チアノーゼ[cyanosis]
 毛細血管、静脈を循環する血液の酸素濃度が低く、炭酸ガス濃度が高いため、皮膚及び可視粘膜が著しく紫色になる現象。原因としては、肺でのガス交換が不十分な場合や、心臓で動脈血と静脈血が混じる場合、末梢循環の不良な場合等が考えられる。

地域援助活動
 社会福祉固有の援助活動の一つ。地域社会において、地域の住民がその地域社会の問題を自ら解決できるように、専門的知識・技術を有したコミュニティワーカーが地域組織化等の活動を通じて援助することである。従来「コミュニティワーク」と呼ばれていたものの援助活動に当たる部分を指す。住民の地域活動を側面から援助するという意味で、間接援助技術に分類される。

地域緊急通報システム
 ひとり暮らし高齢者等の世帯に設置された緊急通報装置と結ぶ受信センターを在宅介護支援センター等に整備し、急病等の緊急時に迅速な対応を行うとともに、協力員等との連携のもとに安否確認等の福祉的対応を行い、孤独感、不安感の解消を図るシステム。

地域福祉権利擁護事業
 社会福祉法第81条の規定に基づき、都道府県社会福祉協議会が行う福祉サービス利用援助事業(都道府県の区域内においてあまねく福祉サービス利用援助事業が実施されるために必要な事業を含む。)、当該事業に従事する者の資質の向上のための事業並びに福祉サービス利用援助事業に関する普及・啓発を行う事業。

地域福祉センター
 地域住民の福祉の増進及び福祉意識の高揚を図ることを目的として、地域住民の福祉ニーズや地域の実情に応じた各種福祉事業を行う、地域における福祉活動の拠点。設置運営主体は地方公共団体または社会福祉法人。利用料は無料または低額(サービス実施に伴う原材料費等の実費)。(@デイサービス事業、Aボランティア団体等の行う食事サービス事業、B研修・相談事業、Cボランティア活動支援事業等を実施する。建物の規模と事業内容によりA型とB型に分けられる。

知的障害
 「先天性又は出産時ないし出生後早期に、脳髄になんらかの障害をうけているため、知能が未発達の状態にとどまり、そのため精神活動が劣弱で、学習、社会生活への適応がいちじるしく困難な状態(昭和45年、文部省)」とされ、行政施策上は知能指数(IQ)75以下のものを指すとされている。IQ25ないし20以下のものを重度、IQ20ないし25から50の程度を中度、IQ50から75の程度を軽度としている。療育手帳制度では、IQ35以下(肢体不自由、盲、ろうあ等の障害を有する者は50以下)が重度とされている。従来の精神薄弱、精神遅滞(MD)という用語も同義である。

知的障害児施設
 児童福祉法に基づき設置される児童福祉施設の一種。知的障害のある児童を入所させて、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識・技能を与えることを目的とする施設。精神科の診療に相当の経験を有する嘱託医、児童指導員、保育士等が置かれ、施設を退所後、できる限り社会に適応し、健全な社会生活を営むことができるよう、生活指導、職業指導等が行われる。なお、自閉性を主たる症状とする児童にあっては、医療に必要な設備を備えた知的障害児施設の一種として設けられた自閉症児施設へ入所措置がとられる。

知的障害者援護施設
 知的障害者福祉法に基づき設置され、知的障害者の更生を援助し必要な保護を行う施設の総称。知的障害者デイサービスセンター、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設、知的障害者通勤寮及び知的障害者福祉ホームをいう。設置主体は、都道府県、市町村、社会福祉法人等。設備及び運営については、「知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準」により定められている。

知的障害者居宅介護等事業
 知的障害者福祉法に基づく知的障害者居宅生活支援事業の一つ。18歳以上の知的障害者であって日常生活を営むのに支障があるものについて、その者の居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言等の便宜を供与する事業。障害児・知的障害者ホームヘルプサービス事業がこれに該当する。実施主体は市町村。

知的障害者更生施設
 知的障害者福祉法に基づき設置される知的障害者援護施設の一種。18歳以上の知的障害者を入所させて保護するとともに、その更生に必要な指導及び訓練を行う施設。医師、保健婦(士)または看護婦(士)、生活指導員、作業指導員等が配置され、入所者が日常生活におけるよい習慣を確立し、社会生活への適応性を高めるための生活指導、入所者が自立して社会生活を営むことができるようにするための作業指導等が行われる。重度の知的障害者の保護指導を充実させるための重度知的障害者収容棟の設置及び適所による更生の場としての分場の設置が認められている。

