展(東京)でみた写真群のなかで数枚の花の写真があり、
そのあでやかさに息をのむ想いががしたことを憶えています。
世に花の写真は多いし、それぞれ私を楽しませてくれますが、このペンの[FLOWERS]は、忘れられない花の写真です。
美しい花から、それが朽ちていく直前の妖しい姿を写した写真。凄みさえ、感じてしまいました。
しばらくして、花ばっかり集めたペンの写真集がでました。それが、この写真集です。
その写真の素晴らしさから、装幀、紙の質から、すべてが[FLOWERS]に向かって、絞り込まれたような本でした。
花の本では、メ−プルソ−プの花の写真集や、イモジン・カニンガムの花やオリビア・パ−カ−の花や、石本泰博の花の
本などと並び、花を写した本では、お気に入りのものです。
(余談)後日浅井慎平の写真集「花」が出版され、豪華写真集ですが、(1.5万円くらいしたかな?)
その写真をみて、びっくり。ア−ビング・ペンのFLOWERSそっくり。
本人は、自信たっぷりなのですが、写真といい、スタジオで撮る手法といい、ライテイングといい、さらに写真集の独特の
紙の質(光沢紙)といい、ペンのFLOWERSそのもの。名前が隠されていたら、ペンの本の続編かと、見間違うでしょう。
オリジナルのペンの花を知らない人には、大変魅力的で、素晴らしい写真に見えるかもしれませんが、すでにずっと前にペンが
つくりあげた世界をそのまま、コピ−したような姿勢には、写真家としての誇りとオリジナリテイについて、大いに考えさせられました。
もともと、浅井氏の写真は特段興味もないのですが、一度考えを聞いてみたくなった気がしました。
(尚、これはあくまで、私の個人的な感想です。しかし、大変好きなペンのFLOWERSであるので、ちょっと、なんなかな−と思ったり・・・?!)