よくある質問と回答(F.A.Q.)

 「重質炭酸カルシウムのはなし」のWEBページを開設してから、様々な質問をメールでいただいております。
 このページでは、それらの質問に対して行った回答を掲載をすることによって、同様な疑問をお持ちの方の疑問解消に役立てていただければと思います。


Q.重質炭酸カルシウムと軽質炭酸カルシウムはどう違うのですか?

 重質炭酸カルシウム(重炭)は、採掘した石灰石をそのまま粉砕・分級したものです。
 それに対して、石灰石を800℃〜900℃の高温で焼成して造る生石灰[主成分:酸化カルシウムCaO]や、生石灰を水と反応させてつくる消石灰[主成分:水酸化カルシウムCa(OH)2]、さらに消石灰を炭酸ガス[CO2]と反応させて造る炭酸カルシウム[主成分:CaCO3]を、軽質炭酸カルシウム(軽炭)と呼びます。
 軽質炭酸カルシウムは、高温で焼成する際不純物が除去されるため、純度の低い非晶質石灰石を原料にできますが、重質炭酸カルシウムは不純物を除去する化学反応工程を経ないため純度の高い結晶質石灰石しか原料にできません。
 軽炭は重炭と用途的に重複する分野もありますが、生石灰・消石灰はアルカリ性が強いので土壌改良剤や中和剤には重炭より多く使用されています。
 それに対して、重炭は化学反応工程を経ない分安価ですので、大量に使用される用途には重炭が使用されることが多いようです。また、化学反応工程が無い重炭は、CO2排出量が少ない素材です。
 ちなみに、せんべいなどの菓子袋に入っている乾燥剤に使われている石灰は、生石灰です。
 また、かつて運動場に引く白線にはほとんど消石灰が使われていましたが、消石灰はアルカリ性が強いため眼や傷口に炎症を起こしやすく、風で飛散しやすいことから、最近では重質炭酸カルシウムが使われることが多いようです。

Q.重質炭酸カルシウムが添加されている加工食品があるのですが、重質炭酸カルシウムでB.S.E.感染の可能性はありませんか?

 イギリスをはじめヨーロッパで猛威をふるった牛海綿状脳症(B.S.E.いわゆる『狂牛病』)ですが、2001年に日本でもB.S.E.に感染した牛が発見されました。
 原因は、B.S.E.に感染した牛の骨髄が、肉骨粉に加工され再び飼料として牛に与えられたことから、感染が広がったものと考えられております。
 飼料やカルシウム剤や食品添加物の中には動物の骨を原料としたものもありますが、飼料・カルシウム剤・食品添加物として使用されている重質炭酸カルシウム製品は、日本国内で採掘されております純度の高い天然の石灰石のみを原料としており、製造工程途中でも牛骨等の動物由来物が全く添加されておりません。
 ゆえに、重質炭酸カルシウム製品には、動物由来成分が全く含まれていませんのでB.S.E.感染の可能性が全くなく、飼料・カルシウム剤・食品添加物として安心してお使いいただけます。

Q.石灰石が埋蔵されている山を所有しているのですが、鉱山として開発できるでしょうか?

 日本で地下資源の採掘をする場合、採掘する土地の所有権(地上権)の他に、まず「鉱業権」というものを取得しなければなりません。いくら土地を所有していても、この鉱業権を持っていない限り、一切地下資源を採掘することはできません。
 鉱業権は、経済産業省に申請して鉱区を取得することが必要ですが、良質な石灰石が埋蔵している地域であれば、すでにほとんどの鉱業権は他社において設定済みであると予想されます。
 石灰石の鉱山開発は、まず鉱業権を取得して鉱区を設定し、鉱区内を念入りに地質調査(ボーリング)を行った上で目的となる鉱物の埋蔵量を算定し、埋蔵されている場所の土地買収(地上権の取得)を行い、立木を伐採して鉱物のある地層まで表土を取り除く作業が必要で、そのための道路や廃土の処分場を確保しなければならないなど、目的鉱物の採掘ができるまでに長い時間と膨大な費用と手間が必要になります。

Q.重質炭酸カルシウムを製造する機械について、さらに詳しく知りたいのですが?

 「社団法人 日本粉体工業技術協会」のWEBサイトをご覧になり、リンク集から会員製造機械メーカーのWEBサイトを訪問の上、製造機械メーカーに直接お問い合わせ下さい。
 私の勤務する会社では、協会会員の製造機械メーカーのものをいくつか使用しています。
 また、「ふたむらの部屋」のWEBサイトでは、重質炭酸カルシウムをはじめとする粉粒体の基礎や粉粒体を扱う技術と機械装置について詳しく解説されている素晴らしいサイトですので、ぜひご覧下さい。

Q.外国産の重質炭酸カルシウム製品を日本へ売り込みたいのですが?

 石灰石は、資源の少ない日本において良質なものが大量に埋蔵されている地下資源です。そのため、日本で製造される重質炭酸カルシウム製品は、日本国内への販売のみならず、外国へも数多く輸出されています。
 また、重質炭酸カルシウム製品は比較的単価が安いので、外国から輸入する場合日本までの運賃の方が高くなってしまい、採算が合わないケースも多いようです。
 あえて外国産の重質炭酸カルシウム製品を日本に売り込みたいのであれば、純度が極めて高いものか化学処理などを加えた付加価値の高い製品である必要があるでしょう。


もどる
もどる