知的障害者授産施設
 知的障害者福祉法に基づき設置される知的障害者援護施設の一種。18歳以上の知的障害者であって雇用されることが困難なものを入所させて、自活に必要な訓練を行うとともに、職業を与えて自活させることを目的とする施設。授産施設が与える職業の種目は、地域の実情、製品の需給状況等を考慮して選定し、作業時間、作業量等についても従事する者に過重な負担とならないように配慮して決定するものとされている。職業に従事した者には、事業収入から必要な経費を控除した額に相当する金額が工賃として支払われる。適所による授産の場としての分場の設置が認められている。知的障害者、身体障害者及び精神障害者がそれぞれの授産施設を適所利用できる相互利用制度がある。

知的障害者短期入所事業(ショートステイ)
 知的障害者福祉法に基づく知的障害者居宅生活支援事業の一つ。介護を行う者の疾病その他の理由により居宅において介護を受けることが一時的に困難となった18歳以上の知的障害者を、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設等に短期間入所させ、必要な保護を行う事業。障害児(者)短期入所事業がこれに該当する。実施主体は都道府県。

知的障害者デイサービス事業
 知的障害者福祉法に基づく知的障害者居宅生活支援事業の一つ。18歳以上の知的障害者またはその介護者を知的障害者デイサービスセンター等に通わせ、入浴、食事の提供、創作的活動、機能訓練、社会適応訓練、介護方法の指導等のサービスを提供する事業。在宅知的障害者デイサービス事業がこれに該当する。実施主体は市町村。

知的障害者の権利宣言
 1971年12月の国連総会において採択されたもの。前文において、知的障害者が多くの活動分野においてその能力を発揮し得るよう援助し、可能な限り通常の生活にかれらを受け入れることを促進する必要性を示した。本文では、@実際上可能な限りの他の人間と同等の権利、(参適当な医学的管理及び物理療法、教育、訓練、リハビリテーション及び指導を受ける権利、B経済的保障及び相当な生活水準を享有する権利、C家族や里親と同居し、社会生活に参加する権利、D後見人を与えられる権利、E搾取、乱用及び虐待から保護される権利、を有すること等を宣言し、これらの権利の保護のための共通の基礎及び指針として使用されることを確保するための国内的及び国際的行動を要請している。

知的障害者福祉法
 知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、知的障害者の福祉を図ることを目的とする法律。総則において、すべての知的障害者の自立への努力及びあらゆる分野の活動に参加する機会の確保、知的障害者の福祉に関する国、地方公共団体及び国民の責務、知的障害者に対する福祉の措置が児童から成人まで関連性をもって行われるための関係職員の協力義務を定めている。精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律(平成10年法律110号)により、「精神薄弱」という用語が「知的障害」に改められ、法律名も改称された。

痴呆
 一度獲得された知能が、脳の器質的な障害により持続的に低下したり、失われることをいう。これに対して、獲得される以前の障害による知能の障害を知的障害という。一般に痴呆は器質障害に基づき、記銘・記憶力、思考力、計算力、判断力、見当識の障害がみられ、知覚、感情、行動の異常も伴ってみられることが多い。記憶に関しては、短期記憶がまるごと失われることが多いが、長期記憶については保持されていることが多い。痴呆は状態により、全般痴呆、まだら痴呆に分けることがある。その症状は、老年痴呆、初老期痴呆、脳血管性痴呆、進行麻痔、てんかん、脳炎、アルコール依存症などでみられる。

痴呆性高齢者
 脳の器質的障害により痴呆症状(いったん獲得された知能が持続的に低下すること)を示している高齢者。痴呆には、脳梗塞、脳出血等による脳血管障害の結果生じる脳血管性痴呆、原因不明の脳の萎縮によって生じるアルツハイマー型痴呆等がある。

痴呆性高齢者専用施設
 痴呆性高齢者のみを対象とする施設。昭和56年に三重県で最初の痴呆性高齢者専用施設、第二小山田特別養護老人ホームが開設され、「二度童子の館」としてテレビでも紹介された。その後、自治体レベルで痴呆性高齢者の専用施設や専用居室などの施設整備補助事業が展開されている。また、平成3年度から、老人保健施設の一般棟に併設される痴呆専門棟について予算措置が行われるようになった。精神保健分野では、老人性痴呆疾患治療病棟、老人性痴呆疾患療養病棟、老人性痴呆疾患デイ・ケア施設、老人性痴呆疾患センターがある。

痴呆対応型共同生活介護
 介護保険の給付対象となる居宅サービスの一つ。要介護者であって痴呆の状態にある者に対し、共同生活を営む住居(グループホーム)において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うサービスをいう。ただし、痴呆に伴って著しい精神症状や行動異常がある者、痴呆の原因疾患が急性である者は対象者から除かれる。

