タンノイユニットのリペア

タンノイのユニットは意外にエッジ交換しやすい

スピーカーユニット修理は簡単だと思われやすいですが、古い物を自分の責任で治すのですから、失敗したら諦める覚悟が必要です。タンノイはねじ止めで簡単にコーンが外れるのでやりやすいです。HPDユニットに関してはエッジまでねじ留めですから、リコーンは全く心配ないのですが、コーン紙そのものが入手出来ません。K2808、DC386、3828、などからエッジはボンドで接着されるようになりましたが、ダンパーは相変わらずねじ止めなのでエッジのみの修理はJBLなどに比べて楽に出来ることは確かです。タンノイのユニットはJBLと違い分解修理しやすくなっています。HPD295A、315、3828と過去に私はやっています。今回だけで話ではありませんが、交換しやすいと書きましたが、そんなに簡単とは自分では思っていません。あえてツィター調整等は、必要ない限り行いません。コーン紙も普通はセンターキャップ貼り付け前に隙間に短冊を挟んでギャップ調整するのですがタンノイのリコーンアッセンブリーは初めからキャップが貼ってありますので出来ません。TEACから正規ルートではコーン紙アッセンブリーの供給は絶対してもらえませんのでアマチュア的にはエッジ交換しか方法はありません。TEACでは特殊な技能が必要なので普通の方は修理出来ませんと言い切っています。覚悟して自分で修理するということです。少しでも不安要因があれば、修理業者に出したほうが良いでしょう。またあくまでも正規修理のTEAC以外は、改造スピーカーとなります。自分でエッジ交換してもエッジは純正ではありませんので、オリジナルではなくなります。自分で修理すると安く修理出来るのと、丁寧に処理できるのがメリットです。


修理例2点をご紹介します


DC386(DU386の)エッジ交換

これはユートピアのファミリーキングエンクロージャー。大型の優美な外観
ネットワーク部は、長い歳月で埃が付着、注意:ネットワーク、はスピーカーユニットとスピーカー端子と3点セットとなっています。組み合わせを崩さないように。
埃を清掃して、接触不良は、スイッチの間から、ポリコールキングという接点復活剤を注射器で注入する。
エッジはご多分に漏れずこの通りです。掘り出しものだったので自宅まで約200K輸送するため現地でユニットは外して別に梱包した
DU386ユニットはマグネットカバーが付いていてアルニコユニットと勘違いする人も多い。
コーンを外したらゴミや鉄くずが入らないよう十分な養生をしてエッジをフレームから剥がします。
バックカバーを外せば3828などと同じです
今回はウレタンは止めて、合成皮革形成品にした。内側はリブの部分に合うようにカットした。
コーンだけに分解できるのでとても作業はやり易い
古いエッジは完全に取り去ります。
エッジを合わせて見ます。ぴったり合いました。
エッジ部分の拡大写真です。接着剤を塗布する前はきれいです。
いつものG17クリヤーで接着します。分解してあるので直接OK
リブの内側に細いドライバーなどでエッジを押し込みます。
指で丁寧に圧接します。
リブとエッジは木工用ボンドで盛るように貼ります。(白い部分)
しわも無くエッジが貼り付けられました。フレームとエッジを貼り付ける前にダンパーとコーン紙を軽く押しながら擦れない位置で仮止め(4本のビス)する。エッジ部分を押さえて押してもボビンが擦れないようならエッジとフレームをボンドで固定する。接着できたらセンターを押して再度、擦れないことを確認します。擦れているようであればねじを緩めてコイルボビンとのクリアランス調整をする。
箱の内部も清掃して、底の雑毛フェルトは交換しました。
箱は寝せないと作業出来ません。
このようにして組み立てないと安定に作業できません
エッジ交換して無事組み立て完了。
この風格は和室か古い洋館に似合いそうです。我が家には不釣合い
かも知れません。音は余韻の美しいスピーカーです。

アーデン3828のリペア

エッジはボロボロ、べたべた状態なので新聞紙を敷いて作業します。床に着くと取れません。拭くと伸びてしまいます。
軽く劣化エッジを除去して、ダンパー部分の4本のビスを外します。
このようにコーン紙アッセンブリーが外れますので、作業は楽に出来ます。リード線はコネクターハウジングから爪を細いドライバーなどで押し戻して引き抜きます。
丁寧にリブの間のエッジも取り除きます。アルコール等で溶かして取るときれいに取れます。
エッジを貼り付けるばかりとなりました。一度休憩した方がいいです。
センターの高音用ホーンからゴミが入らないように注意します。
ウレタンエッジを貼り付けます。今回は黒い流動性ダイヤボンドで貼り付けました。
リブの部分も確実に肉盛りして貼り付けました。
センターだしは、エッジのフレーム貼り付け前に、ダンパー部分を軽くねじ止めして、コーンを押しながら擦れないことを確認してエッジをフレームにG17等の合成ゴム系ボンドで貼り付けます。乾いたらダンパー側の位置をもう一度確認して、擦れない位置に固定します。
腐食してくすんだエンブレムも金属磨きでピカピカにしてラッカーで仕上げておきます。