要介護者
 介護保険制度においては、@要介護状態にある65歳以上の者、A要介護状態にある40歳以上65歳末満の者であって、要介護の原因である障害が特定疾病による者をいう。保険給付の要件となるため、その状態が介護認定者査会の要介護認定によって該当するかどうかが客観的に確証される必要がある。したがって、介護給付を受けようとする被保険者は、要介護者に該当すること及びその該当する要介護状態区分について、市町村の認定(要介護認定)を受けなければならないと規定されている。

要介護状態
 介護保険法の定義によれば、「身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、6か月継続して、常時介護を要すると見込まれる状態」のこと。要介護状態は、要支援状態よりも介護の必要の程度が重度であり、その区分は介護の必要度により五つに区分(要介護状態区分)されている。

要介護認定
 介護保険制度において、介護給付を受けようとする被保険者の申請によって、その要件となる要介護者に該当すること及び該当する要介護状態区分について、市町村が行う認定。全国一律の客観的な方法や基準に従って行われる。心身の状況等に関する認定調査の結果と疾病や負傷の状況に関する主治医意見書に基づき、介護認定審査会において審査判定が行われ、その結果に従い、市町村が要介護認定を行う。市町村は原則として申請から30日以内に結果を通知しなければならない。また、要介護認定は申請日に遡って有効である。要支援認定の申請であっても審査判定の結果、要介護者に該当する場合には要介護認定が行われる。認定によって介護保険の給付の量が決定するという点で極めて重要な手続きであり、公平かつ公正に実施されなければならない。要支援認定と同一の方法を用いて一体的に行われることから、要支援認定を含めて指す用語として使われることが多い。

要介護被保険者
 介護保険法に基づく要介護認定を受け、要介護状態区分のいずれかに該当するとされた被保険者をいう。

養護
 広義には、危険がないように保護し育てることであるが、従来児童福祉の分野で広く使われ、家庭養護が重視されてきた。しかし、高齢化に伴う人口構造の変化、核家族化による家庭機能の変化縮小により、家庭養護から施設でそれを補完する社会的養護へと発展し、その範囲も成人、高齢者、障害者へと広くに及んだ。養育、療養、矯正教育、リハビリテーション等、事後的保護施策から予防的施策へと概念内容を変えてきている。

養護学校
 知的障害者、肢体不自由者若しくは病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を行い、必要な知識技能を授けることを目的とする学校。都道府県に設置が義務づけられている。養護学校には、特別な事情のある場合を除いて、寄宿舎を設置し、寮母(父)を置かなければならないとされている。

養護老人ホーム
 老人福祉法に基づく老人福祉施設の一種。65歳以上の者であって、身体上、精神上または環境上の理由及び経済的理由により、居宅において養護を受けることが困難な者を入所させて、養護することを目的とする入所施設。設置主体は、都道府県、市町村、社会福祉法人で、市町村が設置する場合は都道府県知事に対して届出が、社会福祉法人が設置する場合は都道府県知事の認可を受けることが必要である。福祉の措置により施設への入所を行う措置施設で、入所措置の要否の判定は町村または福祉事務所内に設けられた入所判定委員会で行われる。

養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(昭和41年厚生省令19号)
  養護老人ホームは、入所者に対し、健全な環境のもとで、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならないという基本方針に基づいて、養護老人ホームの規模、設備、職員配置、入所者の健康管理、衛生管理等について規定した最低基準。従来は「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」として定められていたが、介護保険法に基づく「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」が定められたのに伴い、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」も新たに定められ、養護老人ホームのみの独立した規定となった。

要支援者
 介護保険制度においては、@要介護状態となるおそれがある状態にある65歳以上の者、A要介護状態となるおそれがある状態にある40歳以上65歳末満の者であって、その原因が特定疾病による者をいう。予防給付を受けようとする被保険者は、要支援者に該当することについて、市町村の認定(要支援認定)を受けなければならない。

要支援認定
 介護保険制度において、予防給付を受けようとする被保険者の申請によって、その要件となる要支援者に該当することについて、市町村が行う認定。要介護認定と共通の全国一律の客観的な方法を用いて行われる。認定調査の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会において審査判定が行われ、その結果に従い市町村が要支援認定を行う。市町村は原則として申請から30日以内に結果を通知しなければならない。また、要支援認定は申請日に遡って有効である。要介護認定の申請であっても、蕃査判定が行われた結果、要支援者に該当する場合には要支援認定が行われる。要介護認定と同様に介護保険の給付の量が決定するという点で極めて重要な手続きであり、公平かつ公正に実施されなければならない。

養老院
 養老院は、民間の慈善事業のなかでも生活困難な高齢者を収容する救済事業として展開され、明治5年に東京に養育院、聖ヒルダ養老院(明治25年)、神戸養老院(明治32年)、大阪養老院(明治35年)などが設立された。昭和4年に制定された救護法では、孤児院(現在の児童養護施設)、病院とともに「救護施設」に指定された。戦後、養老院は、昭和21年に制定された(旧)生活保護法で被保護者を対象とする「保護施設」として位置づけられ、昭和25年に制定された生活保護法では、「養老施設(老衰のため独立して日常生活を営むことのできない要保護者を収容して、生活扶助を行うことを目的とする施設)」として規定された。そして、昭和38年の老人福祉法の制定により、養老院は、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホームに分かれ、 養老院という呼称は用いられなくなった。