比較的多くの人がスピーカーのエッジの修復を試みているし、また業者もエッジのみ交換は、行っている。従来劣化したウレタンエッジは、鹿皮、合成皮革形成品、特殊素材加工品、同等ウレタンエッジで補修可能なことは広く知られている。純正処理はリコーンと言ってコーン紙アッセンブリーの交換を行うので新品を買うに近い値段となってしまうことが多い。そこで安価に仕上げる方法としてエッジ交換がある。これは安直な方法で実際のスピーカー製造工程と大幅に異なるアマチュア的方法です。今回は古いJBLのLE8TH、の劣化したエッジの交換を行い。格子組みの美しい和室に似合うスピーカーボックスを蘇らせて見た。また38センチ級の代表として2231Hもやってみたので参考にしていただきたい

まず、エッジ交換する前に確認しておかなくないのは、音が出るスピーカーであること、ダンパーの変形がなく、手でコーン紙を押してボイスコイルの擦れる音が出ないことを確認しておきます。エッジがぼろぼろになっていても、修復直前まで、取り去らないことが重要である。特に38センチ級のスピーカーは、スピーカーボックスに取り付けたままエッジを除去して放置するとダンパーが変形して修復不可能になる。ある方法で修復可能な場合もあるがちょっとしたコツが必要である。状態の悪い2205Bでの修復例があるので参照いただきたい。

準備するもの
カッターナイフ、エチルアルコール、ラッカーシンナー、綿棒、キムワイプ、新聞紙、合成ゴム系接着剤(G17)、キムワイプが入手できなければサラシなどの布

手順と注意:
1 新聞紙を敷き詰め、箱からユニットを丁寧に外す。ユニットの外観上の異常がないか確認する。くれぐれも床や畳にエッジ破片を付着させないように!
2 劣化したエッジを丁寧に指でつまむように取り去る
3 フレームに残っているエッジ押さえとエッジは、マイナスドライバーでスクレーバーの様にして掻きとり、アルコールやシンナーをキムワイプに付けてふき取る
4 コーン紙に残ったエッジはフレームの裏より指で取り去り、仕上げは溶剤を付けた綿棒で丁寧に除去する
5 エッジを合わせて見る、コーン紙の裏に入れるのは少し壊れそうで怖いが、上手く入るので心配は要らない。
6 接着前は、きれいに仕上がる予感がすると思うがここからが大変である。一気に仕上げるのでここで一息入れておくことが大切である。
7 合成ゴム系接着剤G17またはそのクリヤータイプを適当な先の細い容器に移し替える。(以前は注射器に先の刺さらない針が入手出来たが今では不可能)
8 表からエッジとコーン紙の間に接着剤をなるべく奥に1ミリくらいの線になるように流し込むこのとき接着材を回すのではなく、スピーカーフレームをロクロのように回す。均一の幅で塗布することが大切だ。あとはフレームの裏より綿棒などで押し付ければ接着される。接着剤の塗布量が多いとはみ出すので注意する。
9 乾いたら今度はエッジとフレームの接着だ。こちらはずれないように貼り付ければ裏なので気楽に張れる。同じようにフレームを回して接着剤を均一に塗布して貼り付ける。ボイスコイルが擦らないように確認しながら行う。茶碗などをセンターに乗せるとやりやすい場合もある。
10 エッジ押さえ部分も少な目の接着材で貼り付け完了。最後にボイスコイルが擦れていないことを確認する。
11 f0の確認エフゼロは、確認しても調整しようがないのでしなくとも良いが、どうしてもしたいなら、エッジの裏側をしごいて柔らかくすれば可能。失敗すると壊すことになる。 

私もエッジの交換は相当行っていますので質問をお寄せください。


LE8Tの修理

外観がきれいなこのような箱でも中身は開けないと分からない
このようにエッジボロボロ、古新聞を敷き詰め除去作業開始
丁寧に劣化したエッジを取り除く
劣化エッジ除去完了
裏側もきれいに劣化エッジ除去
合成ゴム系接着剤材をノズルの細い容器に移す。換気の良い屋外
で作業しよう。
新エッジをセットしコーン紙側を先に接着
このように美しく仕上がる
箱に入れて完成
これで古いスピーカーも見事に蘇りました。

2231H 38センチウーハーのエッジ張替え。大型のほうが張り替えやすいです。

ボロボロになったエッジでも十分修復できます。確認することは音が
出ることと、極端なダンパーの変形がない事。
はじめにエッジを軽く取り去ります。取ったエッジはべたべたして始末が
悪いので、掃除機で軽く吸い取っておきます
裏に貼り付けてあるエッジ、これをきれいに取らないと新しいエッジも
剥がれてしまいます。
指の腹でこするように剥ぎ落とします。注意はここで浮かしてこすると
ボイスコイルに傷を付けてしまいます。仕上げは綿棒にアルコールを
付けてきれいにしまます。
ガスケットは簡単に剥がれますが、劣化したエッジは指で剥ぎ取るのが
一番いいようです。はじめからシンナーなどの溶剤を使うとべたべたと
伸びてしまいます。
剥がした後はエッジがしつこく残っています。これからが大変です。
休憩してください。
カッターの刃先を寝せて剥離します。
最後に刃先を立てて平らにならします。
アルコールなどの溶剤できれいにふき取っておきます
ここからが仕上げに大きく影響する重要ポイントです。
コーン紙とエッジの接着に今回はコニシボンドのG17クリアーを使いました
怖がらずに中間くらいを狙って一気に回しながら塗布します。塗り終わりま
したら上と下から指で挟むように押さえます。
裏からも不足のボンドを補充してまた指で押さえます。
フレーム貼り付け前です。乾くまで静止して放置します。
まだフレームとエッジは貼り付けていない状態です。
このままではボンドを塗布しにくいのでセンターに適当な重石をします。
ボンドを適量流し込むように全周にわたり塗ります。
ボンド付属のへらで伸ばします。
上下にコーン紙を動かしボイスコイルが擦らないようでしたら抑えるように
圧接します。乾くまで待ちます。
乾いたところでガスケットを張って完了。ビス穴は半田こてや焼き火箸で
あけるのが安全です。これなら文句ない仕上がりです。

2205Bの例 状態のあまり良くないものは頑張ってもきれいにはなりません。

布でおもて張りしてあった。表面もボロボロ
劣化エッジも残したまま、これは最悪
リングが錆びていないのは救われる。
コーンの裏まで汚れている
茶色いのは埃に、たばこのヤニが付着したのでしょう。
ダンパーも落ち込みボイスタッチあり。エッジが朽ちたまま箱に放置してあったものや、上向き保管のものに多い現象
このダンパー変形が厄介者。修正には時間がかかる。ここでやってはいけないのがセンターキャップを外してダンパーも溶剤で外す作業。変形したまま修正しては何にもなりません。
修正はさかさまにして、放置、ダンパーにはあるものを塗っておく(それは内緒です)
軽く汚れを拭き取ります。(水拭きしますがこすってはいけません)
届いたエッジと用品、念のためキャップも用意
着色で、まあまの見栄えに!ただ表に残る接着剤で色むらになる
ここからは最新兵器の登場、デスペンサーで接着剤塗布。これは接着剤を定量ずつ吐出する機械。
エッジ交換貼り付け後DBボンドを円周に塗布。これもデスペンサーがあってきれいにできる。
最後にfゼロを測定して完了。
もう1個も測定して近い値で完了。