脊損(せきそん)とは

脊柱(せきちゅう)と脊髄(せきずい)とはまったく違ったもの

脊柱イメージ(265,740kb)

 脊柱というのは、33個の骨が積み重なってできたもので、その1つ1つの骨を脊椎(せきつい)といいます。脊椎は俗にいう首の骨、背骨(せぼね)、腰骨(こしぼね)に区別されます。
 この脊椎と脊髄はよく混同して使われることがあります。
 脊椎は首の骨、せぼね、こしぼねそのものです。脊髄は神経です。



脊柱の構成とその区分

 脊柱は頭の後方(後頭部)から始まって、背中、腰そして動物でいう尻尾(しっぽ)で終わっている1本の長い柱です。この柱は1本の骨からできているのではなく、実は33個の骨が連結してできています。その1つ1つの骨を脊椎と呼びます。つまり、脊柱は33個の脊髄が連なってできている柱です。
 脊柱は頭の方から尻尾に向かって、順に、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎に区分され、頸椎には7個、胸椎には12個、腰椎には5個、仙椎には5個、尾椎には4個(合計33個)の脊椎があります。そしてそれぞれ頭に近い方から順に、第1頸椎、第2頸椎、・・・・・、第7頸椎、第1胸椎、第2胸椎、・・・・・、第12胸椎、第1腰椎、第2腰椎、・・・・・、第5腰椎と呼びます。仙椎、尾椎は大人では個々の脊椎が1個の骨の塊となっており、仙骨、尾骨と呼びます。
 この脊柱は、文字通り人間のバックボーンとして、われわれの頭、首、背中、腰の支えとなり、身体の軸となっています。同時に、脊柱は内臓器の支えともなっています。これを脊柱の支持性といい、脊柱の働きの一つとなっています。


発生とその原因
 脊髄損傷は脊髄への外傷によっておこります。そしてその原因となる外傷にはさまざまのケースがありますが、ほとんどの場合、鈍力創、射創、切創、刺創の4つに分けることができます。


1)鈍力創
 交通事故とか重い物が落ちて背や腰に当たるとか、高いところから落ちるなどして、脊椎の脱臼、骨折などがおこり、そのために脊椎の中を通っている脊髄が傷つき、潰されてしまうことによっておこるものです。本来、脊椎というのは脊髄を保護しているべきなのに、外傷というアクシデントであるにしろ、脊髄を潰してしまう凶器になるとは皮肉です。
 現在のわが国の状況から、脊髄損傷の原因としてはこの鈍力創がもっとも多くみられます。というよりもほとんどすべてがこの鈍力創によるものと思ってもいいようです。

2)射創
 銃弾などなどによって脊髄が傷つけられる場合ですが、戦争によって射創を原因とする脊髄損傷が多発することは過去の歴史がよく示しています。

3)切創・刺創

 これらは文字通り、切られたり、刺されたりすることによって脊髄が損傷されることですが、もしあるとすればきわめて珍しいケースです。



 脊髄はせいぜい小指ぐらいの太さです。そのなかには、脊髄としての本来の役目を果たす神経細胞や神経線維の部分と、脊髄として神経的な役目はなく、ただ神経細胞や神経線維を支えている組織の部分があります。こういう脊髄に損傷が加わると、肝心の神経細胞、神経線維には再生、再び生き返って神経の機能をとり戻すという力がなくなります。ゼロではないかもしれませんが、今のところ再生能力なしというのが正しい見解です。




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