ターミナルケア[terminal care]
 終末期の医療・看護・介護。治癒の見込みがなく、死期が近づいた患者に対し、延命治療中心でなく、患者の人格を尊重した看護(ケア)中心の包括的な援助を行うこと。身体的苦痛や死に直面する恐怖を緩和し、残された人生をその人らしく生きられるよう援助を行う。がん末期患者等のターミナルケアのための医療施設としてホスピスがつくられている。

第一種社会福祉事業
 社会福祉法に列挙されている事業をいい、強い規制と監督の必要性の高い事業である。身体障害者更生施設、養護老人ホーム等の入所施設を経営する事業、授産施設を経営する事業、共同募金事業等がこれに当たる。第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。市町村又は社会福祉法人が経営しようとする場合は事業開始前に都道府県知事に届け出ればよいのに対して、国、地方公共団体または社会福祉法人以外の者が経営しようとする場合は事業開始前に都道府県知事の許可を受けなければならない。

体位変換
 健常者は寝ていても寝返り等で体位を変えられるが、傷病による長期臥床や寝たきりの状態では、自力では体位を変えられないことがある。同一体位の継続は苦痛や疲労を生じ、内臓諸器官の機能低下を招き、また同一部所を圧迫し続けることから褥瘡をつくりやすい。これらを予防するため、介護者の助力によって、定期的に体位を変換させる必要がある。

体幹機能障害
 肢体不自由は、@上肢障害、A下肢障害、B体幹機能障害に大きく三分される。体幹とは、躯幹(胴体)を指す。本来は躯幹の動かないもの、変形したもの、支持性のないものをいうが、支持性のないものから発展して姿勢保持能力のないものもこれに含めている。脳性のもの、脊髄性のもの、末梢神経性のもの、筋性のものと多岐に及んでいる。

体幹装具
 体幹の変形矯正や支持固定のために用いる装具。腰椎装具、胸椎装具、頸椎装具、側攣矯正装具等さまざまな種類がある。広義にいう医療用コルセットと同義。

退行
 防衛機制の一つ。一定の発達段階に達した個人が、欲求不満を起こす状況にさらされた時に、より以前の発達段階に逆もどりし、幼児的な行動をとることをいう。

退職者医療制度
 高齢退職者の医療費を被用者保険と共同で賄おうとする制度。高齢退職者は一般に無所得で有病率が高く、国民健康保険の財政的負担が大きくなるために設けられた制度。昭和59年の国民健康保険法の改正により実施された。対象者は国民健康保険の被保険者であって、被用者年金各法に基づく老齢(退職)を支給自由とする年金の受給権者とその被扶養者。

退職者被保険者
 健康保険や各種共済組合の被用者保険の被保険者は、高齢による退職後、国民健康保険に加入することになるが、それによる給付水準の低下、国庫及び国保加入者の負担増を抑えるために、退職被保険者として、退職者医療制度に組み込まれる。対象となるのは国民健康保険の被保険者のうち、被用者年金各法に基づく年金の受給権者であって、それらの年金の被保険者期間等が、通算20年以上であるか、40歳以後に10年以上である場合である。

第二種社会福祉事業
 社会福祉法に列挙されている事業をいい、第一種社会福祉事業ほど強い規制や監督が必要とされない。居宅における生活保護事業、保育所・老人福祉センター・身体障害者福祉センター等の経営、居宅介護等事業・デイサービス事業・短期入所事業等の在宅福祉関係事業、障害児(者)に対する相談支援事業、隣保事業、福祉サービス利用援助事業等がこれに当たる。第二種社会福祉事業は、第一種社会福祉事業と異なり経営主体についての制限はない。

ダウン症
 常染色体異常によって生じる精神遅滞。特徴的な顔貌があり、頭が小さく眼裂が狭くつり上がって、鼻は平たい。人なつっこい性格である。一般に短命であり、母体が高齢であるほど発症しやすい。   

宅老所
 小規模、地域密着型の、主に痴呆性高齢者を対象とした適所施設。多機能であることが多く、単に痴呆性高齢者だけでなく、地域の障害者も幅広く受け入れているところもある。小規模で、個人やグループで開始され、公的な補助を受けているところ、全く受けていないところなどさまざま。地域性を重視し、ボランティアの活動の場の保証など、異なった側面からの評価もできる。適所から始まり、徐々に短期入所、有料ホームなど複合的形態へと移行していくものもある。介護保険制度下でNPOでの期待もされている。   

立入調査
 保護決定・実施のため、保護の実施機関が要保護者の居住先に立ち入って、資産状況、健康状態を調査すること。生活保護法に基づいた調査である(生保28条)。この調査は要保護者の基本的人権に関与するため、調査員の慎重な態度が要求される。

他動運動
 関節可動域訓練の一つ。高齢者や障害者が動かしていない部分の関節を、介護者の助力(外からの力)により動かすこと。疾病を有している場合には医師や看護婦の助言を得る。具体的には肩、ひじ、前腕、手、指・栂指、股、足、足指の関節に対して技法を試みる。

たばこの小売り販売業の許可
 身体障害者福祉法並びに母子及び寡婦福祉法の規定に基づく福祉の措置の一つ。これらの法律では、身体障害者や配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものがたばこの小売販売業の許可を申請した場合は、財務大臣は、当該許可を与えるように努めるべきことが規定されている。

多発梗塞性痴呆[multi-infarct dementia;MID]
 小梗塞や大梗塞等の脳梗塞が多発して生じた痴呆。以前は脳動脈硬化性痴呆と呼んでいたが、脳血管性痴呆の中核をなすものが脳梗塞を有する痴呆であることからこう呼ばれるようになった。痴呆の割には人格は比較的よく保たれ、感情面では感情失禁がみられる。しばしば夜間せん妄もみられる。知能の侵され方にむらのある、まだら痴呆を呈する。

短期入所生活介護
 介護保険法に基づく居宅サービスの一つ。要介護者等であって、居宅において介護を受ける者を特別養護老人ホームまたは老人短期入所施設に短期間入所させ、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うこと。

短期入所療養介護
 介護保険法に基づく居宅サービスの一つ。介護老人保健施設、介護療養型医療施設、医療法による療養病床を有する病院又は診療所等に、病状が安定期にある要介護者又は要支援者であって居宅において介護を受けるものを短期間入所させ、看護、医学的管理下における介護、機能訓練、その他必要な医療、日常生活上の世話を行うサービス。

断酒会
 アルコール依存症から回復した人々の組織した団体の一つで、断酒を続行することにより、家族ともども人間らしい生活をとり戻すことを目的としている。アメリカで結成されたAIcoholics Anonymous;AA(酒害者匿名会)を手本とし、昭和28年、東京で発足した断酒友の会を母体とするが、日本では特に匿名性には重きが置かれていない。

男女共同参画社会基本法(平成11年法律78号)
 平成11年に制定された基本法。少子高齢化の進展、国内経済活動の急速な変化に対応していくうえで、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を形成することを目的とする。基本理念として、@男女の人権の尊重、A社会における制度または慣行についての配慮、B政策等の立案及び決定への共同参画、C家庭生活における活動と他の活動の両立、D国際的強調を規定している。