精神障害
 精神の異常や偏りを総称していう。生得的な知能や性格が問題となる知的障害・性格障害、心因や環境因から生じる神経症、脳器質障害、内因性精神障害、身体疾患に基づく精神障害・薬物中毒等が含まれる。

精神障害者
 精神の異常や偏りを総称していう。生得的な知能や性格が問題となる知的障害・性格障害、心因や環境因から生じる神経症、脳器質障害、内因性精神障害、身体疾患に基づく精神障害・薬物中毒等が含まれる。精神保健福祉法第5条では、「精神分裂病、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と定義し、医療や保護を行い、その社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加促進のために援助を行う対象としている。精神疾患を有する者という医学的概念でとらえており、精神障害者を能力障害に着目してとらえる障害者基本法よりも対象は広い。なお、知的障害者については、医療保健面では精神保健福祉法が、福祉的援助は知的障害者福祉法が適用される。

精神障害者社会適応訓練事業
 通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者(知的障害者を除く)を、精神障害者の社会経済活動への参加の促進に熱意を有する一般の事業所であって適当と認めた者に委託して、一定期間事業所に通わせ職業を与えるとともに、社会生活への適応のために必要な訓練を行う事業。実施主体は都道府県または指定都市。委託期間は原則として6か月(3年を限度として更新可)。なお、この事業は、予算上の事業として行われてきた通院患者リハビリテーション事業を平成7年に法定化したもの。

精神障害者社会復帰施設
 精神保健福祉法に基づき設置される、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るための施設。精神障害者生活訓練施設、精神障害者授産施設、精神障害者福祉ホーム、精神障害者福祉工場、精神障害者地域生活支援センターがある。知的障害児(者)は、精神障害者社会復帰施設の対象者から除外されているが、これは、児童福祉法及び知的障害者福祉法により同様の施設が制度化されているからである。

精神障害者社会復帰促進センター
 精神障害者(知的障害者を除く)の社会復帰の促進を図るための訓練及び指導等に関する研究開発等を行い、精神障害者の社会復帰を促進することを目的として設立される民法上の法人。厚生労働大臣により、財団法人全国精神障害者家族会連合会が指定されている。精神障害者の社会復帰促進のための啓発・広報活動、訓練及び指導等に関する研究開発、その成果の提供、精神障害者の社会復帰促進事業に従事する者に対する研修等の業務を行う。  

精神障害者授産施設
 精神保健福祉法に基づき設置される精神障害者社会復帰施設の一つ。雇用されることが困難な精神障害者が自活することができるように、低額な料金で必要な訓練を行い、及び職業を与えることで、社会復帰の促進を図ることを目的とする施設。適所施設と入所施設があり、入所施設の入所者は、住居を確保することが困難であって、かつ、多少の介助があれば日常生活を営むことができる者でなければならない。利用者には工賃が支払われる。精神障害者、身体障害者及び知的障害者がそれぞれの授産施設を適所利用できる相互利用制度がある。

精神障害者小規模作業所
 地域において就労が困難な在宅の精神障害者を適所させ、その特性に応じた作業指導、生活訓練等を行うことにより、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会参加の促進を図ることを目的とする施設。地域の精神障害者の家族会等が運営する一定規模(利用人員5名以上、毎週4日以上利用)の小規模作業所に対して、精神障害者社会復帰促進センターを通して国庫補助が行われる。

精神障害者地域生活援助事業
 精神障害者グループホーム(共同生活を営む精神障害者に対し、食事の世話等の生活援助体制を備えた形態)での生活を望む精神障害者に対し、世話人を配置して日常生活における援助等を行うことにより、精神障害者の地域での自立生活を助長することを目的とする事業。実施主体は都道府県、市町村、社会福祉法人等であり、運営主体は精神障害者社会復帰施設、精神病院等を運営する地方公共団体及び非営利法人等である。入居するには一定程度の自活能力、就労していること等が必要となる。家賃、飲食物費、光熱水費等の共通経費は、入居者及び世話人がそれぞれ負担する。

精神障害者地域生活支援センター
 精神保健福祉法に基づき設置される精神障害者社会復帰施設の一つ。地域の精神保健及び精神障害者の福祉に関する問題について、精神障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言を行うとともに、保健所、福祉事務所、精神障害者社会復帰施設等の関係機関との連絡調整等の援助を総合的に行う。平成11年の法改正により、平成12年4月から法定化された。

