聾学校
 聾者(強度の難聴者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を行い、必要な知識技能を授けることを目的とする学校。都道府県に設置が義務づけられている。特別な事情のある場合を除いて、寄宿舎を設置し、寮母(父)を置かなければならないとされている。就学の対象となる聾者の障害の程度は、@両耳の聴力レベルが100dB以上のもの、A両耳の聴力レベルが100dB未満60dB以上のもののうち、補聴器の使用によっても通常の話声を解することが不可能または著しく困難な程度のもの、とされている(学教71条〜74条)。高等部には専攻科が置かれ、歯科技工に関する知識や技術を習得させたり、印刷、理容・美容、クリーニング等に関する職業教育が行われる。

老健局
 厚生労働省の内部部局。平成13年の省庁再編により創設され、総務課、介護保険課、計画課、振興課、老人保健課の五つの課で構成されている。老人の福祉の増進、保健の向上、それらのための施設整備、介護保険事業、福祉用具の研究・開発と普及の促進などについての事務をつかさどり、老人保健制度、老人福祉制度、介護保険制度等の施策を実施する局である(厚労組令12条、厚労組則66条)。

労災補償部
 厚生労働省の労働基準局に置かれている内部部局。労災管理課、補償課、労災保険業務室からなり、不幸にして労働災害に遭った者やその遺族に対して労働者災害補償保険による迅速・的確な保険給付を行う。また、被災労働者の早期社会復帰対策や重度被災労働者に対する介護施策なども総合的に推進している。

老視
 年齢が進むことによって起こる眼の調節力の生理的変化。眼筋の調節力や水晶体の弾力性が減少するために調節力が低下し、明視の近点が目から遠ざかる。近点が22cm(9インチ)以上になったときがその始まりとされる。

老人憩いの家
 市町村の地域において、老人に対し、教養の向上、レクリエーション等のための場を与え、老人の心身の健康の増進を図ることを目的とする利用施設。設置及び運営主体は市町村。利用者は原則として60歳以上の者で、利用料は無料となっている。

老人医療費
 老人保健法による老人医療対象者に関する医療に要する費用。その費用は、老人の一部負担を除いた部分を公費30%(国が20%、都道府県・市町村がそれぞれ5%)、保険者からの拠出金70%で負担している。

老人居宅介護等事業
 老人福祉法に基づく老人居宅生活支援事業の一つ。65歳以上の者であって、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある者であって、やむを得ない事由により介護保険法に規定する訪問介護を利用することが著しく困難であると認められる者に対し、その者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事及び生活等に関する相談、助言等の便宜を供与する事業。実施主体は市町村。

老人居宅生活支援事業
 老人福祉法に基づく事業で、要援護高齢者の居宅における生活を支援するための、@老人居宅介護等事業、A老人デイサービス事業、B老人短期入所事業、C痴呆対応型老人共同生活援助事業、の4事業をいう。実施主体は市町村であるが、事業の一部を社会福祉法人等に委託することができる。介護保険では、居宅要介護者等に対し、これらの事業に相当する居宅サービス(訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、痴呆対応型共同生活介護)が提供されるため、市町村が行う措置の対象者は、やむを得ない事由により介護保険法に規定するそれぞれのサービスを利用することが著しく困難であると認められる者に限定される。

老人クラブ
 おおむね60歳以上の高齢者が会員となって結成する自主的な組織で、昭和25年に大阪で結成されたのがわが国における老人クラブの始まりである。活動内容は、友愛訪問活動、清掃奉仕等の社会奉仕活動、教養講座の開催や歩け歩け運動及び老人体操などのスポーツ振興活動などがある。老人クラブ数は、平成11年で13万4119クラブあり、約886万人が参加している。

老人デイサービス事業
 老人福祉法に基づく老人居宅生活支援事業の一つ。おおむね65歳以上の者であって、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものを老人デイサービスセンター等に通わせ、入浴、食事の提供、機能訓練、介護方法の指導その他の便宜を供与する事業。実施主体は市町村であるが、事業の一部を社会福祉法人、医療法人、民間事業者等に委託することができる。介護保険法では、これらのサービスが居宅サービスの中の適所介護として、居宅要介護者等に提供されるため、市町村が行ってきた措置の対象者は、やむを得ない事由により介護保険法に規定する適所介護を利用することが著しく困難であると認められる者に限定される。

老人日常生活用具給付等事業
 おおむね65歳以上の要援護高齢者及びひとり暮らし高齢者に対し、日常生活用具を給付又は貸与することにより、日常生活の便宜を図ることを目的とする事業。実施主体は市町村(特別区を含む)。給付等の費用は、世帯の生計中心者の収入に応じ、一定額を負担する(生活保護世帯及び所得税非課税世帯は無料)。対象品目としては、電磁調理器、火災警報機、自動消火器、老人用電話(貸与)がある。。なお、介護保険制度の要介護・要支援者に対しては、保険給付として、福祉用具貸与及び福祉用具購入費が支給される。

