保育士
 児童福祉施設において児童の保育に従事する者。従来は保母という名称が使われ、女性の職種であったが、昭和52年の改正で男性にも保母に関する規定が準用され、その後、平成11年4月から保育士という男女共通の名称が使用されることになった。資格は、厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設を卒業した者、または保育士試験に合格した者、である(児福令13条)。保育士は保育所のみならず児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設等の児童福祉施設にも配置され、重要な役割を担っている(最低基準)。

保育に欠ける児童
 児童福祉法第24条においては、乳児、幼児又は児童の保育に欠けるところがある場合に、保護者から申込みがあったときは、それらの児童を保育所で保育するよう市町村に義務づけている。この場合の「保育に欠ける」とは、児童の保護者のいずれもが、@昼間労働することを常態としている、A妊娠中であるか又は出産後間がない、B疾病にかかり、若しくは負傷し、または精神・身体に障害を有している、C同居の親族を常時介護している、D震災、風水害、火災その他の災害の復旧に当たっている、E@〜Dに類する状態にある、のいずれかに該当することにより児童を保育することができないと認められる場合であって、かつ、同居の親族等がその児童を保育することができないと認められる場合をいう。

訪問介護員(ホームヘルパー)
 高齢者等の家庭等を訪問して、入浴・排せつ・食事等の介護、衣類の洗濯、住居等の掃除、生活必需品の買物、関係機関等との連絡、生活・身上・介護に関する相談・助言等を業務とする者。現在は、身体障害者、知的障害者、障害児、難病患者等を対象としてホームヘルプサービス事業が行われているほか、介護保険では居宅サービスとして訪問介護が実施されている。ホームヘルパーは、心身ともに健全で、福祉に閲し理解と熱意を有し、家事、介護及び相談助言の能力を有する者から選考、採用され、採用時及び年1回以上の研修を行うこととされている。勤務形態は、恒常的、臨時的介護需要量等を総合的に判断して決定することとされ、日給または時間給の非常勤のホームヘルパーも置かれている。新ゴールドプランにより、平成元年度のホームヘルパー数3万1405人から平成11年度までに17万人が確保された。また、ゴールドプラン21では平成16年度までに225百万時間(35万人)の介護サービス提供量が示された。

訪問看護
 看護者が対象者の自宅を訪ね、その生活の場の中で展開する看護活動を指す。地域の保健所や病院を拠点に、患者のフォローアップや継続看護の一環として行われる場合が多い。健康保険法に基づく訪問着護があるほか、介護保険制度でも居宅サービスの一つとして位置づけられている。介護保険では、病状が安定期にある要介護者又は要支援者であって居宅において介護を受けるものについて、その者の居宅において看護婦(士)、保健婦(士)等により行われる療養上の世話または必要な診療の補助をいう。

訪問入浴介護
 介護保険の給付対象となる居宅サービスの一つ。居宅要介護者等に対してその居宅を訪問して、浴槽を提供して行われる入浴の介護をいい、身体の清潔の保持や心身機能の維持向上を図ることで自立支援を行う。適所サービスによる入浴介護を利用できない場合や自宅の浴槽では訪問介護等による入浴介助が困難な場合に、特にその機能が期待される。

訪問リハビリテーション
 介護保険の給付対象となる居宅サービスの一つ。病状が安定期にある要介護者または要支援者に対し、その者の居宅において、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために、診療に基づき実施される計画的な医学管理の下に行われる理学療法、作業療法、その他必要なリハビリテーションをいう。

ホームケア・サポートシステム[home care support system]
 病院や保健所その他の保健センターとホームコンピュータを結ぶことによって、在宅の病弱者、高齢者、身体障害者その他の一般家族の健康管理や治療看護の助言指導を受けたり、緊急時の手当に万全を期する等、在宅のままで医療が受けられる、双方向で応答可能な有線テレビシステム。

保健医療機関
 健康保険法、国民健康保険法等に基づいて療養の給付を行う病院または診療所。厚生労働大臣の指定・登録を受けなければならない。指定の効力は6年であり、規則違反等の場合には指定取消しの罰則がある。

保健医療従事者
 保健・医療サービスを供給する高度の専門技術者。医師、看護婦(士)、保健婦(士)、助産婦、歯科医師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、視能訓 練士(ORT)、医療ソーシャルワーカー等の職種。社会福祉士及び介護福祉士は、その業務を行うに当たっては、これら医療専門職との連携を保たなければならない。