精神障害者保険福祉手帳
 一定の精神障害の状態にあることを認定して交付し、交付を受けた者に対し、各種の支援策が講じられることを促進し、精神障害者の有会復帰及び自立並びに社会参加の促進を図ることを目的とする手帳。申請書に、精神保健指定医等の診断書又は精神障害を支給事由とする障害年金の年金証書の写しを添付し、都道府県知事または指定都市市長(保健所長経由)に提出し、申請する。この手帳に基づく支援策としては、通院医療費の公費負担制度申請時の診断書提出及び判定手続きの省略、A税制上の優遇措置、B生活保護の障害者加算の認定、C公共交通機関の運賃割引等がある。

精神障害者の原因
 その性質に従って、内国、外因、心因の三つが挙げられる。内因とはある個体の素質と遺伝であるが、それだけでは明確に説明できないため、現在原因不明ということになっている。内因によるものとして精神分裂病、操うつ病などがある。外因とは、器質的な身体的病変、脳病変や薬物などをいい、外因によるものとして脳器質性精神病、症状精神病、中毒性精神病などがある。心因とは心理的、環境的、社会的な刺激が、ある性格特徴をもつ人に加わり、精神的反応を起こした際のその刺激をいう。心因によるものとして心因反応や神経症などがある。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〔昭和25年法律123号〕
 精神障害者の医療及び保護を行い、その社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする法律。精神保健福祉センター、地方精神保健福祉審議会及び精神医療審査会、精神保健指定医及び精神病院、医療及び保護、保健及び福祉、精神障害者社会復帰促進センター等について定められている。精神障害者の人権擁護とその社会復帰促進を柱とした精神衛生法の改正が行われ、昭和63年7月から法律名も精神保健法として施行された。さらに、平成7年5月に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改められ、福祉施策が法体系上に位置付けられ、精神障害者の自立と社会参加促進の援助等が法目的に加えられた。また、平成11年6月の改正では、適正な精神医療の確保、福祉施策の充実を図るため、精神医療審査会の機能強化、移送制度の創設、ホームヘルプサービス等の法定化等が規定された。

精神保健福祉士
 精神保健福祉士法に基づく国家資格。精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識と技術をもって、精神障害者の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者で、精神保健福祉士登録簿に登録された者をいう。

成年後見制度
 痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者などの判断能力の不十分な成年者を保護するための制度。高齢社会への対応及び知的障害者・精神障害者等の福祉の充実の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度とするため、平成11年に民法の改正が行われた。この改正では、従来の禁治産・準禁治産制度を後見・保佐の制度に改め、新たに軽度の精神上の障害がある者を対象とする補助の制度が創設された。

成年後見人
 精神上の障害により判断能力に欠けるとして、家庭裁判所により後見開始の審判を受けた者(成年被後見人)の財産に関するすべての法律行為について代理権を有する者。

政府開発援助[offical development assistance;ODA]
 先進国から発展途上国、国際機関へ流れる資金の中で、政府が基盤となり贈与するか、貸与されるものをいう。経済発展、福祉の増進を目的としている。

生理的欲求
 先進国から発展途上国、国際機関へ流れる資金の中で、政府が基盤となり贈与するか、貸与されるものをいう。経済発展、福祉の増進を目的としている。人間のもつ基本的な欲求の一つ。生命体としての人間の生理から必然的に生まれてくる欲求で、飢えと渇きを満たす飲食の欲求、排泄の欲求、疲れた身体を休める休息の欲求、異性との愛と性を求める欲求等がこれに含まれる。

世界人権宣言[Universal Declaration of Human Rights]
 1948年第3回国連総会において採択された。「すべての人民とすべての国家が達成すべき共通の基準」(宣言前文)を定めたもので、この宣言自体には、何ら法的な拘束力はないが、近代人権宣言の集約であり、いわば人類憲法の前文としての歴史的位置を占める。

