小口径アンテナでデジタル海外衛星TVを狙う
(2002年8月内容更新)

 国内衛星テレビのデジタル化だけでなく、海外衛星テレビのデジタル化も急ピッチで進んでおります。
 アナログの外国衛星テレビ受信の場合、直径2m以上のパラボラアンテナを使用しないと、ノイズに埋もれて満足な画質・音質を得られませんでしたが、デジタル信号は必要なレベル以上の信号の強さがあれば画像や音声を再生することができるため、デジタルの外国衛星テレビのいくつかは、直径1m以下の小口径のパラボラアンテナでも結構きれいに受信することができるようになっています。

 このページでは、小口径のパラボラアンテナと海外衛星テレビ受信用デジタルチューナーを使って、海外衛星テレビチャンネルを狙ってみましょう。


ASIASAT−2のヨーロッパ各局を狙う

 前のページでは、直径90cmのパラボラアンテナを使って、ASIASAT−3SやASIASAT−2のアナログチャンネルのいくつかがノイズ混じりで受信できることを説明しましたが、同じASIASAT−2衛星を使ってヨーロッパの外国向けテレビ放送5局とヨーロッパ・北アメリカの外国向けラジオ放送9局が、アジア向けに無料でデジタルテレビ・ラジオ放送をしていますので、これらを受信してみましょう。

 受信に必要な条件としては、ASIASAT−2のアナログチャンネルの受信に使用した直径90cm以上のパラボラアンテナCバンド用LNBとフィードホンマルチ方式テレビか映像方式変換機に加えて、海外衛星受信用のデジタルチューナーが新たに必要となります。スカイパーフェクTV!用のデジタルCSチューナーは使用できません。

 ASIASAT−2のヨーロッパ各局は、デジタルチューナーに次のように設定することで受信できます。
衛星周波数 偏波 設定周波数 シンボルレート 符号化率
4000MHz 水平 1150000KHz 28125 3/4
 ASIASAT−2のヨーロッパ各局は比較的受信しやすいので有名なので、デジタルチューナーのあるチャンネルに、購入時あらかじめ上記の設定がしてあることが多いようです。

 設定ができたらアンテナをつないで方向調整をするわけですが、デジタルチャンネルは電波を受信してから映像や音声が出るまでに時間がかかるので、アナログチャンネル受信よりも方向合わせが難しいようです。
 何とか電波を捕まえられてリモコンでチャンネルを変えていくと、以下のテレビ局が受信できます。

DEUTSCHE WELLE TV(DW)
 ドイツの国際テレビ放送で、ドイツ語の他に英語・スペイン語の番組もあるようです。
RAI intenational
 イタリアの公共放送が行う海外向けテレビ放送です。ほとんどイタリア語番組のようですので、国外のイタリア人向けに放送しているものと考えられます。ニュース・スポーツ・娯楽番組・ドラマと幅広い内容が流れています。
tve
 スペインの公共放送の海外向けテレビ放送です。これもほとんどスペイン語番組ばかりのようなので、国外のスペイン人およびスペイン語圏に向けたものと考えられます。
TV5-Asia
 フランスの5つのテレビ局が共同で、アジア向けにいろいろな番組を提供しているチャンネルです。フランス語圏のカナダやスイスの番組も流れます。フランスのテレビの雰囲気が味わえます。
RTPi
 ポルトガルの公共放送が行う海外テレビ放送です。以前はアナログ放送でしたが、マカオの中国返還を契機にデジタル放送となりました。旧海外領にいるポルトガル人向けに放送しているもののようです。
 さらに音声チャンネルでは、以下のラジオ放送が受信できます。なお、一部の音声チャンネルでは、左右の音声で別々の内容を流しているものがありますので、リモコンの音声切替ボタンでどちらか片方のみ選択する必要があります。
 これらは、短波ラジオ放送でも送信されているものですが、衛星からの電波なので、混信・雑音・フェージングのないクリアな音声で聞くことができます。

 以上のように、ヨーロッパのテレビ・ラジオが驚くほど鮮明に視聴することができるのは、デジタル技術のおかげでしょう。画質・音質はほとんど国内CS衛星テレビを見ているのと変わりません。
 ただ、90cmのパラボラアンテナでは映像・音声として再生できるぎりぎりのレベルのためか、ときどき映像・音声が途切れたり、画面がストップしたりモザイクが現れたりするのがちょっと困りものです。