保険者
 一般的には、保険契約により保険金を支払う義務を負い、保険料を受ける権利を有する者をいう。政府管掌健康保険の保険者は政府、組合管掌健康保険は健康保険組合、国民健康保険は市町村または国民健康保険組合、各種共済組合は共済組合、国民年金、厚生年金保険は政府である。老人保健法の保険者は、医療保険各法の規定により医療の給付を行う政府、健康保険組合、市町村、国民健康保険組合、共済組合または日本私立学校振興・共済事業団をいう。農林漁業団体職員共済組合は、医療の給付を行っていないのでここでいう共済組合に含まれない。

保健所デイ・ケア
 保健所は、地域における精神保健福祉に関する第一線の行政機関として、精神保健福祉活動を実施している。昭和62年から、回復途上にある精神障害者の社会復帰の一層の促進を図るため、保健所において「デイ・ケア事業」を実施している。精神科デイ・ケアは通院医療の一形態やあり、集団精神療法、作業指導、生活指導、レクリエーション活動、創作活動などを実施する。保健所においてデイ・ケアが実施されるのは、その地域に医療機関における「精神科デイ・ケア」がない場合である。

保険料の免除
 国民年金法では、保険料を納付することが困難な者には、保険料の納付義務を免除する制度がある。これは、20歳以上60歳未満の者すべてを強制被保険者としていることからの措置で、法律に定める要件に該当すれば届出をするだけで免除となる法定免除(国年89条)と、納付が困難である旨を都道府県知事に申請し、その承認を受けて免除となる申請免除(国年90条)がある。法定免除は、@障害基礎年金、障害厚生年金(3級を除く)等の障害を支給事由とする年金給付の受給権者であるとき、A生活保護法による生活扶助その他の援助を受けるとき、Bハンセン病療養所等の施設に入所しているとき、に行われ、申請免除は、@所得がないとき、A生活扶助以外の扶助その他の援助を受けるとき、B地方税法に定める障害者または寡婦であって、年間所得が125万円以下であるとき、Cその他保険料を納付することが著しく困難であると認められるとき、に行われる。また平成14年度から一定の低所得の第1号被保険者に対し保険料半額免除が導入されることとなった。なお一定所得以下の学生は平成12年度から保険料の納付を要しない制度が導入されており、学生特例期間の各月から10年間は保険料を追納できることとなっている。

母子及び寡婦福祉法
 すべての母子家庭で、児童が心身ともに健全に育成されることと、母親・寡婦の健康で文化的な生活を保障することを目的とする法律。母子一体の福祉の推進を図っていることが特徴であり、母子・寡婦福祉資金の貸付け、居宅における介護等、住宅・就労等に関する福祉上の措置等が定められている。なお、身近な相談員として母子相談員が福祉事務所に配置されている。

母子生活支援施設
 児童福祉法に基づき設置される児童福祉施設の一種。配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子とその者の監護すべき児童を入所させて保護するとともに、これらの者の自立促進のためにその生活を支援することを目的とする施設0都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村が、配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子の保護者からの申込みにより保護を実施する。個々の母子の家庭生活及び稼働の状況に応じ、就労、家庭生活及び児童の養育に関する相談及び助言を行う等の自立促進を目的とした生活指導を行う。従来「母子寮」と呼ばれていたが、平成9年の法改正により、平成10年度から「母子生活支援施設」と改称された。

母子保健法
 母性の尊重、乳幼児の健康の保持増進を基本理念とし、保健指導、健康診査、母子健康手帳の交付、医療援護等の母子保健対策について定めた法律。昭和40年に、母子保健対策の充実を図る目的で児童福祉法から独立した。平成6年から、専門事業を除く健康診査等の基本的サービスの提供は市町村に一元化されている。

補助金
 特定の事業等を行う者に対し、国または地方公共団体が当該事業等のき遂行の育成、助長等を行うために交付する現金給付をいう。補助金には、法令の規定に基づき交付される場合(法令補助)と、予算の範囲内において行政庁の裁量によって交付される場合(予算補助)がある。育成、助長の意味を強く表す語として助成金、奨励の意味を強く表す語として奨励金という語が用いられることがある。一方、地方公共団体の判断により使途の自由がある国からの給付として地方交付税交付金がある。

ホスピス[hospice]
 治療的効果がこれ以上期待できず、苦痛の強い患者に対して、安らかに死を迎えられるように援助するための施設。がん末期患者が対象となることが多い。

