重質炭酸カルシウムは何に使われているか
私が勤務している会社で生産している重質炭酸カルシウムには、粒子の大きさが1マイクロメートル(=1/1000mm)未満の粉状のものから4mm以上の砂状・粒状のものまで、様々な種類の製品があります。また、重質炭酸カルシウムに薬品などを添加したり混合したりして、納入先で使いやすいように加工した製品もあります。
重質炭酸カルシウムは、物品の原料のひとつとして使用されることがほとんどですので、どのようなものに使われているかを見てみましょう。
プラスチック
石油から造られる様々なプラスチック製品には、重質炭酸カルシウムが使われています。
プラスチック製品を造る際に炭酸カルシウムを加えることによって、強度や安定性が増し変形しにくくなったり、滑り止めや艶消しなど全体の外観や手触りが良くなり、流動性や分散性の向上により加工しやすい状態にすることができます。また、重質炭酸カルシウムは石油など他の原料よりはるかに安いので、プラスチック製品の製造費用の大幅な節約にも役立ちます。
重質炭酸カルシウムが使われているプラスチック製品は、以下の通りです。
パイプ・雨樋・タイル・電線・ビニールシート・家電部品・自動車部品・おもちゃ・フィルム・ごみ袋・容器・食器・食品トレイ・盆・洗面台・便器・浄化槽・イス・接着剤など
ゴ ム
ゴム製品を作る際に、重質炭酸カルシウムを加えると加工しやすくなるため、多くの量の重質炭酸カルシウムが使われています。また、増量剤としてもゴム製品の製造費用の大幅な節約にも役立っています。
重質炭酸カルシウムが使われているゴム製品は、以下の通りです。
運動靴・電線ケーブル・タイヤ・ベルト・ゴムホース・スポンジ・ゴム糊・接着剤
塗 料
塗料を造る際に重質炭酸カルシウムを加えることにより、塗料の粘度を調整、タレの防止などの塗装作業性の改良、木などに塗ったときに吸い込まれないようにする目地止めの効果があります。
製 紙
紙を造る際にも、重質炭酸カルシウムが加えられています。
重質炭酸カルシウムにより紙の白さが向上するだけでなく、紙の性質が酸性から中性になるため、酸性である新聞紙のように長い時間が経つとボロボロになることが無く、長期間保存する文書に使用する紙に適したものになります。
アート紙・コート紙・グラビア紙などの塗工紙、上質紙・中質紙・ライスペーパーなどの内添紙、ポスター・地図などの合成紙に重質炭酸カルシウムが使われています。
建 材
重質炭酸カルシウムは古代から建材として使用されてきましたが、現代においても人工大理石・床材・壁材・化粧ボードなど様々な建材の原料に利用され、ビルや住宅の建設には欠かせないものとなっています。
食品添加物・医薬品
東城町周辺で採掘される結晶質石灰石は、とても純度が高く良質なので、食品に添加されたり医薬品に使用されるカルシウム剤としても使われています。
食品添加物としては、かまぼこ・ソーセージ・パン・チューインガム・ジュース・豆腐・ビスケットなどに使われ、骨を強くするためにカルシウム分を強化した健康食品にも配合されています。
医薬品としては、胃腸薬の制酸剤・有効成分を付着させる賦形剤・歯磨きにおける研磨剤・カルシウム剤などに使用されています。
農業・畜産飼料
農林水産業の分野でも、重質炭酸カルシウムは役立っています。
農業の分野としては、農薬の有効成分を散布しやすくする水和剤やキャリアとして、また土壌改良のための中和剤として使用されています。
畜産・水産の分野としては、配合飼料、鶏卵の殻や養殖エビの殻を固くするカルシウム補給剤、動物薬に使用されています。
その他
クリスタルガラス・カメラのレンズなどの光学ガラス、電子部品に使用するセラミックスにも、純度の高い重質炭酸カルシウムが使われています。
また、学校で使用されるもののうち、運動場に引く白線・チョーク・絵の具・クレヨン・パステル・プラスチック消しゴムなどにも重質炭酸カルシウムが使われています。
このように、重質炭酸カルシウムは様々な製品を生み出す上で欠かせないものになっています。
あなたのまわりにあるもので、重質炭酸カルシウムが含まれているものを探してみてください。
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