世界保健機関[World Health Organization;WHO]
 国際連合の専門機関の一つ。1948年に発足し、世界中の人々が最高水準の健康を維持することを目的としている。加盟国は191か国(2000年8月現在)で本部はジュネープにある。主な事業として、感染症対策、衛生統計、基準づくり、技術協力、研究開発などを行っている。

脊髄損傷
 交通事故などの外傷により脊椎の骨折、脱臼に伴い生じる脊髄の障害で、重篤な機能障害を示す。脊髄は神経系の下位中枢機能と伝導路機能をもつため、損傷部以下の弛緩性麻痔、全知覚脱失、膀胱直腸障害等を来す。合併症の予防ならびに社会復帰と自立を目指したリハビリテーション等の機能訓練が重要である。

セラピスト[therapist]
 療法士。治療関係の専門職のことで、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理療法士などの総称。  

セルフケア[self-care]
 医療機関や各種介護サービス等による他者からの援助を受けず、自らが自立的に生命や健康生活を守ろうとする意志とその技法をもつこと。自己管理。

船員保険法(昭和14年法律73号)
 船員として船舶所有者に雇用される者を被保険者として、その者の疾病、負傷、失業等に関して保険給付を行い、また、その被扶養者の疾病、負傷、分娩等に関して保険給付を行うこと等を定めた法律。政府が管掌するもので、保険給付は、療養の給付、傷病手当金、失業保険金、障害年金、行方不明手当金、遺族年金等の支給と多岐にわたっている。昭和60年の年金制度の改正により、職務外の一般の年金保険は厚生年金保険に統合されたが、それを除く医療保険、雇用保険及び業務災害補償保険を総合した法律である。   

全国健康福祉祭(ねんりんピック)
 健康、福祉及び文化に関する積極的かつ総合的な普及啓発活動の展開を通じ、高齢者を中心とする国民の健康の保持・増進、社会参加、生きがいの高揚等を図り、ふれあいと活力のある長寿社会の形成に寄与することを目的とする祭典。主たる参加者は、60歳以上の者であるが、世代間交流なども行われている。「ねんりんピック」という愛称で呼ばれ、各県持ち回り方式で開催される。第1回は昭和63年に兵庫県で行われた。

全国障害者スポーツ大会
 全国身体障害者スポーツ大会と全国知的障害者スポーツ大会を統合し、平成13年度から実施されたスポーツ大会。障害のある選手が、障害者スポーツの全国的な祭典である本大会に参加し、競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するとともに、国民の障害に対する理解を深め、障害者の社会参加の促進に寄与することを目的とする。厚生労働省、大会開催地の都道府県・指定都市、関係団体等の共催により、秋季国民体育大会の直後に、同大会開催都道府県で開催される。

戦傷病戦没者遺族等援護法(昭和27年法律127号)
 軍人軍属等の公務上の負傷若しくは疾病又は死亡に閲し、国家補償の精神に基づき、軍人軍属であった者又はこれらの者の遺族を援護することを目的とした法律。その援護には、障害年金、障害一時金、遺族年金、遺族給与金、弔慰金の支給がある。昭和28年の軍人恩給の復活により、軍人及びその遺族に対する年金はおおむね恩給法に引き継がれ、現在本法の対象は主として軍属及び準軍属並びにこれらの者の遺族となっている。

戦傷病者特別援護法(昭和38年法律168号)
 軍人軍属等であった者の公務上の傷病に関し、国家補償の精神に基づき、特に療養の給付等の援護を行うことを目的とした法律。軍人軍属等であった者で、公務上の傷病により恩給法別表等に定める程度の障害がある者及び公務上又は勤務に関連する傷病について厚生労働大臣が療養の必要があると認定した者に対して、戦傷病者手帳が交付され、@療養の給付、A療養手当の支給、B葬祭費の支給、C更生医療の給付、D補装具の支給及び修理、E国立の保養所への入所、F旅客会社の鉄道及び連絡船への乗車及び乗船についての無賃扱い、の援護が行われる。

先天性障害
 生まれつきの障害。遺伝によって伝えられたものばかりでなく、胎生期に外的要因(放射線、薬物、感染、難産等)によって引き起こされた状態も含む。 全般痴呆  知能を構成する記憶力、理解力、判断力、推理力、計算力等が一様に広く障害された痴呆の状態をいう。老年痴呆や進行麻痺でみられる。