補装具
 身体障害者の身体の一部の欠損または機能の障害を禰い、日常生活や職業生活を容易にするため用いられる器具の総称。身体障害者福祉法では、義肢、装具、座位保持装置、盲人安全つえ、義眼、眼鏡、点字器、補聴器、人工喉頭、車いす、電動車いす、歩行器、頭部保護幅、収尿器、ストマ用装具及び歩行補助つえの16種(児童福祉法では上記のほか、座位保持いす、起立保持具、頭部保持具、排便補助具の4種)が補装具として指定され、身体障害者から申請があったときは、これを交付または修理し、あるいはこれに代えて補装具の購入または修理に要する費用を支給するものとしている。

補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準(昭和48年厚生省告示171号)
 身体障害者福祉法に基づき定められており、補装具の交付または修理の委託を受けた業者が市町村に対して請求することができる額(受託報酬の額)もこの基準による。補装具の種目としては、義肢、装具、盲人安全つえ等16種を定め、その型式、使用材料・部品、工作法、価格、耐用年数等が定められている。身体障害児については、児童福祉法に基づく基準(昭48厚告187)があり、これに準じて定められている。

母体保護法(昭和23年法律156号)
 不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定め、母性の生命健康を保護することを目的とする法律。不良な子孫の出生を防止するという優生思想に基づく規定を削除する平成8年の法改正の趣旨に基づき、優生保護法から改称された。また、精神病者等に対する本人の同意によらない不妊手術も禁止となった。

補聴器
 聴覚に障害があって音声を聞きとることが困難な人たちに、外界からの音をより効果的に伝えるための増幅装置。補聴器の種類には携帯用(耳掛型、箱型、挿耳型骨導式など)と、集団用がある。各人に合った機種の選定、装用方法の決定には専門医や聴能訓練士の診断・検査を受け、装用指導などを受けることが望ましい。身体障害者福祉法及び児童福祉法において、聴覚障害者(児)のための補装具として交付されている。

ボランタリズム[voluntarism]
 国民相互の自発的な互助関係を重視する考え方。教会・学校・福祉事業などは、国家的保護や補助に頼らずに各人の自発的寄付によって維持経営されるべきだとする。

ボランティア[volunteer]
 本来は、有志者、志願兵の意味。社会福祉においては、無償性、善意性、自発性に基づいて技術援助、労力提供等を行う民間奉仕者をいう。個人またはグループで、@手話・点訳、学習指導、理美容、電気、大工、茶・華道、演芸(劇)指導等の技術援助、A児童・高齢者などの介護や話し相手、おむったたみ、施設の清掃等の自己の労力・時間の提供、B一日里親、留学生招待、施設提供、預血・献体、旅行・観劇招待等、の奉仕を行う。

ボランティア基金
 ボランティア活動の安定的かつ継続的展開を、資金面で支える基金。全国レベル、都道府県・指定都市レベル、市町村レベルに、社会福祉の分野における民間奉仕活動の振興を目的として、社会福祉法人または一定の民法法人に設定され、@個々のボランティア活動団体に対する活動費の助成、A移動入浴車等ボランティア活動関係資器材の購入費の助成、B社会福祉協議会等が行うボランティアの養成、研修事業費の助成等、を行う。

ボランティアコーディネーター[volunteer coordinator]
 一般には「ボランティア調整担当者」と訳される。ボランティアセンターをはじめ、ボランティア活動の推進にかかわる関係機関・団体・施設等に配置されている、有給またはボランタリーな職員をいう。具体的には、ボランティアの需給調整・情報提供・養成教育・調査研究等の役割を果たすことによって、ボランティア活動の活性化を目指す立場にある。近年では、ボランティアの養成教育と同等に、ボランティアコーディネーターの養成が求められてきている。

ボランティアセンター
 ボランティア活動を支援するために社会福祉協議会に設置されている機関。全国レベルでは全国社会福祉協議会に中央ボランティアセンターが設置されているが、都道府県レベルでは都道府県社協に都道府県ボランティアセンターが、市町村社協には市町村ボランティアセンターがそれぞれ設置されている。ボランティア参加の啓発やきっかけっくり、活動の支援や推進基盤の整備、プログラムの開発、地域におけるネットワークづくりなどを役割としている。

ポリオ[acute anterior poliomyelitis]
 急性灰自髄炎。腸管ウイルスであるポリオウイルスT型、U型またはV型による感染症。不顕性感染が多いが、病型として不全型、無菌性髄膜炎型、麻痔型(脊髄性小児麻痔)、多発神経炎型が知られている。経口生ワクチンの投与によりほとんどみられなくなっている。感染症予防法による二類感染症とされている。