アナログCS受信用機器を再活用する
(2002年8月内容改訂)

 スカイパーフェクTV!などデジタルCS衛星放送の登場で、使い道がなくなってしまったスカイポートやCSバーン受信用アナログCS受信機器ですが、決して安くないお金を出して購入したものですから、粗大ゴミに出してしまったりお蔵入りさせてしまうのも惜しいものです。
 このページでは、使い道のなくなったアナログCS受信機器の再活用について検討してみましょう。


アナログBSチューナーとして使う

 アナログCSチューナーは、アナログBSチューナーとしての機能も持っているものがほとんどなので、そのままアナログBSチャンネルの受信に転用することができます。特にCSバーンの受信に使っていたものであれば、コアテックデコーダーがあるはずですので、NHK−BSだけでなくWOWOWも月々2000円を払って契約すれば見ることができます。NHK−BSは世帯単位の契約ですから、テレビのある他の部屋のBS視聴用に流用すると良いでしょう。

 ただしパラボラアンテナは、コンバーターの周波数がBSとCSで異なるのでそのまま使用することはできません。パラボラアンテナがコンバーターを取り替えできるタイプであれば、BS用コンバーター単体を入手できれば使用することができますが、最近はBSアンテナセットが1万円未満で買えますので、それを購入した方が良いと思います。

 私の場合もCSバーン終了に伴い、それまでコアテックデコーダーとして使用していたBSチューナーが不要となりましたので、姉夫婦宅に無償提供し、BSアンテナセットの費用だけでNHK−BSが視られるようになったので大変喜ばれました。


Cバンド外国衛星を受信する

 90cm以上のパラボラアンテナをお使いでしたら、Cバンド外国衛星を受信してみましょう。
 90cm程度のパラボラアンテナですと、あまりきれいな受信映像は期待できませんが、比較的電波の強いASIASAT−3S衛星のCバンドアナログチャンネルのいくつかを受信することができます。

 受信に必要な条件としてはアナログCSチューナーが通信対応FM音声の再生ができ、加えて映像極性を負極性映像画面=逆画面と表記されている場合もある)に切り替えられることが必要です。
 また、パラボラアンテナに付けるコンバーターは、Cバンド用のLNBとフィードホンに取り替える必要がありますが、国内CS受信に使用していたコンバーターよりサイズが大きくなりますので、取り付け部分を加工してしっかりと固定できるようにする必要があります。Cバンド用LNBとオフセットアンテナ用ストレートフィードホンは、合わせて2万円あまりの値段で、衛星テレビ専門店から購入することができます。
 ASIASAT−3S衛星のCバンドアナログチャンネルのうち、90cm程度のパラボラアンテナと日本のテレビ受像器を使って映像が映るチャンネルは以下の通りです。

水平偏波
局 名 衛星周波数 映像周波数設定 音声周波数設定
STAR SPORTS 3800MHz 1350MHz L5.58/R6.76MHz
Channel[V] 中文台 3840MHz 1310MHz L5.58/R6.76MHz
鳳凰衛視 3920MHz 1230MHz L5.58/R6.76MHz

 映像設定周波数は、以下の公式から求めていますので、他のチャンネルを設定する際に参考にして下さい。
 ※映像周波数設定(MHz)=LNB周波数(5150MHz)−衛星周波数(MHz)

 映像極性の設定は必ず負極性(機種によっては逆画面)にしておかないと、画面が全く映りません。また、映像帯域を変えられるチューナーの場合は、帯域幅をNARROW(狭い)にしておいた方がよりきれいに映ります。
 受信効率を高めるためストレートフィードホンを使うので、どちらか片方の偏波のチャンネルしか受信できません。垂直偏波には日本のテレビ受像器でそのまま映るチャンネル数がないので、ここでは水平偏波のチャンネルを受信することにしましょう。

国内CS用コンバーター  国内CS受信に使用していたコンバーターは、左の写真のようにフィードホンの径が小さいため、パラボラアンテナのアーム取り付け部分を加工しないと径の太いCバンド用のフィードホンは取り付けできません。

Cバンド受信用コンバータ  そこでアームの先を勤務先の工場で加工してもらい、右の写真のようにCバンド用フィードホンの太い胴体をステンレスの板でぐるっと巻き付けて、ボルトとナットで締め付けて固定できるようにしました。受信偏波位置を調整する際には、ボルトをゆるめてフィードホンを回転することができます。

 以上の準備ができましたら、パラボラアンテナをASIASAT−3S衛星に向けてみましょう。
 ASIASAT−3S衛星の静止位置は東経105.5度で、アンテナを向ける方向はBSのアンテナよりも西にずらして仰角も若干低くなります。アンテナを振ってみて、完全に映らないまでも画面に大きな変化があったり音声が聞こえるポイントがありましたら、パラボラアンテナを仮固定して、コンバーターの傾きを変えてみたり、設定したチャンネルを別なものに変えてみて、受信状態が最良になるポイントに調整してみて下さい。
 90cmのパラボラアンテナでも、最良に調整すれば画面全体にノイズがかかるものの、内容は十分楽しめます。

 STAR SPORTSでは、世界中の様々なスポーツを見ることができます。
 Channel[V]中文台では、中国・香港・台湾のポップスを中心に、韓国や日本の流行音楽、欧米のアーティストの音楽が幅広く流されています。
 鳳凰衛視は、中国・香港・台湾のドラマの他に、日本のトレンディードラマやアニメが中国語字幕や吹き替えで流されていることもあります。

 以上のチャンネルは日本のテレビと同じNTSC方式で放送しているので、チューナーからの映像信号をそのままテレビに接続して見ることができるのですが、他のチャンネルは映像が日本と異なるPAL方式で送られているので、それらの映像方式を視聴できるマルチ方式テレビ(外国人旅行者向け免税電気店で購入できる)か、外国のPAL方式やSECAM方式を日本のNTSC方式に変換する映像方式変換機を用意しなければいけません。私の場合、韓国製の映像方式変換機を使用しています。
 これらを使用すれば、同じ水平偏波の他の中国語チャンネルと、フィードホンを90度回転して受信できる垂直偏波でインドやパキスタンのいくつかのチャンネルも見ることができます。

※地域によっては、東京と地方のテレビ局同士が番組を送りあうNTTのテレビ中継回線のルート上にあり、衛星からの電波と干渉して全く受信できない場合もあります。その時はあきらめて、テレビ中継回線の電波を受信することにしましょう。これも結構面白いそうです。

 英語番組があるSTAR SPORTS以外は、どれも現地の言葉を使用しているので詳しい内容はちんぷんかんぷんなのですが、外国の珍しい映像を見るだけでも充分楽しめます。特に番組の合間に流れる外国のCMは見物ですし、番組に登場する各国の女性は正統派美女が多く、個性的な美女が幅を利かせる日本のテレビ番組と見比べるのも面白いですね。


 以上のように、使い道がなくなったと思われたアナログCS受信設備も、工夫次第でまだまだ活用することができます。これまでいろいろと楽しませてくれたアナログCS受信機器ですから、壊れて修理不能になるまで使いましょう。

もどる
もどる