老人福祉法(昭和38年法律133号)
 老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的とする法律。具体的な福祉の措置として、居宅における介護等のための老人居宅生活支援事業の実施、老人福祉施設への入所、老人健康保持事業の実施、老人福祉計画等について定められている。なお、介護保険事業の対象についても同法に一部位置づけられている。

老人訪問看護制度
 疾病、負傷により、家庭におし)て寝たきり又はこれに準ずる状態にある老人医療受給対象者に対し、主治医の指示に基づいて、訪問着護ステーションから看護婦(士)等が訪問し、病状観察、清拭、裾瘡の処置、カテーテル等の管理、リハビリテーション、療養指導等を行う制度(老健46条の5の2、老健則23条の5〜23条の10)。なお、介護保険法に基づく要介護者等に対しては、居宅サービスの一つである訪問看護が提供されるため、老人保健法による老人訪問看護制度の対象は、介護保険法に基づく要介護者等以外の老人医療受給対象者とされる。

老人ホーム
 老人福祉施設の一形態で、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホームがある。前二者は老人福祉法に定められた措置施設であり、軽費老人ホームは法に定められた契約施設、有料老人ホームは純然たる民間の契約施設である。

老人保健法(昭和57年法律80号)
 国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とした法律。本法による保健事業には、医療、入院時食事療養費の支給、特定療養費の支給、高額医療費の支給、老人訪問着護療養費の支給、移送費の支給の医療等と、健康手帳の交付、健康教育、健康相談、健康診査、機能訓練、訪問指導の医療等以外の保健事業がある。なお、老人保健施設の根拠法は介護保険法となった。→医療等(老人保健法の)、医療等以外の保健事業(老人保健法の)

労働安全衛生法(昭和47年法律57号)
 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律。安全衛生管理体制、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置、健康の保持増進のための措置(健康診断等義務づけ)等が規定されている。施行以来わが国の安全衛生水準は改善されてきたが、時代の変化を踏まえ、平成8年の改正では産業医の専門性の確保、健康診断結果の通知の義務化等が、平成11年の改正では深夜従事者の健康管理対策の充実等が図られた。

労働基準法(昭和22年法律49号)
 労働条件の最低条件を定めた法律。均等待遇、男女同一賃金の原則を規定した総則に続き、労働契約、賃金、労働時間・休憩・休日及び年次有給休暇、安全及び衛生、女性・年少者に対する保護、など使用者が遵守すべき基準を規定している。この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とされ、この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準によるとされている。労働者の働き方や就職意識の多様化に対応するため、@男女雇用機会均等法改正に伴う女性労働者の時間外・休日労働及び深夜業に関する制限規定の撤廃、A1年単位の変形労働時間制の要件緩和、B三六協定の見直し、などの改正がされ、平成11年4月に施行された。

労働者災害補償保険法(昭和22年法律50号)
 業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害または死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする法律。公務員及び船員保険の被保険者には適用されない。保険料は、保険の加入者である事業主の負担で、労働者の負担はない。保険給付として、療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金及び介護補償給付等がある。

労働保険
 労働者災害補償保険と雇用保険の総称。労働保険の範囲は必ずしも明確なところはなかったが、昭和44年の労働保険の保険料の徴収等に関する法律で規定されて一般的になった。

老年痴呆[senile dementia;SD]
 老年期に発病する原因不明の脳萎縮性疾患をいう。今日では初老期に発病するアルツハイマー病と同一の疾患ともいわれ、アルツハイマー型痴呆の晩発型またはアルツハイマー型老年痴呆とも呼ばれる。症状は記憶力障害を中心とした痴呆、人格変化の随伴精神症状(夜間せん妄、幻覚、妄想、作話、抑うつ状態など)がみられる。脳の組織病理所見としては脳の萎縮、老人斑、アルツハイマー原線維変化が認められる。

老齢基礎年金
 国民年金の給付の中で、全被保険者(全国民)に共通する基礎年金の一つ。資格期間が25年以上ある者が65歳に達した時に支給される。ただし、本人の希望により60歳から繰り上げて支給を受けることも、66歳以降へ繰り下げて支給を受けることもできる。保険料未納期間があれば、その期間分減額される。 老齢厚生年金  厚生年金保険の給付の一つ。老齢基礎年金の受給資格期間を満たした時(65歳以上)に、老齢基礎年金に上乗せして支給される。厚生年金保険の被保険者期間が1年以上であり、老齢基礎年金の受給要件を満たしている60歳以上65歳末満の者には老齢厚生年金の特別支給が行われる。ただし、この特別支給は受給権者が在職している場合は一部または全部が支給停止される。なお特別支給の開始年齢は平成13年より段階的に引き上げられることとなった。