DENON DP-80修理と調整

はじめに
デンオンDP-80は、局用ステレオ再生機DN-308Fの系統として当時オーディオ愛好家に人気のあったターンテーブル単体です。しかし30年も経つとさすがに劣化、調整ずれが発生しています。メーカーからは、資料をもらえるものではないので、局用ステレオ再生機DN-308Fの取り説を参考に、理論的にほぼ間違いない調整方法を記載します。ネット上では多くの方がブログ掲載していますが、肝心な部分が抜けています。他人の日記なので文句は言えません。以降私が紹介する内容は、メーカーでも修理に応じない古い機種を自己責任で調整する方法です。しかし理屈に合わない調整ではありません。参考にされて下さい。

1、高速で回転する

回転検出ヘッドのギャップ調整

上面ターンテーブルを外し下面ターンテーブルの磁気コーティング面と検出ヘッド面のギャップを調整する。取り扱い説明では0.2o〜0.25oで工場出荷時調整と記載されているのでその範囲になるようにハガキ程度の厚さの紙を切って挟んで2本のねじを緩めて調整する。このはがきは0.2o。ちなみに業務用DN-308Nの方は0.1o〜0.15oである。業務用のマニュアルにも紙を挟むように記載されているのでこの方法で間違いはないだろう。金属のシックネスゲージは、ヘッドや磁気印刷面に、傷が付くのでやめた方が良い。

2、ストロボランプが明るさ不安定

不安定なうちは、故障していないので、高圧発生回路の電計コンデンサー250V4.7μを交換すれば、大体治るでしょう。現在だと250V4.7μは小型になっているので450V4.7μ程度のほうがサイズ的に良いと思います

制御基板右下黒い線の下が250V4.7μその他の11個電解コンデンサーも交換した。液漏れの痕跡がある場合、基板面をアルコールできれいに拭くこと。写真で指摘されると困るので書いておくが0.47μは本来電解コンデンサーだが手持ちのタンタルコンにした。ヘッドの信号検出部なので問題ない。さらにここの電解コンは、表に挿入すると、コネクタに当たるため裏付けされていた。タンタルなら表に収まる。フィルム系コンデンサー、トランジスタ、ICは早々劣化するものではないので、交換の心配は無用。それを言い出すと、抵抗の抵抗値大、オープンなど古いものでは意外に多いのできりがない。あえてコンデンサーの値を記載しないのは、お決まりのそれを見て部品購入することの防止である。必要な部品くらい自身で拾われたい。

3、回転系統の調整

DP-80は業務用のDN-308Nと同じLSISC3120Aが使われている。だから業務用と同じ調整をすれば良い。

DENONロゴのカスタムLSI(NPC製)その近傍にあるのが9MHzの水晶。この基板には3個の電解コンデンサーがあるが特に注意が必要なのが極性を書いたシルクに間違いがあり、黒マジックペンで消してある。このようなことは良くあったことで、サービスマニュアルには訂正が書いてあるはずだろう、一般の人が開けることはないので基板内なので関係ないこと。水晶近くに2つの半固定ボリューム(VR1、VR2)があるがこれは基板面の穴から調整出来るので付け変える必要はない。
TP1(テストポイント)は調整専用のコネクタだが、専用の対になるコネクタがないので半田面にテストピン(オシロプローブピン)を付けた基板左上の黒、オレンジ、黄色のビーズ。TP1のところの穴に差し込めば信号は取り出せるだろうが、オスのコネクタがないので苦肉の策だ。2現象オシロをつなぐのでそのプローブに合ったものが使いやすい。
ちなみに黒はグランド、オレンジは傾斜のある波形、黄色はPLLのロックのサンプリングパルス。
調整方法は、オシロを使うのが正しい。しかしネット上にもない簡易な別の方法もある。これは後で述べる。
調整前にマニュアルで回転速度が合わせられるか確認をする。(マニュアル動作を確認して合わせておく)オシロのプローブをつないで信号を取り出す。
業務用だと周波数カウンターで合わせる部分に相当するだろう。(操作部を45回転でバリアブルに切替ストロボが制止する位置に調整)
合わせられるのを確認したらノーマルに戻すこと
取りだした波形がこれです。
CH1傾斜の波形の左下の点から右上までの電圧は4Vある(10:1)のプローブを使っているので1目盛1V。
CH2はサンプリングパルス。このサンプリングパルスの位置を移動して位置を合わせる、PLLをお分かりの方は、お気づきかと思うが調整用ボリュームを回すとCH2の中央付近の点(実際は垂直なパルス波形)は左右に動く、PLLが外れるのはこの傾斜の範囲からずれた時。調整は中間点2V付近に合わせれば良い。要するに中間であれば、温度変化その他でずれても必ずロックがかかる。*1局用ステレオ再生機DN-308Fでは2V位置であるが、波形の傾斜部分だけの中間点が適しているようだ
45回転でVR2を基板面の穴からマイナスドライバーで調整する。
33回転でも同じようにVR1基板面の穴からマイナスドライバーで調整する(オシロの調整も必要)

*1、この調整は、いつでもPLLがロックされる位置であれば良いので、説明が曖昧だと思われるかもしれないが、波形で調整する項目は、大抵説明には、おおよそとか程度に合わせると書いてある。
このことから次の事項にオシロを使わない方法として記載する。

オシロを使わないPLLの調整法

1、オシロの波形を見る代わり半固定ボリュームを左に回し切り、徐々に右に回してPLLのロックがかかる位置に印を付けます。
2、今度は右に回し切り左に戻しPLLロックの掛る位置に印を付けます。
3、1と2で印を付けた位置の中間にボリューム合わせればOKです。
これは、オシロで4Vの中間点2Vに設定したこととほぼ同じになります。
ここで言うPLLロックとは、回転数のストロボが停止して見える位置。