痴呆対応型老人共同生活援助事業
 老人福祉法に基づく老人居宅生活支援事業の一つ。65歳以上のものであって、痴呆の状態にあるために日常生活を営むのに支障があるものに対して、共同生活を営むべき住居において食事の提供その他の日常生活上の援助を行う事業。実施主体は市町村。このサービスは、介護保険法では居宅介護サービスの痴呆対応型共同生活介護として位置づけられ、要介護者であって痴呆の状態にあるものに提供されるため、市町村が行う措置の対象者は、やむを得ない事由により介護保険法の痴呆対応型共同生活介護を利用することが著しく困難であると認められる者に限定される。   

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律〔平成11年法律87号〕
 地方分権を推進するため地方自治法をはじめ関係法律475本の改正を定めた、いわゆる地方分権一括法。平成12年4月1日施行。国と地方公共団体の関係を、従来の上下関係から対等・協力の関係へ移行するため、機関委任事務の廃止、事務区分の再編、国の関与等の見直し、事務権限の委譲などを定めている。従来の地方自治体の事務は、国からの強い指揮監督を受ける機関委任事務が4〜8割を占めていたが、これが廃止され、地方公共団体が自らの責任と判断で行う自治事務と、国の利害に関係のある事務を法に基づき引き受ける法定受託事務に再編された。

中途障害者
 障害が発生した時期により、先天障害、生得的障害、中途障害、後天的障害等という言い方がある。「中途障害者」は、出生時や周産期に発生した障害である先天的障害や生得的障害によるものではなく、人生の途上において障害が発生した者という意味で使われる。中途障害の発生原因としては、疾病、交通事故、労災事故、スポーツ事故などがある。人生の途上で発生した原因により失明した者については中途失明者、聴覚を失った者については中途失聴者という用語が使われる。

聴覚・言語障害者更生施設
 身体障害者福祉法に基づき設置される身体障害者更生援護施設のうち身体障害者更生施設の一種。身体障害者手帳の交付を受けた聴覚・言語障害者を入所させて、その更生に必要な指導及び訓練を与える施設。医学的診断及び治療、聴力検査及び語音明瞭度検査、補聴器装用訓練、聴能訓練、読話訓練、運動機能訓練、音声・言語機能更生訓練、心理的診断、心理的更生措置、職業訓練等が行われる。入所期間は、原則として1年間であるが、特に必要な場合には6か月以内で延長が認められる。

聴覚障害(者)
 耳から大脳の聴覚中枢に至る経路の一部あるいは全部に損傷があり、言葉や音の聞き取りが困難で、日常のコミュニケーションに支障があると自覚又は他覚されていること(人)をいう。なお、身体障害者福祉法では、両耳の聴力レベルが70dB以上の人などを聴覚障害者とし、障害等級を6級から2級の間で認定している。受障時期、受障部位、受障原因により治療・援助法・コミュニケーション手段が異なる。特に言語習得期との関わり、高齢者か否かの区別は重要である。

聴覚障害者情報提供施設
 身体障害者福祉法に基づき設置される身体障害者更生援護施設のうち視聴覚障害者情報提供施設の一つ。聴覚障害者用字幕(手話)入ビデオカセットの製作及び貸出事業を主たる業務とし、あわせて手話通訳者の派遣、情報機器の貸出等コミュニケーション支援事業及び聴覚障害者に対する相談事業を行う。また、関係行政機関・障害者団体と協力し、聴覚障害者の文化、学習、レクリエーション活動等を援助し、推進に努める。利用料は無料又は低額な料金とされている。

長寿社会福祉基金
 高齢者や障害者の在宅福祉の充実と生きがい・健康づくり事業の増進を図るため、高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)の一環として、社会福祉・医療事業団に設立された基金。地域の実情に即し民間の創意と工夫を生かした自発的な事業、先駆的・モデル的な事業であって、全国に普及する可能性のあるものに対し、必要な資金の助成を行う。

重複障害
 障害者は単一の障害のみでなく他の障害を重複している場合も少なくない。例えば、上肢と下肢のような同類の重複に止まらず、視覚障害、運動機能障害、聴覚・言語障害、知的障害等の障害が二つ以上重なっていることをいう。障害の組合せやその障害の程度などによって、その状態像は複雑多様である。そのため介護者は一つの障害についてだけでなく、他の障害との関連も考え介護に当たる必要がある。

直腸機能障害
 主に排便障害のことをいう。原因としては脊髄損傷等の中枢神経系の異常のため生じるものと、末梢神経に問題のあるヒルシュスプルング病等がある。前者においては、勝胱・直腸機能障害を合併することが多い。人工肛門に伴う直腸機能障害は身体障害者手帳の交付対象となる。