 映像・音声の途切れない完全な状態で受信したいのであれば、120cm以上のパラボラアンテナを使って受信しなければなりません。大きなアンテナを使えば、ヨーロッパ各局だけでなく中国の地方テレビ局のチャンネルもいくつか受信できるようになります。
 1m以下の小口径のパラボラアンテナでは、安定した受信はできませんが、ヨーロッパのテレビの雰囲気が充分味わえますので、ぜひ一度お試し下さい。


KOREASATの韓国衛星放送を受信する

 関西以西の西日本にお住まいでしたら、1m以下のパラボラアンテナとKOREASAT−BS専用コンバータ付きフィードホン、KOREASAT−BS受信に対応したデジタルチューナーを使って、韓国の衛星テレビ放送が受信できます。
 受信に必要なパラボラアンテナのサイズは、実家(広島県比婆郡東城町)では直径60cmでしたが、韓国に近い九州北部地方では直径50cmでも受信可能だそうです。韓国から離れるごとに、必要となるパラボラアンテナの大きさは増えていき、名古屋あたりが受信可能な限界ということです。
 KOREASAT−BS専用コンバーター付きフィードホン単体は、コンテックさんのような外国衛星テレビ受信機器販売店で通信販売しています。
 デジタルチューナーは、海外衛星TV受信用デジタルチューナー(私の場合はHYUNDAI HSS-100Cを使用)を使用できますが、韓国から輸入した専用のデジタルチューナーを使う人もいるそうです。
 なお、韓国の映像方式は日本と同じNTSCですので、映像方式変換機は必要ありません。

 KOREASAT−3から送られてくる韓国のBS衛星テレビ放送は、次のデータをデジタルチューナーにセットすることで受信できます。
衛星周波数 設定周波数 シンボルレート 符号化率
11,747MHz 997000KHz 21300 7/8

 受信できるのは、韓国放送公社KBSの衛星放送2チャンネルと、教育放送EBSの2チャンネルです。
 KBSの衛星放送はちょうどNHK−BSとよく似た感じで、総合編成のチャンネルとワールドニュースとスポーツを中心としたチャンネルの2つです。
 EBSの2チャンネルは、NHK教育テレビと同じような内容で、いろいろな教育番組を放送しています。

 KOREASAT−BS衛星テレビ放送の受信に成功したら、CATV向けに送られているKOREASAT−2の通信チャンネル受信に挑戦してみましょう。
 受信に必要なパラボラアンテナのサイズは、BS放送の時より一回り大きなものが必要で、当地では直径75cmで受信できています。
 コンバーター付きフィードホンは、日本のCS用のもの(私の場合はかつて国内アナログCS受信に使用していた11.3GHzLNB付き電圧切替式フィードホン)を使うことができます。
 KOREASAT−2の静止軌道はKOREASAT−3の西隣になるので、パラボラアンテナを若干西側に廻し仰角を少し下げる必要があります。
 通信チャンネルにはいくつかの周波数があるのですが、電波が強い次の周波数のデータをデジタルチューナーにセットして方向合わせをしてみて下さい。
(注)デジタルCS放送用11.2GHzLNB使用の場合は、1090000KHzとなります。
衛星周波数 設定周波数 シンボルレート 符号化率 偏波切替
12,290MHz 990000KHz(注) 25844 5/6 H(水平)
 この周波数の1チャンネル目はキリスト教チャンネルですので、この周波数が受信できる最良のポイントでパラボラアンテナを固定し、他の周波数のデータもセットして、他の通信チャンネルも映ることを確認して下さい。(設定データは省略します。)

 KOREASATで使われている言葉は当然のことながら韓国語で、テロップもハングル文字のため全く判読できませんが、韓国のニュース・スポーツ・芸能・音楽などが見られ、通信チャンネルではCMも入りますので、結構面白いですね。
 また、韓国のテレビに出てくる女性は、日本のテレビに出てくる女性に比べてだいぶん化粧が濃いのがわかります。



 衛星テレビ電波のデジタル化と強力化により、今後小口径のパラボラアンテナでも受信できる外国衛星テレビは増えていくことが期待できます。
 新しい衛星がどんどん打ち上げられて、簡単に外国のテレビが視られるようになってほしいものですね。

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